ハイイロチュウヒが飛んだ・・・

先週のハイイロチュウヒの塒入りは機材の不足やらなんならでまともな撮影にはなりませんでした。かと言って、常連さんのように足場を高く上げる機材をにわかに揃えると言っても管理人の場合は連れあいもいますので、ツーセット必要になります。ソロバンをはじくと・・・うーん、ちょっと今すぐというのは無理かなと思います。

ならば、とりあえず今の機材で出来ることはやってみようと言うことになり、撮影可能な場所を探してみることにしました。

まず、考えたのは日中明るいところで撮れればそれにこしたことはない訳です。素直に考えれば餌場で待っていればその可能性は高いわけです。じゃ餌場と何処だということになるのですが・・・

実は高速のインターから渡良瀬遊水地に向かう道すがら、かなり広い農耕地が目を引きます。ならば、遊水地からとりあえず近い農耕地を探してみようということになりました。地図を広げ適当に物色しながら移動していきます。

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富士山も見えるし広々とした農耕地ですが、これで餌場は何処かと言うことになると、いきなり行って分かるわけがありません。(通行の妨げにならない)適当な場所で、しばらくは観察することにしました。

一時間ほどカラスだのサギだのその他の小鳥の動きを観察していると、フィールドスコープを手持ちで観察していた連れあいが「アレなんだろう」と・・・
恐ろしく遠いですが、車の中から管理人も手持ちでとりあえず撮ってみました。

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うーん、カメラのモニターで拡大してみましたが、猛禽のようにも見えるし、ノスリあたりかなと思っていると・・・突然、飛び立ちました。

「あ、ハイチュウ(ハイイロチュウヒ)だ!!!」

連れあいの叫び声。しかし、時はすでに遅し。灰色の翼の先が黒いハイイロチュウヒのオスが、飛び立っていきました。そうです。あれはハイイロチュウヒだったのです。

それにしても何とも凄い偶然でした。この広い農耕地で、たまたま止めた場所から直線で距離はあるとは言っても見えるところにいたのです。飛び立った方向は遊水地の方でしたから、餌を摂った後のマッタリ時間の後だったような感じです。

あれで、餌探しをしてくれれば良かったのですが、そうは甘くありません。ただ、考えてみると、管理人達はその場所に一時間ほど前からいたのですから、それ以前からいたことになります。今度はもう少し早く来てみる必要がありそうだと思いました。

その後は、ふつうのチュウヒが餌取りをする姿を二三度確認しましたが、ハイイロチュウヒは現れませんでした。

昼を過ぎてからは遊水地に移動しました。すぐにチュウヒを発見。とりあえず、ここまで来たのですから、証拠を残しておきます。

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完全な成鳥とは言えない感じですね。若鳥のオスと言ったところでしょうか。その後別個体も撮りましたが、代わり映えはしませんね。

さて、そろそろ時間だし前回の場所から少し離れたところに構えることにしました。前回の場所から少し遠いですが、高い三脚や足場は必要ありません。先週はすぐに塒入りをしてしまいましたが、三時頃にも出ることがあるようなので、二時頃からスタンバイしました。そして待つことしばし、三時十分ほど前です。

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でました。やっと明るいところでまともに拝めました。先週は明るい時間帯に帰ってきた個体は、すぐ塒入りをしてしまい、ギャラリーを落胆させましたが、今日は少しサービスをしてくれました。

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遠いといえば遠いです。それでもはっきりと色が肉眼でも分かります。虹彩も黄色であることが確認出来ます。

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ともかく、色が色ですから、オートフォーカス泣かせです。オートフォーカスの設定も色々と試してはいるのですが、手探りの状態です。マニュアルでもやってみましたが、これも相当に難しい。

それでも、これだけ明るいところに出てくれれば有り難いですね。先週からの続きからするとどうやらこの個体はかなり早い時間に帰ってくる可能性があるようです。その後は二羽ほど確認しましたが、日が落ちてからでした。これは先週経験済みですが、シルエット写真にしかなりません。オートフォーカスの合焦具合も落ちますし、感度も上げますから写真としては非常に厳しいものになります。

