夏の三番瀬・・・そして誰もいなくなった

秋のワタリまでもう一息。鳥見をするには暑い季節さなか、たまにはということで、三番瀬に行ってみました。本当は海の日に行こうかと思っていたのですが、天候が宜しくない。それで今日になったのですが、早立ちして早く帰ってこないととんでもなく渋滞するので朝は四時起きとなりました。

5時ちょっと過ぎに出立。湾岸線はかなりの交通量でしたが、渋滞は始まっていませんでした。三番瀬には6時ちょっと過ぎに到着。潮は長潮で満潮は7時59分の予定。おそらく状態としてはあまり良くないはずです。

海に出てみると案の定、ひたひたの状態です。

ここのところぐずついた天候が続きましたが、今日はそこそこの天気。しかしこの海岸の状態では餌を啄むシギチ達は期待出来ません。そんななか三番瀬でおなじみのオオソリハシシギを数羽見ることが出来ました。

夏羽ですね。葛西臨海公園ではオグロシギをよく見かけますが、三番瀬ではまずお目に掛かりません。逆に葛西臨海公園ではオオソリハシシギを見ることはまずありません。対岸にありながら色々と条件の違いからか面白いですね。実はこの近くに谷津干潟がありますが、ここはここでまたひと味違うようです。

飛び出しが撮れたなんて喜んでいる場合ではなかったのです。飛び出した直後に海の方からどう見てもシギチとは思えない飛翔体。うーん、なんだかどこかで何回も見たような飛びっぷり。

まさか・・・とおもいつつ、オオソリハシシギが飛び出した直後にその飛翔体にレンズを向けました。

「あ、駄目だ・・・」心の中で落胆する声が聞こえました。

写真で確認すれば、腹の縦縞模様と黒い虹彩、まごうこと無くハヤブサの若鳥であることを物語っています。

管理人は猛禽が好きです。それを見るために遠くにも出かけますし、同じ場所に何回も通います。一年の大半は猛禽を中心とした観察や撮影に出かけていると言っても過言ではないでしょう。

でもね、だからと言ってここで出てこなくてもと愚痴りたくなるのは三番瀬ならではの話です。

そうです、餌になりたくないシギチ達はあっという間にいなくなってしまうのです。そして当分は戻ってきません。僅かにいたシギチ達は陰も形も見えません。しかもこれからまだ潮は少しあげてきます。

行徳でもここでもハヤブサはたまに見かけます。行徳ではカモの群れにハヤブサが正面から突っ込んでいったのを見たことがありました。あれはあれで迫力のあるシーンでしたが、ここではNGです。ここに来る時は、管理人でさえ猛禽類はご遠慮願いたいと思っているのです。でも、そんなことを願っても栓の無いことなんですけどね、分かっちゃいるけど・・・って感じでしょうか。

まあ、ウミネコやサギ類くらいは居残っているんですけど。

こんな時は沖合を通る船でも撮ってみるのもいいですね。ここならではの被写体です。

今日は夏にしては視界がいいですね。夏だとあまりクリアに写らないことが多いのですが。

さて、ここでは撮りモノが無くなったので、時間も早いので谷津干潟に行ってみようということになり7時ちょい過ぎに到着。そしたら開園が8時30分でした。忘れてましたね。停める場所もないのでそのまま帰ることにしました。

帰りは東行きの葛西付近では渋滞勃発でした。まだ8時前なんですけど、それゃ混みますわ。西行きも海ほたるの渋滞が空港中央あたりまで伸びているようなので箱崎回りで帰りました。都心環状線を回ったので渋滞せずに帰れましたが、大師の出口付近ではつまり出していました。あと1時間もするとこちらに迂回した車で渋滞するかもしれませんね。この時期好き好んで渋滞にハマるのもいやなので早々の撤収と相成りました。

夏の思い出・・・コアジサシ雛かえる 2011 夏

夏が来れば思い出す・・・童謡「夏の思い出」の出だしのフレーズは、大人の日本人なら知らない人はいないと思います。様々な季節の思い出がありますが、このフレーズに具現される思い出はおそらく日本人共通の原体験に根ざしているところがあるような気がします。何故ならそれは子供の頃の夏休みの体験に基づいているからだと思うのです。

