野焼きの後は・・・緑の絨毯 渡良瀬遊水地

今年の春、初めて渡良瀬遊水地の野焼きを見ました。野焼きだけを見て今シーズン終わってしまってはと思いました。その後どうなっているのか。管理人達が再び渡良瀬遊水地を訪れるのは次の冬のシーズン。今シーズン最初に見たような葦原になっているはずです。それでは変化が分かりません。

サシバの里でサシバの営巣を観察した帰りに寄ってみることにしました。

こんな感じで焼けた葦原が、

こんな風に緑の絨毯のようになっていました。野焼きから約40日後になります。これから夏に向けてさらに葦は伸びていくのでしょう。コヨシキリやオオヨシキリ、ノビタキなどの声が聞こえますが、姿は殆ど見えません。その他の夏鳥も姿は見えませんでした。

浮島湿原は昔は野焼きをしたそうですが今はしないとか。率直に言ってこの緑の絨毯を見たら野焼きはやった方がいいような気がします。新芽が芽吹くというのはいいものです。何より生命の律動を感じます。若い季節、そんな言葉がぴったりときます。

サシバの里の営巣はなんとか順調に進んでいるようでした。放棄すること無く、親鳥が巣にいましたので、とりあえず安心しています。撮りモノ的には、抱卵中なので動きがあまりなく、シャッターを切るチャンスはありませんでした。遠くから眺めているだけなのでそれも致し方ありません。あまり近寄ると色々と差し障りもあるのでもう少しの辛抱かと思います。

さて、5月も近く春から初夏へと季節は移ってきたようです。繁殖のシーズンもこれからが本番です。例年ですとこれから、キビタキ、サンコウチョウとの出会いが待っています。週明け3日からの連休はいつもの通り、キビタキの森へ行ってきます。

そんな夏鳥達との出会いを想像しながら、撤収と相成りました。

 

芝桜が咲く頃・・・里山の春 Part2

芝桜を鑑賞した後にサシバを探して走ります。電柱、電線によく留まっているので脇見運転にならないようにゆっくりと走りながら探します。交通量は非常に少ないので迷惑になることありません。

大分通っているので大体コースは決まっています。なんとなくいそうな場所が分かってくるのでその辺りを特に気を付けます。勿論、油断はなりません。少しでもあれっと思えばすぐに車を止めて確認します。

長閑な里山ですから、のんびりと回っていてもなんともないのですが、希に車が後ろに来たりします。すぐに左に止めてやり過ごします。田んぼと田んぼを繋ぐ狭い道もありますから、ともかくのんびり運転が鉄則です。

さて、そんなこんなしているうちにチラッと視界に入った電柱サシバ。今日は活性が低いのか殆ど見かけなかったのですが、ようやくと言った感じでお目見えです。車を脇に寄せしばし観察。すると電柱から飛び出して稲が植わってない田んぼに餌を求めて滑翔して行きました。

そんなのをしばらく観察。この辺りを縄張りにしているようなのでカメラとレンズをセット。車を陰にして距離を置いて待ちます。遠くの桜の木の前の建造物に留まりました。後から見て分かったのですが口に餌を咥えていました。

どうもこの辺りに巣がありそうな感じがしました。さらにしばらく観察していると今度ははっきりと口に餌を咥えて飛んできました。

今度は反対から桜の木に向かって飛んで来ました。桜の木から姿が出て来るのを待っていると姿が見えません。少し角度が悪いようで、遠くから回り込んで後ろにある赤松を観察してみると・・・

はじめは巣だけかと思っていたのですが、動きがあったのでレンズを向けてみました。これも後で分かったのですが、この時は番でいたようです。暫く遠くからスコープで観察していると先ほど捕ったと思われるカエルをメスが食していたようです。カエルには災難ですが、これも食物連鎖です。

あまり巣に近づかないで遠くからの観察ですから、なんとも言えませんが抱卵していそうな感じです。

春から夏は繁殖のシーズン。繁殖する生き物はこれからが本番です。サシバだけではありません。

生きとし生けるものが戦い(やり)合う季節です。食物連鎖は一見残酷ですが生き物たちのぶつかり合いがあって自然が成り立つのです。優しさと厳しさに満ちている季節をまた過ごせるのだと思いながら撤収と相成りました。

