夏の終わり・・・

 八月最後の日曜日。渡りのシーズンが始まってます。そんな訳で取り合えず葛西臨海公園に暑い最中またまた出張ることにしました。本日はドックから退院してきた456で久しぶりの撮影です。ビデオは暑いし移動が大変になるので本日は割愛。実はそれが少々裏目に出るのですが・・・

いつものようにチャリンコを借りて取り合えずセンターに向かっていると、「オオタカの若が上の池の杭に止まっているよ」と教えてくれる人がいました。そのままセンターに向かうと結構な数のウォッチャーや撮影者達の懲りない面々がいました。見るとあら珍しや、いつもはカワウやサギ達のお決まりの場所にオオタカの若が鎮座ましましているではありませんか。

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管理人も随分とここに来ましたがこれは初めて見ました。恐らく成鳥ならまずこんなところにとまることはないと思いますが。それにしてもいくら若とは言えオオタカです。まさかこんなところでこんなツーショットを撮れるとは思いませんでした。

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どうなんでしょうか。オオタカもオオタカならアオサギもアオサギです。アオサギが若のオオタカを完全に舐めているのか、オオタカがまるで無関心なのか。いずれにしてもあまり見かけることのない光景ではないでしょうか。そして程なくオオタカは飛び去ります。まるでアオサギなんかには無関心のように。

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飛び立つ前にオオタカの目の前をセイタカシギが四羽ほどの群れで通り過ぎ行きました。その時も無反応でしたね。

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後で常連さんに聞いたのですが、この杭に止まる前にあまり大きくはないけど何かを捕食したようです。スズメかヒヨドリか何かは分かりませんが。まあ、ある程度腹は満たしていたと思われますが、それでもこんなことってあるんですね。それでもこのオオタカが成鳥になればこんなシーンは見ることは出来なくなるんでしょうけど。まあ、そうしたらいくら阿呆なアオサギでも近寄らないんでしょうけど。

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そんなひと悶着の後、今度はセンターの上で少し人だかりが出来ています。スロープを上がっていくとオグロシギが遠くに見えます。

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夏羽のようです。オグロシギは秋の渡りでないと見れないと誰かが言っていた記憶があります。春と秋では渡りのルートが違うからといっていました。秋は若が渡ってくるので確率的にも出会える機会が増えるようです。確かに管理人も春にはここいらで見たことはないですね。三番瀬はオオソリハシシギが大挙して渡って来ますがオグロシギはあまり見かけません。葛西では逆にオオソリハシシギは殆ど見かけることはないのですが秋はオグロシギに運が良ければ出会えます。

擬岩にはコチドリの若もいました。 現場で見た感じでは黄色いアイリングが白く見えたのですが、写真で見るとちゃんと黄色になっていました。

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ソリハシシギもいました。いつぞやは谷津干潟で遥か彼方でみたのですが、ここに居てくれればあっさりと近くで撮れます。

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ムクドリの若もいます。そういえばコムクドリが水浴びをしていたのですが撮りはぐれてしまいました。

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ついでにカマキリがセミを仕留めたシーンを皆さん結構撮っていしまた。連れ合いはカマキリやセミの類は大嫌いなのでシカトしていましたが(笑

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風がいくらかあって最盛期の暑さほどではありませんがそれでも汗は滴り落ちます。そろそろ撤収しようかと思い最後の一回りの後、カマキリを嫌って違う場所にいる連れ合いに「カエルぞ」と電話をしたら、「アカガシラが出ているよ」とのこと。とりあえずすぐに現場に急行しました。

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長い首を伸ばして、久しぶりにその姿を見ることが出来ました。どうやら冬羽にかなり換羽している模様です。六月頃から確認情報がありましたが、確認したのは初めてです。と言っても震災以来先々週に来ただけですけど。

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連れ合いは上手い具合に飛び出しを撮れたようですが、まあそれにしても相変わらず動きが無いです。近くにアオサギとホシゴイがいました。

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実はこの三羽を眼下に見下ろしている奴がいたのです。

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どうやら先ほど杭に止まっていたオオタカの若です。あれから大分時間が経っていますので腹も減って来たのかもしれません。これをウォッチしているギャラリーにも幾ばくかの緊張が走ります。

アカガシラサギは結構キョロキョロしています。

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それとは対照的にアオサギとホシゴイはあまり反応がありません。ホシゴイに至ってはオオタカに背を向けた状態です。二年ほど前に後ろから襲われたホシゴイの写真がセンターに展示されていましたが、これは稀有のシャッターチャンスを物に出来るのかなとほんの少しだけホシゴイの不幸を(多分ギャラリーの殆どが)願ってしまいました。そしてついに・・・

アカガシラサギはオオタカに向かってあきらかに警戒のポーズをとりました。

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そしてその瞬間オオタカは・・・・

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眼下に三羽も獲物がいたにも関わらずあっと言う間に飛び去ってしまいしまた。経験の少ない若だからなんでしょうか、ひびってしまったのでしょうか。それともまだ腹が満たされた状態だったのでしょうか。先ほどの杭から何もせずに飛び去った様子からして成鳥のようには未だ狩が出来ないのでしょうか。ただ、いずれかは成鳥になって獲物を狙うときがくるのでしょう。その時にアカガシラサギたちが無事で居られるかは保証の限りではありません。

