ワタリはもう始まっている・・・夏の三番瀬

お盆休みは混むし暑いしと言うことで例年殆ど出歩きません。これは秋にワタリをする鳥と同じように羽を休めているのに似ています。鳥の動きも鈍いのもありますし、秋のワタリを追いかける為に(お金と体力)ためているから、余計出歩かなくなったと言ってもいいかもしれません。

そうはいってもたまにはね、と言うことで少し気が早いように見えますが、シギチ達はワタリ出しが早いので、ここは三番瀬だろうと言うことになるのです。まあ、他に行くところがないと言うだけの話ですが(笑

三番瀬ですから車で行けば50分位で到着します。しかしこれが油断すると時期によっては、TDL(東京ディズニーランド)渋滞にはまるのです。ですから朝は5時位には出立します。

朝は渋滞も無く、6時頃到着。潮は大潮、満潮は朝の4時頃。潮は下げていますがひたひたの状態。シギチ達が出てくるまではもう少し下げないと無理です。

待つこと暫し。潮が下がってきたので集まって来ました。

先陣を切ってミヤコドリが。関東近郊でミヤコドリがかなりの確率で見られるのは三番瀬くらいですが、ここに通っているとあまり有り難みを感じなくなってくる鳥でもあります。留鳥なので一年中いるせいもあるのでしょうか。

メダイチドリの群れも飛んできました。

トウネンの群れも。未だ夏羽ですね。ヨロネン(ヨーロッパトウネン)は見当たりません。

キアシシギ。やはりシギチはワタリが始まっているようです。

ダイゼンの夏羽。

ダイゼンの冬羽。ご丁寧に足環が3つもついています。それにしても3つも付ける必要があるのか非常に疑問です。

キアシシギの群れ。シベリアあたりから東南アジアにかけて渡るのですからエライ話です。数を見るので希少な感じはしないですが、日本では基本ワタリの時期しか見られませんね。

キョウジョシギ。京女の着物のようだということからこの和名になったそうですが、物の本によれば、ユーラシアの北部・北アメリカのツンドラ辺りで繁殖して、南アジア・アフリカ・中南米・オセアニアの海岸辺りで越冬するということですが、とんでも無い距離を渡って行くんですね。

これも春秋のワタリのシーズンでしか見られません。

三番瀬は渡って行くシギチ達にとっては無くてはならない場所でしょう。羽を休め、餌を摂る。潮が引いた砂浜には無数のコメツキガニが出てきます。これはいい餌なんでしょうね。その他にも様々な底生生物がこの三番瀬にはいます。それが豊富な餌の元になっているのでしょう。

もしこの三番瀬が無くなってしまうと・・・ワタリの成功率が著しく落ちるのではないでしょうか。かつて羽田空港の沖合展開によって羽田沖の生態系が変わってしまい日本に渡ってくるシギチは殆ど見られると言われていましたが、それが見られなくなったことがありました。

詳しい調査や研究があるかないかは知りませが、沖合展開がどれほどの影響があったのか、それを思うと同じようにこの三番瀬はなんとか残しておきたい場所です。

そうそう、今日は凄い人を見ました。外国人女性なのですが、これが気合いが入っている。

頭を低くして膝を折りたたんで鳥に近寄って行きました。しかも機材を載せているツールも干潟での撮影を考慮してあります。ここまでやるとアマチュアの趣味の域を超えているかもしれませんが、ネイチャー写真を撮ろうと思えば、こんなスタイルもあるんですね。

鳥に限りませんが写真を撮るとき被写体の目線の高さに合わせるということを意識することがあります。管理人も大概は立たないで椅子に座って撮るのも(勿論楽したいのもあります)鳥の目線に高さを少しでも合わせたいからです。

ただし、この女性のように徹底しては中々分かっていても出来ませんね(苦笑

動きながら近づいてくるモノに反応するのは当たり前で、しかも立って近寄れば鳥の目からみれば大きく動きながら大きなモノが近づいて来るように見えるのではないでしょうか。

なるべく小さな動きで小さなものが近づいて来るように見せれば、相手に与えるストレスは減算されて接近による撮影の成功率が上がる・・・そんなところなんでしょうか。

なんとなくは分かっていたことを目の当たりにすると、色々と考えさせられてしまいます。

鳥に近づきたければ、鳥に近づいて欲しいなら・・・そんなことを考えながら三番瀬から撤収と相成りました。

追記:
三番瀬には2時間少しくらいしかいませんでした。何せこの時期暑いし、少し時間が遅くなると道路は混むしなので。湾岸線の東行きは葛西の合流辺りから渋滞だろうと思っていたらそうでも無いのです。変だなと思っていたら案の定事故。それでも大した渋滞でないと思っていたら、その先で更に事故。ここから本番の渋滞が始まっていました。

海ほたるに向かってもかなりの渋滞。湾岸から横羽に迂回しました。

朝夜中に目が覚めて3時頃交通情報を見たら、東名下りははすでに5件の事故が発生していて、横浜から大井松田まですでに渋滞。夜中からこれじゃ先が思いやられる夏休みなんて感じです。

