管理人越後路を行く・・・松之山 Part5

察するにクマタカがサシバのエリアに侵入・・・それを追いかけてモビングしている。

そんな動きのような気がします。

名前はクマタカでも気性は大人しい・・・訳がないと思うのでが、タカ対タカと言うことになると他の動物に対する攻撃性と違うのか同じなのか。もっともタカですから互いに狩りを捕食の中心に置いている訳で攻撃性が低いということはないでしょう。捕食に関しては攻撃性の高さは当然としてそれ以外と言うことになるとどうなのか・・・興味深いところですね。

ネットで検索するとワシタカの類で1番攻撃性の高く獰猛とされているのがアフリカに分布するカンムリクマタカだとか。日本分布するクマタカより一回り大きいようですが、カエルや蛇、時には昆虫などを補食しているサシバに比べたらクマタカは肉食系でより獰猛なはずだと思いますが。

サシバが倍近い大きさのクマタカに果敢にモビングをしかけていきます。見ているこちらがハラハラしてしまいます。もし反撃をされたらおそらく一撃で決着がついてしまうのではないかと思うくらい体躯の大きさ頑強さの違いが目に明らかだからです。

と思っていたら、今度はクマタカが逆にサシバに向かって行きました。

さすがにクマタカも鬱陶しくなったのでしょうか。ただ、その反撃は少し緩い感じもします。相手を追い払えば良いと言った感じに見えます。

なるほどそう言うことかと思いました。例えるならクマタカは大型の重爆撃機。サシバはそれより小さい戦闘機。空中戦なら小さい体躯が不利になるより機動性の高さが有利になるのだと。捕食の対象になる動物に対してはクマタカの方が遙かに破壊力(捕獲力)は高いでしょうけど、タカ同士で空中戦となるとこれは体躯や力の差より飛翔能力の高い方が有利になるのは当然です。

そのうちにサシバが二機(?)になりました。二機で波状攻撃開始です。

いやぁ、これは飽きないです。サシバとクマタカの空中戦です。追いつ追われつ、どちらも決定的な打撃を相手に加えないのか、加えられないのかそれは定かではありませんが、地上の動物同士の争いとはひと味違う空中戦はなかなか見応えがあります。

これは動画でも獲りたかったですね。本物の戦闘機同士の空中戦が日本の空で起こるようなことはあって欲しくないですが、このタカ同士の空中戦なら何回でも遭遇してみたいですね。

勢い余ってこちらに近づいてこないかと待っていたのですがそれは無かったですね。まあ、これで人が近くにいたらこんなことにはならないのかもしれません。

途中、視界から外れた時間もありましたが延々と1時間以上はやり合っていました。最後はどちらも何処と無く姿が見えなくなってしまいましたが、どうやら引き分けのようでした。見た目で考えるとサシバとクマタカが引き分けなんて納得がいかないような気がしますが、やりはそこは空中戦の妙なのかもしれませんね。

そんな訳でこの空中戦を見られただけでも今回松之山に来た甲斐がありました。次来た時見られる保証がないだけに得がたい経験だったように思います。

その後は空中戦の行われたであろうと思われる場所を回ってみました。松之山にあってかなり開けた高台で広い棚田がありました。これは確かに絶好の餌場でしょう。クマタカのような大型猛禽も狩りが出来るし、当然サシバにとっては格好の繁殖場所です。どうもこの辺りにサシバの巣はありそうですがさすがに調べる時間はありませんでした。そしてもしかしたらクマタカの巣も近いかもしれません。ここら辺りでじっくりと観察を続けていれば更に興味深い生態が分かるかもしれませんね。

さて、明けて日曜日。本日は横浜に帰りますが朝方昨日の場所を一回りしました。

松之山でおそらく1番見通しがいい場所のようですが、ことによると秋のワタリもいけるかもしれませんね。

営巣しているサシバやハチクマもそれなりの数は居るだろうし、営巣が多いと言うことは餌が豊富な証です。さらにワタってくる個体が多いと言うことは気象的な条件も整っているようにも思います。上昇気流が発生しないとワタリの通過点にはなりにくいし、営巣している個体が多いからと言ってワタリのルートと必ずしもクロスしている保証はないのですが、今シーズンは山本山ではなくてこちらで2日間くらいはワタリの観察をしてみたいなと思います。