大人になるとさすがにあれほど休むことは出来ません。それでも夏は生きている限りは巡ってきます。そして大人になってからもささやかもしれませんが、夏の思い出が出来ることがあるでしょう。管理人にとって、そんな大人になってからの「夏の思い出」の一つに、コアジサシの雛たちがいます。

わずか2シーズンしか見ることが出来ませんでしたが、それを拙いかもしれませんが映像として残してあります。最近は滅多に見ることがなくなりましたが、ふと夏の寝苦しい夜に目が覚めて、自分のチャンネルを見たら、久しぶりにスクリーンショットをみつけました。思わず見入ってしまいました。

作品の出来映えはさておき、いい年をしたおじさんがコアジサシの雛たちを本気で応援したくなる心持ちになっていたことは思い出しました。

あの時の雛たちはどうなっているのだろうか。すでに6年もたっているので確かめようもありませんが、しっかりと懐かしい夏の思い出になっていました。

この動画は鳥たちとの出会いは管理人にとって「思い出」と言う名の大切な財産であることを思い出させてくれました。

里山の夏・・・サシバの親子達のその後 Part15 & Part16

今週末は田舎に帰るのでその行きと帰りに里山に寄ったのでナンバリングはPart15、Part16となりました。そしてさすがに「里山の春」とは言いがたい季節になり、雛も巣立ったので「里山の夏」としました。どうでもいいことですが、ケジメといいましょうか、区切りですね。

さて稲穂の伸び具合はかなりのもので梅雨明けはしていませんが、夏真っ盛りと言った陽気になってきました。

そんな中、巣立ちを果たしたサシバ親子達のその後が気になり、短い時間ではありますが、両日に渡って訪れることになりました。土曜日の朝、到着後すぐに目に付いたのは・・・

逆光で距離もありますが、黒い虹彩、お腹の縦縞模様などから幼鳥であるのが一目で分かります。身構えもだんだんタカらしくたように感じます。身も詰まってきたのでしょう。しかし、暫く観察していても自ら餌を獲る素振りはありません。

親の方は管理人達には目もくれず飛んで行きます。しかし幼鳥はそのようなことはありません。中々幼鳥の飛翔シーンは撮れないですね。

換羽前なんでしょうか。かなり羽がスカスカです。

それでもたまにおぼつかない足取り(羽取り?)で幼鳥が姿を見せます。電線に載ろうとしてコケそうになります。

羽をひろげたところを見ると羽の痛み具合が親に比べて殆どありません。これから換羽するような感じではないですね。幼鳥の方が渡る時期は早いと言われていますが、親鳥の換羽の時期と関係があるのでしょうか。

この両日はよくオスを見かけました。メスもいるにはいましたがあまり飛びません。

暑いせいか口をあけて飛んでいます。南洋系のタカとは言えこの暑さはやはり堪えるのでしょうか(笑

先ほどの幼鳥と比べると羽が随分と痛んでいるように見えます。痛んでいると言うよりは換羽の途中といった方がいいのかもしれませんが、やはりワタリの時期がずれるのはこの羽の所為のような気がします。

すでに巣立ちをしていますから巣は空っぽです。ですが巣の近くで親子達は暮らしているようです。気がついたのが遅くて写真には撮れませんでしたが、土曜日は朝方上昇気流にのって滑翔の練習を親と一緒にやっているかのようでした。

日曜日、子供達の啼く声はよく聞こえたのですが、飛び立つことはありませんでした。時間が少し遅かったかもしれません。いずれにしても親は子供達を誘導するかのように時折飛び回ります。親が餌を咥えて飛んでいるとこを見ませんので餌自体は森の中で捕獲しているのかもしれません。