高感度に強いフルサイズ機があればと思いますが、値段も高いし、焦点距離も足りなくなりそうだしと考えると二の足を踏みます。まあ、そのうちにはフルサイズも必要だとは思いますが、今シーズンはなんとか今のままで乗り切ろうと思います。

要するに、日中明るいところで観察・撮影出来る場所を探す。まず、これにつきると思います。そして塒入りも少し早めにスタンバイして明るいうちに帰ってくる個体を逃さない、ですね。

日が落ちてからは次回は観察のみにして撮影は控えようかと思っています。今日みたいに三時前に撮れれば、それで上がりでもいいかなと思いました。それより、日中の餌場を探したいです。

チュウヒ、特にハイイロチュウヒは警戒心が強いらしく、目立つところに三脚を構えているとまず寄ってこないように思います。特に農耕地では車の中からでないと、ふつうのチュウヒでさえ、すぐに逃げてしまう感じです。外で撮るならヤマセミ並にブラインドをしないといけない気もしますが、とりあえず車から降りない方が良いように思います。

ですから、皆さん塒入りを狙うわけですね。それもより近くでということになるとあのような機材が必要になってくる。まあ、一通り経験すると行き着くところはあのような感じになるのかもしれません。

管理人はまだまだ道半ばと思いつつ、撤収となりました。

追伸:2016.12.12
試験的に動画版を作ってみました。

チュウヒが飛んだ・・・渡良瀬遊水地 Part2

昨日の余韻がいささか残る古河のホテルで迎えた朝。

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今日も良い天気になりそうです。さすがに今日は塒入りまで付き合うことはありませんが、それでも午前中くらいは遊水地に行って、ふつうのチュウヒでいいから撮って帰りたいと考えています。

朝はホテルのバイキング。しっかり腹ごしらえをして7時30頃出立です。

遊水地には約20分ほどで到着。すでに熱気球は飛んでいました。

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しばらくは昨日のように葦原の中をウロウロしてみました。

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一時間ほど回ってはみたものの、ノスリとは出会いましたが、チュウヒとは遭遇せず。まあ、ウロウロしてもしょうがない、今日は赤麻橋のたもとに陣取って午前中はここで観察しようということになりました。昨日ハイイロチュウヒが塒入りした葦原もここからなら上から一望出来ますから、距離があって撮影には不向きですが、観察には丁度良い場所だと思います。

実は昨日も午前中ここで少し待機していたら、ふつうのチュウヒが飛ぶことは飛んだのですが、あっと言う間にいなくなりカメラを持ち出す暇もなかったのです。ですから、今日は到着してすぐ、カメラをセットして、あとは、椅子に腰掛けて双眼鏡を覗くというスタイルになりました。

余談になりますが、塒入りをする訳ですから、当然朝、何処かに餌を求めて飛び立つことになります。色々と話を聞くとどうやら夜明け前くらいのことらしいのです。要するに暗い内に飛び立つようなので、観察はともかく撮影はやはり無理かなと思いました。

さて、ああ、ミサゴが飛んでいるなんて、のんびり構えていたら、何気に、その後、頭の白いチュウヒが遠くに飛んでいました。これは若鳥だと思われますが、どうでしょうか。

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連れあいと、見れて良かったね、なんと話しながら、ちょっと気になるシルエットが見えたので、スコープを合わせてみると、チュウヒが枝止まりしているのを発見。

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距離があるし、何せ保護色に包まれた個体ですから、発見も容易ではないと思うのですが、これはある種の慣れなんでしょうか。いつここに止まったか分からないですし、そんな動きもあったとは思えないのですが、まあ、しらっと枝止まりしていたという感じですね。

枝に止まってればそのうち飛ぶだろうと待ち構えるのは定石ですね。まあ、ここは飛び出し待ちになりました。

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待てば海路の日和あり、と言うほどのことはありませんが、野鳥の観察・撮影というのはともかく「待ち」が費やす時間の大半を占めます。釣りとかもそうですが、自然相手の趣味は「待ち」が嫌いな人には不向きですね。その点管理人は「待ち」があまり苦にならない性格のようです。本来は「せっかち」なんですが、このような場所でのんびり構えるのは好きですね。