安全運転で楽しい夏休みを過ごしたいものです。

春ですね・・・三番瀬

先週までは冬の猛禽達が観察の中心でした。というより、そればかりでしたね(笑

3月も中旬になり涸沼のオオワシはさすがにいないと思います。また、浮島湿原辺りの猛禽達もぼちぼちと渡っていくでしょう。

そう季節は春のワタリのシーズンにかかって来たようです。

そんな時はいつもの定点観測がいいですね。まあ、今まで結構遠出が多かったので今週は比較的近場となりますが、いつもの三番瀬に出張ることになりました。

ここは猛禽が(主にハヤブサですが)でるとシギチ達が一斉に散ってしまい、観察も何もあったもんじゃなくなります。まあ、今回はなんとか現れないでいて欲しいと願い出立です。

北関東猛禽詣と違ってそれほど早く出かける必要はありませんが、あまりのんびりするとディズニーランド渋滞に巻き込まれます。

現着は6時少し前。もう既に明るいです。

まずは船橋航路側の堤防に移動。大分スズガモ達の数も減っているようです。残念ながらここのところピロキンが居ないとか。去年の暮れに来た時は相変わらずの姿を見ることが出来たのですが・・・

来シーズン会えることを期待したいですね。

さて、堤防から眺めていると・・・

ウミアイサの雌です。オスは見当たりませんでした。

ワタリとは殆ど関係ないツーショット。堤防の船橋航路側は超がつくほどの逆光です。市川航路側はその反対です。堤防までわざわざ歩くのは市川航路側が順光で広く見渡せるからです。

アオサギは見慣れた野鳥ですが、よくよく見ると怪鳥とまでは言いませんが特異な姿ですよね。

それに比べるとカモメの類いは実にシンプルな姿です。この対比が結構面白いです。

丘にあがったスズガモ達。後ろに見えるゴミと妙に白いお腹のスズガモが妙なコントラストを醸し出している感じがします。これも三番瀬ですね。

さて、堤防から眺めていると・・・

結構な数の野鳥の群れです。まあ、三番瀬ですから大して珍しくもないと思いますが、よく見るとこれはハマシギではなくミヤコドリの群れです。

もう少し寄って撮るとはっきりしますが、ミヤコドリのこれだけの数が飛んでいる群れはいつでも見られるとは限らないと思います。管理人などは年数回程度しか来ないから何年ぶりみたいな感じです。

首都圏でこれだけのミヤコドリが見られるのはおそらく三番瀬を置いて無いでしょう。これだけでもここに来る価値はあるでしょう。

三番瀬名物ハマシギと思いきや、一部ミヤコドリが混じった群れ。

こんな感じで潮が引くのを待っている。今日は大潮。満潮は5時43分位なので今は引き潮の状態です。もう少しすると引いた干潟にシギチが集まって来ます。

引き始めたところに餌を求めて集まって来ました。

特段珍しいものはいないようですが、数は圧倒的に多い三番瀬ならではの光景でしょう。ダイシャクシギが入った話もあったのですが本日は見当たりません。

シロチドリでしょうか。

東京ディズニーランドの近くにこんな場所があるなんて案外野鳥に興味の無い人達は知らないかもしれませんね。でも間違いなくここは都会の中ですね。

なんとも背景がミスマッチな感じですが全国的にみてもこれだけの干潟が残っているのも貴重ですが、都会の中にある貴重な自然を残しておきたいと思います。思えば返す返す残念なのは羽田の沖合展開でしょうか。今更どうこう言っても遅いのですが。

さて、帰りに葛西臨海公園に久しぶりに寄ってみました。そしたらここでは珍しいと思いますがオシドリがいました。

居着きとは思えないのでワタリの途中なんでしょう。メスが見当たりませんでした。新宿御苑では遠かったりしますがまあまあ比較的近くにも出ていました。

日曜日の午前中の近場回りですがそれなりにいい光景を見ることが出来ました。午後から野暮用もあるので昼頃には撤収と相成りました。

孤独なズグロカモメ・・・三番瀬の冬

意識はしていなかったのですが猛禽ばかり追っかけていたらいつのまにか年の瀬が近くなっていました。

歳を取ると時間の流れが速く感じられるといいますが、実感します。

そうだ、年末はビロキンに逢いに行こう。ふとそんなことを思い立ち久しぶりの三番瀬へ出張りました。

浮島湿原や渡良瀬遊水地に行くのに比べたらのんびりとした出立です。早く行っても夜が明けてませんからね。

ただし、あまり遅くなるとディズニーランド渋滞にハマりますので現地には6時40分頃到着。そこから堤防までテクテクと歩いて行きます。

朝方はビロキンを撮るにはコンディションは良くありません。逆光もいいところだからです。ですが、写真は証拠でも元気な姿が見られれば良しです。

とんでもなく遠くはありませんが、とんでもなく逆光なのでこんなもんでしょうか。他のカモ達と相変わらず仲良く越冬しているようです。何でも十年位はここに越冬に来ているようで、管理人が最初に観察した記録は、