別場所で観察していたら四羽から五羽のタカ柱を見ることも何度かありました。この時期はミニタカ柱が立つことがしばしばあるようです。まさに秋の予行演習ですね。

さて、そうなると一旦は区切りをつけたつもりのサシバの観察ですが、「里山の夏」バージョンも考える、つまりワタリ時期の確認です。

ただ暑さが・・・まあ、田園を吹き抜ける風は都会と違って心地よいですが大概は日除けもない場所での観察ですからね。逡巡してしまいますが、このまま秋のワタリまで見届けてやりたいと言う気持ちは日に日に強くなって来ました。

さて、さてどうしたものかと思案しながらの撤収と相成りました。

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part14

翌日は雨も上がって結構早くに観察に出かけました。メスの親が餌取りをしているところに遭遇。昨日は子供の姿が見えなくなったところで管理人達も撤収したのでその後が気がかりです。

とりあえず巣をのぞいてみると・・・

最初は一羽しか見えませんでしたがしばらくすると・・・

両方お腹が縦縞で虹彩も黒いですから子供達ですね。昨日は見えなかった二番子も餌を貰いに戻って来たのでしょうか。

どうもタイミングが悪いみたいで親が戻ってくるといない・・・みたいな感じですね。自力では餌は捕れなくてもかなり大きいですから動き回ることは動き回るようです。まあ、これは致し方のないことなんでしょう。

それでもなんやかんや観察していると最大で4羽が飛んでいるのを確認出来ました。まあ、遠くて写真にはなりませんでしたが。どうやら一番子以外はまだこのあたりにウロウロしていたということなんでしょう。

羽がかなりボロボロです。これから換羽するのでしょう。最後はメスの親と三番子が上昇気流に乗ってどこかに飛んで行きました。それっきり巣の回りに気配がなくなりました。その時は動画を撮っていたので写真は撮れませんでしたが、ほんの僅かですが二羽で巣を飛んで行く姿を動画に収めることは出来ました。これが見納めだろうなという思いがしました。

里山に通うこと幾十度。Partも14まで来ました。今週末は田舎に帰るので途中に寄ってみるつもりですが、おそらくはこの場所にはいないと思います。ですが、一番子以外は無事な姿を確認出来ましたからそれで十分と言えば十分です。おそらく一番子もどこかで元気に飛び回っていると思います。

整理すると、一番子とオスの親が最初に次の餌場に移動し、二番子が次に移動、そして最後は三番子がメスの親と一緒に移動、そんな感じだと思います。サシバは夏には森の中に移動し、餌もカエル類からセミなどに変わり、養生しながら換羽して秋のワタリに備える・・・こんな段取りのようです。

このあたりのサシバはワタリの時期がいくらか早く、八月の半ばくらいから始まるのではないかと思っています。足環をつけて確認するわけにもいきませんから何とも言えませんが、比較的近い場所のワタリの実績をみるとそんな気がします。

サシバに限らずタカのワタリについては不明な点が多く、解明されていないことが沢山あるようです。管理人達が少しばかり観察をしたからと言って不明な点が分かるはずもありませんが、それでも営巣を断続的ですが観察していると色々なことに気づきます。特に営巣に好適な場所はいくつかの(古)巣を比べるとなんとなく見えてきます。

不用意に近づきすぎて観察圧力を強くかけ続けると営巣の放棄という最悪の事態を招きかねませんから、そのあたりは注意が必要です。それでも雛が孵ってからは放棄するようなことはなさそうです。

気のせいかもしれませんが、通い続けていたらサシバの方の警戒心が薄らいだのか、結構近くを平気で飛んで行くこともありました。これが仇になって望遠レンズでは撮りはぐれることしばしばでしたが(苦笑

さて、名残惜しいのは山々ですが、これで観察も一段落です。まあ、無事な巣立ちを確認できたのは本当に良かったと思います。ですがサシバにしてみればこれで終わりではありません。ワタリを無事にこなし来年は子供達が成長して、ここに親鳥として戻ってきて欲しいのです。おそらくは同じ場所に巣は作らないらしいですから、来年も営巣場所がみつかるかは分かりませんが、元気な姿を見ることができるように祈りながら撤収と相成りました。