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タカ斑があまりはっきりしていないので、腰のあたりは白いですが、ハイイロチュウヒのメスではないようですね。それに灰色マスクでもないようですし。

実はこの辺りを二羽で飛んでいました。番なのか、親子なのか、赤の他人(他鳥?)なのかまるで分かりませんが、しばらくは付かず、離れずを繰り返していました。

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こちらに向かって飛んでくる時、こちらを意識して見ているようです。虹彩の色からするとメスなんでしょうか。

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先ほどとは違う個体です。虹彩からするとこちらはオスでしょうか。

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今日は天気はいいのですが、雲が多いです。昨日のように青空バックとは行きませんが、むしろ塒入りは今日の方が良かったかもしれませんね。でも、今日もこうやってチュウヒと三個体ほどですが、出会えましたので良しとします。

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今年の冬は「追いかけてチュウヒ」になりそうな気配を感じながら帰路につきました。

チュウヒが飛んだ・・・渡良瀬遊水地 Part1

先週は茨城県の百里基地に猛禽でありませんが、猛禽に、ちなんだ戦闘機を撮りに行きましたので、今週は本当の猛禽を見に行こうということになり、久しぶりに渡良瀬遊水地に出張りました。今回の目玉はハイイロチュウヒの塒(ねぐら)入りをなんとか見てみたい・・・でした。

塒入りですから当然夕方あたりの話です。それでも朝5時に出立。現地到着は7時10分頃となりました。いつもの鷹見台で朝の腹ごしらえです。

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ともかく良い天気です。朝方は靄が出ていたようですが、すっかり晴れ渡っています。少し風があって寒いですが、日中は気温も上がるとのこと。しかしこのときはこの晴天が後で裏目に出ることなんか微塵も知らず、暢気に腹ごしらえをしたのです(笑

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鷹見台から綺麗に富士山が見えます。朝方だけでしたが、さすがは日本一の山ですね。廻りはだだっ広いので全方位視界が開けていますから、ウォッチングタワーに登れば少しオーバーですが関東中を見渡せる感じです。

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さて、肝心のチュウヒですが・・・鷹見台からはさっぱりです。ミサゴが第二調節池にある湖沼でダイビングを披露してくれましたが、撮影は出来ませんでした。

午前中は遊水地内をあちこち物色しながら回って見たのですが、これといった出会いはありませんでした。昼になると風もおさまり、さらに気温が上がって来ました。スカイダイビングもコンディション的には最高ではないでしょうか。

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遊水地の物色といっても果てしなく広がる葦原の中をさまようみたいな感じです。余談ですが、春に野焼きをやるそうですが、その後が見渡しが良くて越冬している猛禽類の餌取りが容易になるそうです。そして、たらふく餌をゲットしてワタリに入る。そんな感じらしいのですが、中々うまくスケジュールが出来ていると思いました。野焼きの後は一見の価値がありそうですから、是非来年は行ってみたいですね。

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さて、肝心なハイイロチュウヒの塒入りですが、遊水地を物色していると午前中から車が何台か待機していました。管理人達も少し早いとは思いましたが、13時過ぎくらいには待機することにしました。そして車から降りて葦原をみたら、愕然としました・・・

そうです、葦原が恐ろしく背が高いのです。一応脚立は用意しましたが、とてもじゃないが歯が立たない。しばらく考えましたが、ここは撤収して他の場所を物色するかと思い離れかけたのですが、途中に妙に葦原の遮りがちょっとだけ少ない場所がありました。おそらくは人の手で葦原を刈るわけではないですが、手折って視界を確保したのでしょう。まあ、春に野焼きをする葦原ですから、さすがにここではあまり細かいことは気にすることはないとは思いました。

それでも十分な視界は確保出来ません。廻りを見渡すと、まあ、皆さんとんでもない仕掛けを用意して撮影に臨んでいます。屋根の上に三脚を立てる人、3メーター近い三脚に1メートルを超える作業台を持ってくる人。中には軽トラックの荷台にちょっとしたステージもどきのお立ち台を組み上げる人。

