里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part11

 ハヤブサの時も書きましたし、里山で見ていても思うのですが、餌を獲るということは我々が考えている以上に難しいことではないかと最近特に思っています。サシバの狩りをするところを何回かみてますが、成功率かなり低いように思います。相手も生き延びようと必死ですから当たり前のことなんでしょうが。

 自然とは緩い場所ではなく厳然とした場所なんだと言うことにつきるのでしょう。

 どれくらい餌が獲れなければ餓死してしまうのか分かりませんが、まともに成長するためには大変な労力を費やして餌を捕獲する必要があるということです。

 生まれたての時は餌をちぎって与えていたので餌やりは時間がかかっていましたが、今はあっという間です。餌を殆ど一のみしているようです。すると親は休む間もなく次の餌取りに飛び立ちます。

 こうしたサシバの動きを観察していると秋のワタリの時の感慨も一入になるような気がします。

 余談で且つ食事時なら憚られる話ですが、雛たちは巣を汚さないために糞を外に向けてします。巣の回りは糞の跡が結構ついています。実は結構これ大事なことですよね。

 誰に教わる訳でもなくこれが本能というヤツなんでしょう。生きて行くための知恵があらかじめインプットされている訳ですね。

 さてサシバの子供達の生育状況は順調といえるようなので安心しました。回りを見渡すと稲の成長も順調のようです。そろそろ巣立ちも近いのかと思いつつ撤収と相成りました。

追記:

あと番外編としてですがアマサギがいました。

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part10

長野のハヤブサもそうですが、里山のサシバの成長も早いですね。ここのところ一週間おきに観察していますが、一週間経つとまるで別の個体のように見えます。さて今週の成長具合は・・・

びっくりですね。先週は殆ど白かった個体が随分と色づいてきました。よく大人になると色気づくと言いますが、文字通り見た目が色気づいてきています。すでに雛とは言えないのかもしれません。

ただ、成長具合はバラツキがあるようで白い個体の雛も見えます。

生まれた日は違ってもせいぜい二三日だと思うのですが、随分と見た目は違うものです。餌の摂取具合の差によるところが大きいのでしょうか。親はせっせと餌を運んできますが絶対量は不足しているのかもしれません。

一説によると親子で繁殖期にカエルは千匹くらいは摂取するとの話を聞いたことがあります。千匹くらいの換算量なのか文字通り千匹なのかは分かりませんが、相当な量であることは間違い無いようです。ですから観察していても親が巣に殆どいない状態になっています。これだけ雛も大きくなると外敵にやられるリスクは減るからかもしれませんが、それ以上に餌が必要なんだと思います。

続く・・・

戸隠森林植物園 2017 Part5 まとめ編

 今季の戸隠森林植物園は2回に分け泊まりは4回となりました。2泊、2泊です。間を分けて2回訪れるのは1回だけだと情報不足で終わってしまう可能性が高いのと、営巣の変化の具合を観察出来るなどの理由があります。出来れば5月中に2回くらい来た方がいいのですが、今季は5月中は諸般の事情によりスケジュールを組むのが無理でした。

 それでも今回はハヤブサの巣立ち後を観察することが出来たし、それなりに充実していたと思います。

 最終日の朝、もう一度ハヤブサの巣の近くに寄ってみました。昨日いた個体が見えません。どうやら飛んでいったようです。大分あれからプレッシャーをかけたのかもしれません。

 よくよくみると高圧線の上、親が佇んでいました。

 すぐに下に降りて巣の近くに来ました。

 しばらく動きが無かったのですが突然飛び出しました。しかもご覧のとおり・・・

 ここに餌を隠しもっていたのでしょう。そして対岸に向かって飛んでいきました。

 さすがのハヤブサも餌を持ったままだと従来のスピードが出ません。そうなると撮影はかなり楽でした。行き先を見ていると並んでいるビルの屋上の一角でした。つまりそこに子供達がいると言うことになるのでしょうか。子供達の姿は確認出来ませんでしたが、狩りの出来ない子供達に餌を運んだと言うことなんでしょう。

 我々が思っている以上に狩りは難しいのかもしれません。一月半くらい前に生まれたばかりですから、見た目は結構デカくて大きさは親と変わりませんが、やはり中身は子供なんですね。成長の早さに眼を奪われがちですが、見た目の具合とハヤブサとしての能力のアンバランスはそうは簡単に解消しないのかもしれません。