秋のシーズンは三番瀬がいまだ立ち入り禁止なので海浜回りは葛西臨海公園が主になるでしょう。そんな人は結構多いのかもしれません。また冬羽になったアカガシラサギがこのまま越冬してくれれば、二年半前にハイビジョンで撮れなかったビデオに収めることが出来るかもしれません。カモ類やシギ類と猛禽達のスリリングなやり取りもここでは結構ありますので出来ればそんなシーンも収めてみたいですね。そうそう、出来ればミサゴの捕獲のシーンももう一度もう少し近くで撮りたいですね。あれはあれで結構凄いものがあります。

暑かったですが、それなりに色々なことがあった夏の終わりの葛西臨海公園でした。

暑い子育て・・・2011 夏 コアジサシ雛かえる 

葛西臨海公園でコアジサシの雛が孵っているとスタッフブログで知りました。

2月27日に三番瀬から葛西臨海公園を回って以来、つまり震災後初めて葛西臨海公園に来ました。未だに三番瀬は立ち入り禁止です。三番瀬が中心の海浜回りがこれで随分と減ってしまいました。谷津干潟、三番瀬、葛西臨海公園と千葉、東京をまたぐ海浜回りは、みなと横浜の市民としては中々そう簡単には行けません。本来は(海鳥の)海浜回りならみなと横浜あたりにあって欲しいところなんですが、この三つの総合力を越える場所は残念ながら知りません。

まあ、そんなちょっとした愚痴は置いといて、今年はサンコウチョウの雛を見ることは出来ませんでした。それで営巣場所と言うのはやたら近づくものではないし、これと言った場所も近場に見当たらないので、今年は繁殖を見ることは出来ないかなと半ば諦めていました。ましてやこの暑さ。出歩いて熱中症になっても仕方がないし、456もフードの不具合でドック入り。(追記:この撮影の帰りに目出度く退院しました)

まあ、おとなしくしていようと思っていました。そんな中連れ合いが先のブログで観察会を知り、管理人を差し置いて単独でそれに参加して来ました。寝た子を起こすような連れ合いの挑発的な行為に乗せられて、この暑いさなか久しぶりの葛西臨海公園行きとなった次第です。

それにしても暑いの一言。スポーツ飲料を凍らせて準備万端のつもりでしたが、吹き出る汗は止まりません。日陰のまったく無い渚ですからいたし方ありませんが、それでも懲りない面々が何人かいました。どうやら最盛期は過ぎたようですが、まだまだ雛達は走り回っています。そんな元気な雛達の姿をビデオに収められたので暑さもどうにか我慢できたようです。

現場はスタッフブログの観察会の案内がある位ですから、来る人は拒まずの状態ではあります。パイロンで囲った場所が一応立ち入り禁止にはなっていますが、その外でも雛がいます。また近くでカイトで遊ぶ人、海で遊ぶ人達がいます。繁殖の場所としてはかなり騒がしいと思います。野鳥の繁殖なんかには無関心な人も回りに沢山いるので意味がないかもしれませんが、極力雛にはある一定上は近づかないように撮影する人は配慮するべきでしょう。

トラフズク

 トラフズク、漢字で書くと虎斑木菟。虎のように黄褐色の地に太く黒いしまのある毛並みや模様を虎斑と言い、虎毛のことだそうです。まあ、そんなことは言われなくたってなんとなく分かりますが、中々簡単に見ることは出来ないでしょう。

 大体、都会でフクロウ類が動物園とかは別にして野鳥として見れること自体が稀だと思いますし、特にトラフズクはコミミズクやフクロウなどよりも出会いにくいとされていようです。それがどういう訳か春の日の明るい中で案外あっさりと出会ってしまえたのですから、なんとも言えないですね。

 かなり以前からこのトラフズクはバーダーの間では周知されていたようですが、先週のギンムクドリに続きなんとか巡り合えました。

 現地に到着すると結構な数のカメラマンがすでに待機状態。其の中に混じって管理人もビデオと一眼で撮影を開始しました。

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 柳の木で昼間は寝ているのですが、すぐに発見出来ます。こんなに近くでしかも明るい所で、掛け値なしのトラフズクが観察できるのですから、これは来ない手はないですね。なんとか間に合って良かったと思いました。

 さて、間に合ったのはいいのですが、なんともこの被写体は動きがありません。そりゃ、昼間寝ているのだから当たり前だと言われれば、それっきりですが・・・

 そこをなんとか、目が開いたところや羽を広げたところなんかを撮りたい思うわけです。更にあわよくば、飛び出しなんてのも撮れたらいいな、なんて思うわけです。そうすると、時間が必要ですね。幸い、本日は河川敷にあるグランドが使われていないので、そちらで待機しました。