うーん、これはこれで凄い世界だと思いました。お隣の人はGITZOの1番でかい三脚と大きな作業台を持参していましたが、自嘲気味に「これ家では邪魔なんだよね~」とぼやいていましたが、確かに普通の撮影ではまずお目にかかれない光景です。

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ハイイロチュウヒ(ハイチュウと呼ばれている)は普通のチュウヒ(タダチュウとか呼ばれている)に比べるとより低く飛ぶ習性があるそうです。ですから、撮影はより一層困難になります。

さて、まつことしばし・・・15時半頃に一羽飛んで来ました。来るなりあまり旋回もせずに塒に入ってしまいました。葦が邪魔してどうにもなりません。シャッターの切りようがありませんでした。しかも、西側に向いての撮影ですから、「ど」がつくほどの逆光です。太陽をレンズで捕らえると時間にもよりますが、下手をすると自分の目とカメラのセンサーがいかれるかもしれません。

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ただ、姿は辛うじて見て取れました。目に収めることが出来たので、まあ、これはこれで良かったですが。

さて、その後が来ません。廻りの常連さんの話だと、こんな青空晴れの時は塒入りが遅くなる傾向があるそうです。確かに、餌を捕るにしても暗くなっては話になりませんから、明るい晴天時はそうなるのかもしれません。加えて雲が出れば太陽が遮られるので撮影が楽になるようです。これも確かにそうですね。

天気が良く、コンディションに恵まれたかと思っていましたが、なんとここでは一概にそうではないようです。むしろ少し悪天候の方が太陽は照らないし、塒入りが早くなるのですから、困ったものです。

そうはいっても、管理人にも多少の意地はありますから、今度来たら葦原越しにマニュアルで抜いてみようと構えていました。そしてその結果撮れたのが・・・

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証拠写真もいいところですが、これが管理人としての本日の装備での限界だと思います。感度はもう少し上げた方がシャッタースピードが上がってもう少しましになったかもしれませんが、タラレバを言ってもしかたありません。シャッタースピードが解放でも1/80です。廻りの常連さんはなんとかこの条件をクリアしてかなり鮮明な映像をゲットしていましたが、管理人としては鮮明な映像は望むべくもありません。

ただ、それでも執念の一枚を(連写はしていますが)改めて見ると、自画自賛になりますが、何とも言えない味があります。それはこの撮影の困難さを管理人なりにこの写真から思い起こすことが出来るからです。他の人に分からないかもしれない写りの悪い証拠写真ですが、管理人なりの思いが込められた一枚だなと感じることが出来る・・・これはこれで写真を撮る醍醐味の一つではないかと勝手に一人悦に入っています。(笑

さて、完全に陽も落ちたし、廻りの常連さんも帰り支度を始める人もいたので、撤収の準備を始めました。カメラをリュックに入れ、車に積み込んだ時です。

「出たぁ・・・」

みれば夕日の向こうにハイイロチュウヒが飛んでいるではありませんか。慌てて、カメラを出して、レンズフードもそのままで、手持ちで脚立の上でシャッターを切りました。この時のISOは6400。シャッタースピードはそのお掛げで1/1000でした。しかしまさにシルエットです。

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思いっきり明るさ補正をしてみると・・・

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証拠にもならない程度ですが、ハイイロチュウヒであることは辛うじて分かると思います。しかも慌てていたので、レンズの手ぶれ補正は入っていなかったのです。まあ、シャッター速度がそれなりに出ていたので、この手ぶれ補正の効果はどの程度だったか分かりませんが、それくらい管理人にとっては唐突な出来事でした。

要するに、晴天のおかげで塒入りが遅くなったと言うことなんでしょうか。この状況ではおそらく鮮明な写真は相当に困難だとは思いますが、観察も兼ねているのなら、最後の最後まで諦めないでいるべきだと思いました。これはこれで見ることが出来たので良かったと思っています。色々としんどいことが続きましたが(苦笑

さて、本日は古河に宿を取ってあります。暗い葦原の道を安全運転で宿に向かいます・・・続く

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