 そうなるとやはりそれなりに生き残ることは大変なことなんですね。毎年この調子で増えていったら日本中ハヤブサだらけになりますが、そうはなっていませんからね。

 さて、戸隠森林植物園の方ですが雪も大分溶けました。まなびや側の駐車場の裏の水芭蕉の生えているところの雪も殆ど残っていない状態になりました。

 6月のはじめに来ときは・・・

10日あまり経っていますが夏が近い証なんでしょうか。

 園内の水芭蕉よりここの水芭蕉の方が遅いみたいですね。雪に埋もれていた所為もあるのかもしれません。

 緑鮮やかなこの季節は良い季候です。秋の紅葉もいいですが、新緑の芽吹く季節は風の薫り方が一段と濃く感じます。それだけ生命の躍動する季節ということなんでしょう。

 できれば来年も、再来年もと体力と気力が続く限りは来てみたい場所のひとつですね。そんな思いを胸に信州を後にすることになりました。

戸隠森林植物園 2017 Part4 番外 ハヤブサ編

戸隠森林植物園で長野市内でハヤブサの雛が孵ったという情報をもらいました。朝森林公園で撮影を終えてホテルで朝食を摂ってから長野市内まで出張りました。

雛が孵った後6月6日に地元の新聞に写真付きで紹介されていましたから地元の人にとっては周知のことですね。その新聞を見せてくれたカメラマンの方もいました。

さて雛が孵ってもまだ巣の周りにいてバラバラにはなっていませんでした。親が餌を与えていましたから、もうしばらくはこの辺りにいるのではないかと思います。

おそらく一番子だと思いますが高い鉄塔の上からガンガンに飛んでいました。餌取りはまだ出来ないようですが、結構達者な飛びっぷりです。親から空中で餌をもらっていました。単独で狩りが出来る日も近いでしょう。

元気な一番子もいますが未だ引きこもり状態の子供達もいます。

やる気がないのか岩の上に寝そべっている子供もいます。結構照り返しで暑かろうにと思うのですが。生まれた順番で結構体の大きさが違うのがなんとなく分かります。のぞき込んでいるのは二番子、寝ているのが三番子でしょう。

この二番子は結構親から挑発されています。

何回か挑発されても中々飛び立とうとはしません。親は子供の成長を待ちわびているのは人間も鳥も一緒だなぁと妙に感心しました。未だ引きこもっていてもやはりハヤブサの子。中々いい面構えではないでしょうか。成鳥になるのが楽しみです。

子供達にハッパをかけながら餌取りもする。親は大変です。

一回りしてきてまた子供にハッパをかけています。「いい加減飛び立てや~」とか凄んでいるのでしょうか(笑

お母さん(多分)にせき立てられてもまだまだその気にはならないようです。こんな表情をみせるとまだまだ子供だなと思います。

連れ合いがキビタキの巣を撮り損ねていたので戸隠森林植物園に戻りました。明日は帰りなので朝、もう一度寄ろうと思っています。

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part9

雛の成長は早いです。一週間も経つと驚くほど大きくなっているものです。当たり前ですが人間とはその辺りはまるで違います。

さてどれほど成長したか楽しみな一方無事に育っているかの不安もあります。そんな思いを抱きながら一週間ぶりのご対面です。

朝方、靄が掛かっていて視界が悪いですが、かなり成長した雛の姿を確認することが出来ました。

もう少し拡大してみると・・・

頭一つ、かろうじて巣から見えていたのが、あきらかに大きくなっている様子が窺えます。それに三羽とも元気そうですね。おそらくは一番子だと思うのですが、これが結構危ない動きをします。

よくよく見ると真っ白から少し茶色い模様が見え始めています。だんだんタカらしくなっていくんでしょうね。

朝方は逆光ですし靄もかかりやすいので視界がいまいちなんですね。そして日中気温があがると空気の揺らぎがひどくなってこれまた望遠泣かせの状態になります。薄雲の風がない状態がいいようですが、中々そうはなりません。それでも日中もう少し視界が良くなってから撮り直してみました。

いくらかましでしょうか。

そしてこの頃になると餌を殆ど一口で食べているようです。餌の摂取量が格段に多くなっている感じです。それだけ成長も早いのでしょうね。

毎度毎度同じことを書きますが、親は餌取りに奔走している感じです。

回りを見渡すにも忙しそうです。

この日は風が強く珍しく低い位置からの餌取りもありました。

何か餌を見付けたのでしょう。低い滑空です。

そして餌めがけて着陸・・・

しかし残念。餌は捕れなかったようです。


追記:
餌を足で捕まえてるのではないかと思う方もいるかもしれませんが、このあとすぐに次の獲物を求めて飛び立ちました。そして次の成否は分かりません。


こうしてみていると餌取りは楽ではないなと感じます。自分たちが食べる分だけなら訳もないかもしれませんがプラス育ち盛り三羽分となると容易ではないでしょう。今回のような餌取りに失敗することかなりあるようなのでいつもいつも満腹ということにはならないのかもしれません。

さて、そんな親の苦労も知らず三羽は巣の上で元気で過ごしているようです。名残惜しさは一入ですが次回逢うのを楽しみに撤収となりました。