サシバが渡る・・・春の菜の花台

春です。ワタリ鳥が渡ってきます。良い季節です。冬の猛禽も良かったけど、野鳥達が生き生きと見えるのは夏の繁殖シーズンです。その前哨戦が春のワタリ。いろいろと用事があり中々出かけられませんでしたが、県内でサシバの春のワタリの観察記録をネットに公開している菜の花台にお邪魔してみました。

菜の花台は東名高速秦野インターから11.5キロ、25分程度で着きます。菜の花台に向かう県道は自転車が多いので注意が必要です。また、途中から幅員が狭くなりますので対向車にも注意が必要です。

春は菜の花台、秋は権現山でワタリの観察をふれあい自然探鳥会の方がされていて、タカのワタリ全国ネットワークでも速報が見れます。現地では色々と参考になる情報を教えて頂きました。

今年はすでに600超える個体が渡っていったようです。昨年の秋は天候不順により例年と様相が違いましたが、今年の春も少し違うのかもしれません。いずれにしても無事に戻ってくれるのが何よりです。

到着は6時25分頃。すでに陽が昇り良い天気です。

桜も見頃。ただ、観察されている会員の方によると、この辺りの木はてんぐ巣病らしく花が咲かない枝がかなり増えているようです。言われてみれば花が咲いていない枝がかなりあります。放っておくと桜が台無しになります。なんとか(秦野市に)予算をつけて対策をして欲しいと思います。

展望台からの眺めもなかなか良いです。天気も良く、富士山も綺麗に見えます。この時期だとまだまだ雪が残っています。

展望台に登って最初に見付けたのはウグイス。いい声で啼いていました。

なかなか明るいところに出てきてくれませんが、何気に出てきました。この時期だと枯れ木も多いですから、こんなこともあるのでしょう。ウグイスの次はホオジロ。

陽が昇り気温も段々と高くなってきましたが、サシバは飛びません(笑

かなり数が出ているし昨日は2個体だったそうですから、数的にはかなり厳しいかもしれません。そんな中突然にオオタカが飛び出してきました。この辺りに巣を構える個体だろうとのことですが、オオタカはいつ見てもいい姿ですね。

オオタカは何回か飛んでくれました。オオタカの次はコサメビタキ。春のワタリだなって感じになってきました。

サシバですが、11時過ぎにようやく二羽がお目見え。上昇気流にのり、東へサーッと流れていました。今年初めて見たサシバのワタリ。感動ものです。数はともかくこれが見られることの嬉しさは格別です。ただ距離は遠く、証拠写真にもなりませんが、一応載せておきます。

その30分後くらい後に別個体が一羽で渡っていきました。これも同じように遠くでピントが来てない証拠写真ですがなんとかサシバと分かると思います。これで都合3羽渡りました。

管理人達は午前中で撤収しましたが、その後速報を見ると合計で6羽渡ったようです。数は少ないかもしれませんが、まだまだ油断できる状態ではないようです。

タカのワタリは解明されてないことが多く、興味深いものです。渡っていく姿をみるのもいいですが、ワタリの理由をあれこれ考えるのも一興です。さて、出来れば近々に「サシバの里」にも行ってみたいのですが、野暮用が多く来週は無理のようです。ゴールデンウィーク辺りはなんとか出張りたいと思いながら撤収と相成りました。

春の海浜回り・・・三番瀬から葛西臨海公園

桜もぼちぼちと咲き始めました。春本番ですね。そうなるとワタリもいよいよ賑やかになってきます。ここは無難に海浜回り、「三番瀬辺りから葛西臨海公園だな」となりました。

三番瀬に到着したのは6時15分頃。潮の加減もありますし、遅くなるとディズニーランド渋滞もあるので、そこそこ早い時間です。鳥の方もあまりおそくなると「まったりタイム」になってしまうのもあります。さて、到着して沖眺めるともの凄い数のスズガモの群れです。

これは越冬組ではなくワタリ組でしょう。それにしても凄い数。昔は行徳あたりを含めるととんでもない数のスズガモが越冬していたそうですから、それから比べると今は随分と減ったそうです。そうなるとワタリも相当減っていると考えていいのでしょうか。

ハマシギが餌を啄んでいます。少しだけ夏羽模様が出ているものいます。

ウミアイサが比較的近くに出ていました。

これは求愛のディスプレイでしょうか。いつか見たのとは少し違うようですが。

ほどなく飛び立って行きました。ワタリの途中だったのでしょうか。

さて、さきほどのスズガモが7時過ぎくらいに一斉に飛び立ちました。こんな数のスズガモが一斉に飛び立つ風景は初めて見たと思います。いつからいたのかは分かりませんが、これから繁殖地を目指して長い旅になるのでしょう。