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 それにしても、動かないなぁ、などとため息をつきながら、少ない動きを察知してシャッターを切ります。少しの動きに反応してカメラマン達が一斉にシャッターを切るのでかなりの音がしますが、それにはまるで反応しません。というより、周りで子供達が騒いでもなんともありませんね。まあ、この辺りの騒音には慣れてしまっているのでしょう。でなきゃ、今までここには居れなかった訳ですよね。

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家庭内では「ガチョーンのポーズ」と言っている

 昨日までは結構寒かったのですが、本日は春の日差しの中で暖かく、撮影のコンディションとしてはかなり楽ですね。

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 不思議な表情と言いましょうか、なんとも言えない表情といいましょうか、フクロウ類の人気の秘密はこの表情なのでしょうか。羽繕いをしている時は猫のようにも見えます。

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 それにしても動かないトラフズク。少なくても管理人達がいた時間、五時間半程度ですが、移動することはありませんでした。まあ、寝ているのだからといえばそれっきりですが。ですから、ちょっとした動作にカメラマン達が敏感に反応します。したがってこのように薄目とは言え、少しでも(目)をあけた瞬間はシャッター音が柳の木の下で激しく鳴ります。

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 ターゲットがすぐそこに見える「待ち」の撮影は、結構時間が過ぎるのが早いものです。それに同じような写真が沢山撮れてしまい後で整理するのがこれまた大変です。枝かぶりしていますから、あまり写真としては頂けないのでしょうが、それでもトラフズクなんてひょとしてこれが最初で最後の出会いかもしれませんので、そんなことも言ってられません。まあ、枝かぶりでもビデオの方がこんな場合は映像としては面白いような気がします。

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ようやく目を開けてくれた。これは別のところに止まっていたトラフズク

 鳥にこれと言って興味の無い人たちにもかなり親しまれているようです。子供達も寄って来て見上げて行きます。ちょっとしたアイドルですね。こんなことがきっかけで野鳥や自然に興味を持ってくるかもしれませんね。それはそれで良いことだと思います。

 少し前までは六羽いたそうですが、本日は三羽。餌場の関係でどこか他のところに行っているのでしょうか。まあ、いずれにしてもこのままここで繁殖するとも思えませんので、何時かは繁殖地に向かって旅をするのでしょう。其の時まで無事に元気に過ごして欲しいと願うのは管理人ばかりではないと思います。


撮影ノート
 撮影をしていてちょっと気になったのが、この枝です。

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 二箇所ほど切跡が新しいですね。どうも、撮影の邪魔になると言う事で、おそらくは夜、人の目がない時に誰かが切ってしまったようです。これはいけませんね。確かに、切っていなかったら撮影がかなり難しくなったとは思いますが、その困難を承知で観察や撮影をするべきでしょう。

都会の小さなオアシス・・・芝離宮恩賜庭園

 当初は浜離宮に行こうかと思っていたのですが、浜松町駅で降りたとき、駅に隣接している庭園が目に入りました。(旧)芝離宮恩賜庭園です。


大きな地図で見る

地図で見てのとおり、文字通り駅に隣接する庭園です。浜松町で下車したことは数知れずあったはずなのですが、ここは一度も訪れたことがありませんでした。まあ、都内の名の知れた庭園を網羅して訪れるというのは相当の手間と時間がかかるので、名の知れたところで行っていない場所はかなりあると思いますが、近くを頻繁に通っていながら行っていない場所もあるものだとも思いました。

 駅から眺めると池があるのが見えます。その中に水鳥たちがいるのが確認できますので、とりあえず行ってみようかということになったのです。どこに何がいるか分からない、それが野鳥観察の面白さでもありますからね。

 入園料は大人は150円です。

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 駅からも近いですし、都会の真ん中といった感じの周りですね。

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 梅がほころんでいました。

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 ツグミのお出迎えです。

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 実はこの日、管理人は望遠レンズは持参しませんでした。ビデオ撮りがメインだったので、野鳥の写真は殆ど撮れていません。

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 池には、キンクロハジロ、ホシハジロ、オナガガモなどの冬鳥の他、カルガモなどもいました。距離が案外近いのでビデオの方はテレコンをつけなくても十分撮影出来ました。丘に上がったキンクロなどを撮れたのは収穫でした。

 写真では撮れませんでしたが、ビデオではキセキレイやジョウビタキなども撮れました。こんな海の近くでキセキレイがいるのは珍しいのかもしれません。ましてやハクセキレイもいますから、迷い込んだのかもしれません。

 かわりと言ってはなんですが、スズメです(笑

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 福寿草。屈んで撮るのは大変ですね。

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 蝋梅。

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 公園管理の人に聞いたら、ミコアイサなんかも来ることがあるらしいですね。ここなら、近いですから写真やビデオを撮るのには好適かもしれません。ミコアイサが来た時はかなりのカメラマンが来たようです。通常は、殆どと言っていいほど、野鳥を観察や撮影に来る人はいないようです。それでも、少なくても年に一度くらいは冬鳥を観察にきたら、案外面白いものがいたりするかもしれません。ちょっとした都会の穴場かもしれませんね。