ビロキンを探せ

8年前です。

同一個体とこれほど長い付き合は三番瀬のビロキン以外にいません。よほど大型の猛禽ならそれもあるかもしれませんが、最近では珍しいと言っても、カモですからね。特異な存在です。

アメリカヒドリの交雑種も入っているらしいのですが、特定出来ませんでした。

近くでミヤコドリがポツネンと餌を啄んでいました。あまりこちら側の浜にはいないのですが珍しいですね。

少し離れたところでズグロカモメも餌を啄んでいました。

ミヤコドリといいズグロカモメといい、孤独が好きなんでしょうか。人それぞれ、鳥それぞれということでしょうか。

群れている鳥たちも、そうでない鳥たち。それぞれに越冬している三番瀬。静かな時間が流れているようです。

春の海浜回り・・・三番瀬から葛西臨海公園

桜もぼちぼちと咲き始めました。春本番ですね。そうなるとワタリもいよいよ賑やかになってきます。ここは無難に海浜回り、「三番瀬辺りから葛西臨海公園だな」となりました。

三番瀬に到着したのは6時15分頃。潮の加減もありますし、遅くなるとディズニーランド渋滞もあるので、そこそこ早い時間です。鳥の方もあまりおそくなると「まったりタイム」になってしまうのもあります。さて、到着して沖眺めるともの凄い数のスズガモの群れです。

これは越冬組ではなくワタリ組でしょう。それにしても凄い数。昔は行徳あたりを含めるととんでもない数のスズガモが越冬していたそうですから、それから比べると今は随分と減ったそうです。そうなるとワタリも相当減っていると考えていいのでしょうか。

ハマシギが餌を啄んでいます。少しだけ夏羽模様が出ているものいます。

ウミアイサが比較的近くに出ていました。

これは求愛のディスプレイでしょうか。いつか見たのとは少し違うようですが。

ほどなく飛び立って行きました。ワタリの途中だったのでしょうか。

さて、さきほどのスズガモが7時過ぎくらいに一斉に飛び立ちました。こんな数のスズガモが一斉に飛び立つ風景は初めて見たと思います。いつからいたのかは分かりませんが、これから繁殖地を目指して長い旅になるのでしょう。

それにしても凄い数です。日本各地からここに集まってきたのでしょうか。羽を休めて餌を得るには好適な場所なんでしょう。ワタリの水鳥にとってここはなくてはならない場所なんでしょう。

ワタリでなくてもいつものミヤコドリもいました。

さて、遅くなると帰りが混むので早々に葛西臨海公園に移動です。西なぎさに「ヘラサギとクロツラヘラサギ」がいるとの情報がありましたので出張ってみました。

西なぎさに行ってみるとあっさりと確認出来ました。それも結構近いですね。普通のサギに混じって捕食をしていましたが、そのうち二羽で並んで捕食していました。いくら種が近くても別物だと思うのですが、ここでは少数派同士ということで、つるんでいるのでしょうか。カメラマンが結構います。

逆光です。沖に出て回り込んで撮るわけにはいきませんので、致し方ないですね。

眼の先から顔の黒い方がクロツラヘラサギなんでしょう。似ていると言えば似ています。さて、道路が混まないうちに早めに昼飯を摂って撤収ということに相成りました。


追記:
昼飯を葛西臨海公園で摂って昼には出たのですが、湾岸線は渋滞していました。年度末、春休みのの大移動なんでしょうね。ここのところ昼頃の帰りでも混まれています。

 

春近し・・・ビロードキンクロのいる風景

まだ春のワタリには少し早いですが、海浜周りです。それに今季は猛禽ばかり追いかけて三番瀬のビロキンの姿を未だ見ていません。これを見ないと冬だと言う実感が今ひとつ。なんて、少し大げさですが、冬か春か微妙な時期ですが、久しぶりに三番瀬に出かけました。

まあ、これといった珍しいものはいませんが、いつもの風景です。

ビロキンですが、まだいてくれました。

相変わらずスズガモの群れの中でまったりしています。全く見付けにくいカモですね(笑

あの三白眼のようなトレードマークはいつみてもユーモラスです。

律儀なカモのようで、十年近くここで越冬しているとか。義理堅いのか単に惚けているのかは分かりません。ですが、冬に数多く来る他のカモたちに比べ、たった一羽の越冬ですが、存在感はあります。まあ、冬の風物詩のひとつになっています。

風物詩と言えば、ハマシギもでしょうか。長閑な日和は特に合います。

ユリカモメもまだいます。今季は若鳥がどれくらい来たのでしょうか。旅立ちの日もだんだん近くなってきました。

シロチドリのようです。数は少ないですが、姿を見せてくれました。

これも三番瀬ではおなじみ、ミヤコドリ。今日は遠くにいて近くに来てくれませんでした。でも数はかなりいますね。

冬の三番瀬もそろそろ終わり。これからワタリが始まるといくらか騒がしくなってくるでしょう。海浜公園の工事もありますので、少し不便なとこもありますが、もう少しで工事も終わるでしょう。

三番瀬は、いつまでも変わらずに鳥たちを受け入れて欲しいものです。