それにしても凄い数です。日本各地からここに集まってきたのでしょうか。羽を休めて餌を得るには好適な場所なんでしょう。ワタリの水鳥にとってここはなくてはならない場所なんでしょう。

ワタリでなくてもいつものミヤコドリもいました。

さて、遅くなると帰りが混むので早々に葛西臨海公園に移動です。西なぎさに「ヘラサギとクロツラヘラサギ」がいるとの情報がありましたので出張ってみました。

西なぎさに行ってみるとあっさりと確認出来ました。それも結構近いですね。普通のサギに混じって捕食をしていましたが、そのうち二羽で並んで捕食していました。いくら種が近くても別物だと思うのですが、ここでは少数派同士ということで、つるんでいるのでしょうか。カメラマンが結構います。

逆光です。沖に出て回り込んで撮るわけにはいきませんので、致し方ないですね。

眼の先から顔の黒い方がクロツラヘラサギなんでしょう。似ていると言えば似ています。さて、道路が混まないうちに早めに昼飯を摂って撤収ということに相成りました。


追記:
昼飯を葛西臨海公園で摂って昼には出たのですが、湾岸線は渋滞していました。年度末、春休みのの大移動なんでしょうね。ここのところ昼頃の帰りでも混まれています。

 

春近し・・・野焼きごとの暖かさ Part2

野を焼く、野焼きですよね。普通はこんなことしたら犯罪です。付け火の罪は昔から重いのです。ですから火の取り扱いには十分な注意が必要な訳です。さて、こちら側も火の手が上がりました。

公示された開始時刻は8時半ですが、細かいことはこの際抜きなんでしょう。状況が宜しければそれなりにと言うことなんだと思います。それにしても葦は良く燃えますね。着火の具材として良く使われるようですが、成る程と思います。しかし不埒な奴がいて火付けをしたら一溜まりもありません。つまり、定例どおり野焼きが行われるということは、そのような不心得者が一年間居なかった証にもなるのでしょう。

目の前を火柱が走ります。熱風が頬を撫でます。比較的風が穏やかなので「撫でる」程度なのかもしれませんが、一瞬この火が暴れたらと不安に思うこともあります。勿論、見てのとおり手前は葦が綺麗に刈ってありますから、燃料がないわけでこちら側には物理的に火が回る心配はないのです。

余談ですが、このような火の動きを見ていると、防火帯がいかに必要かと言うことが分かります。当たり前ですが、火は燃料が無ければ燃えません。つまり、燃える具材の無いところに火は移りようが無い訳です。つまり普段なにげに通っている道路が実は火の回りを止める防火帯の役目も担っている・・・こんなことは大人の常識なんでしょうが、改めて感じます。

実際に焼け野原を見ることは管理人達も含めてまずないと思いますが、まさに焼け野原。ある意味清々しいくらい綺麗にものが無くなっています。無くなったものが葦原ですから見通しが良くなります。そしてこれがこの土地の再生に不可欠なんでしょう。

ただ、ちょっと気になるのは自生してる木です。燃えて無くなるじゃないかと心配する人もいるかと思いますが、まあ、これが案外平気。生木を焼くほどの火力が葦原にはないんですね。その辺りも計算済みと言ったところでしょうか。

確かに表面は焦げますが、存在を脅かすほどのことはないようです。そしてこれで陽が地面に満遍無く行き渡るのでしょう。

さて、この黒い焼け野原とは対照的に菜の花が綺麗です。

時期なんですね。春が近い。菜の花は春の花と言う印象はありません。春近しと言った印象です。もっと細かく言えば梅と桜の間を繋ぐ花という感じですか。

美しい菜の花の向こう側に見える焼け野原。この対照的な写し絵が渡良瀬遊水地に春を告げるのでしょう。写真では伝わりませんが、実はこの辺り一帯が焦げ臭いのです。でも、それも春近しの風物詩の一つなのだと思います。

単純に見た目が綺麗なモノだけが存在してくれればいいのかもしれませんが、そうではないのが自然です。その自然を受け入れつつ、次の為の再生を行う。それを幾世代も繰り返してきた人間の知恵もあるのでしょう。自然とは本来残酷で過酷なものです。それとうまく共生して行くには人間側の知恵が必要です。それを垣間見ることができる野焼きの風景かな・・・なんて柄にもなく考えてしまいました。