トラフズク

 トラフズク、漢字で書くと虎斑木菟。虎のように黄褐色の地に太く黒いしまのある毛並みや模様を虎斑と言い、虎毛のことだそうです。まあ、そんなことは言われなくたってなんとなく分かりますが、中々簡単に見ることは出来ないでしょう。

 大体、都会でフクロウ類が動物園とかは別にして野鳥として見れること自体が稀だと思いますし、特にトラフズクはコミミズクやフクロウなどよりも出会いにくいとされていようです。それがどういう訳か春の日の明るい中で案外あっさりと出会ってしまえたのですから、なんとも言えないですね。

 かなり以前からこのトラフズクはバーダーの間では周知されていたようですが、先週のギンムクドリに続きなんとか巡り合えました。

 現地に到着すると結構な数のカメラマンがすでに待機状態。其の中に混じって管理人もビデオと一眼で撮影を開始しました。

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 柳の木で昼間は寝ているのですが、すぐに発見出来ます。こんなに近くでしかも明るい所で、掛け値なしのトラフズクが観察できるのですから、これは来ない手はないですね。なんとか間に合って良かったと思いました。

 さて、間に合ったのはいいのですが、なんともこの被写体は動きがありません。そりゃ、昼間寝ているのだから当たり前だと言われれば、それっきりですが・・・

 そこをなんとか、目が開いたところや羽を広げたところなんかを撮りたい思うわけです。更にあわよくば、飛び出しなんてのも撮れたらいいな、なんて思うわけです。そうすると、時間が必要ですね。幸い、本日は河川敷にあるグランドが使われていないので、そちらで待機しました。

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 それにしても、動かないなぁ、などとため息をつきながら、少ない動きを察知してシャッターを切ります。少しの動きに反応してカメラマン達が一斉にシャッターを切るのでかなりの音がしますが、それにはまるで反応しません。というより、周りで子供達が騒いでもなんともありませんね。まあ、この辺りの騒音には慣れてしまっているのでしょう。でなきゃ、今までここには居れなかった訳ですよね。

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家庭内では「ガチョーンのポーズ」と言っている

 昨日までは結構寒かったのですが、本日は春の日差しの中で暖かく、撮影のコンディションとしてはかなり楽ですね。

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 不思議な表情と言いましょうか、なんとも言えない表情といいましょうか、フクロウ類の人気の秘密はこの表情なのでしょうか。羽繕いをしている時は猫のようにも見えます。

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 それにしても動かないトラフズク。少なくても管理人達がいた時間、五時間半程度ですが、移動することはありませんでした。まあ、寝ているのだからといえばそれっきりですが。ですから、ちょっとした動作にカメラマン達が敏感に反応します。したがってこのように薄目とは言え、少しでも(目)をあけた瞬間はシャッター音が柳の木の下で激しく鳴ります。

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 ターゲットがすぐそこに見える「待ち」の撮影は、結構時間が過ぎるのが早いものです。それに同じような写真が沢山撮れてしまい後で整理するのがこれまた大変です。枝かぶりしていますから、あまり写真としては頂けないのでしょうが、それでもトラフズクなんてひょとしてこれが最初で最後の出会いかもしれませんので、そんなことも言ってられません。まあ、枝かぶりでもビデオの方がこんな場合は映像としては面白いような気がします。

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ようやく目を開けてくれた。これは別のところに止まっていたトラフズク

 鳥にこれと言って興味の無い人たちにもかなり親しまれているようです。子供達も寄って来て見上げて行きます。ちょっとしたアイドルですね。こんなことがきっかけで野鳥や自然に興味を持ってくるかもしれませんね。それはそれで良いことだと思います。

 少し前までは六羽いたそうですが、本日は三羽。餌場の関係でどこか他のところに行っているのでしょうか。まあ、いずれにしてもこのままここで繁殖するとも思えませんので、何時かは繁殖地に向かって旅をするのでしょう。其の時まで無事に元気に過ごして欲しいと願うのは管理人ばかりではないと思います。


撮影ノート
 撮影をしていてちょっと気になったのが、この枝です。

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 二箇所ほど切跡が新しいですね。どうも、撮影の邪魔になると言う事で、おそらくは夜、人の目がない時に誰かが切ってしまったようです。これはいけませんね。確かに、切っていなかったら撮影がかなり難しくなったとは思いますが、その困難を承知で観察や撮影をするべきでしょう。

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