豊富な自然と美しい棚田。適度に人間の手が入った自然はむき出しの自然より人や動物に優しいと言うことは北関東の観察の経験からなんとなく分かってきたような気がしていました。そして更にここはもう少し自然の割合が高い場所のようです。ですから更に生き物たちの生存に資しているようです。

3週続けての遠征はさすがに少し疲れました。走った距離もかなりになります。来週は天気もあまり芳しくないようなので少し骨休めをしようかな、などと考えながら松之山を後にしました。名残惜しいの山々ですが、笹団子をお土産に買って、撤収と相成りました。

管理人越後路を行く・・・松之山 Part 4

しばらく動きを見ていると色々と面白いことが分かって来ました。

クマタカが動く時にサシバの鳴き声が聞こえてくるのです。サシバはこの時期繁殖しています。松之山は北関東などに比べると田植えも遅く、その為か繁殖もつられてか遅いようです。この時期に雛が孵っていたとしても生まれたばかりでしょう。

クマタカの巣の場所は見当が付きませんが、サシバはこの近くにあることは間違いないでしょう。クマタカがサシバの雛を餌として狙っている・・・とも思えませんが、縄張りがバッティングしていることが影響しているかもしれません。

凄いですよ。サシバがクマタカにモビングをしかけるのです。体の大きさから考えるとサシバは二回りくらい小さいですが、それをもろともせずにクマタカに挑んで行きます。

管理人も随分とサシバを見てきましたが、モビングされることはあってもするのは見たことがあまりありません。たまにトビやカラスに対して行うことはあるでしょうが、基本的には大人しい性格なのではないかと思っていました。但し、どんな動物でも雛が孵った直後は警戒心が高くなり雛たちを守ろうとして強い行動にでる場合がありますが、それなのかもしれません。

こう言ってはなんですが森の王者とか呼ばれているクマタカが二回りも小さいサシバにモビングされている図は松之山ならではの光景なのかもしれません。

そして帰ろうかと思っていたら本日最後のシメとしてシメに似ているイカルが近くに来てくれました(笑

初日は午後からの限られた時間でしたが二度ほど現れたクマタカでした。明日も同じ場所で観察を続けることにして撤収。宿までは数分ですから、随分と移動は楽でした。

明けて土曜日。

朝飯前に一回り松之山周辺を回ってみました。6時近くなってからようやくアカショウビンの声が聞こえました。しかし姿はやはり見えません。

思えば以前アカショウビンを撮った時はもっと厳重な用意と作法が必要でした。出会い頭で逢うことは希で、餌場かソングポストを見つけてブラインドを仕掛けねばりづよく待つ・・・まあ、一筋縄ではいかない相手であることは承知しているのですが、やはり姿も見られないとなると少々気落ちしますね(苦笑

さて、朝飯後に昨日と同じ場所にスタンバイするとサシバが体を捻ったりしながら急降下を繰り返していました。

これは何の意味があるのか、管理人には分かりかねますが餌を獲っているようには見えません。

暫くそんな動きを繰り返していると、そのうちに空高く上がって何処ともなく姿が見えなくなりました。

管理人は首を傾げながらスコープで森の中を見ていると・・・

いやいや、これにはドキリとしました。これはサシバが見えなくなってから数分後に撮ったのですが、クマタカが枝止まりしていたのです。

このクマタカもこれから直ぐに飛び出して行きました。

しばらくは森の中を悠々と周回しています。

うーん、こんなところで餌獲りはないだろうし、サシバの巣もこんなところにはないと思うし・・・

なんて思いながら、目の前を悠々と飛んでいるクマタカを眺めていました。

ちょっと目を離したら姿が見えなくなってしまいましたが、何気なく見上げるとかなり大きな猛禽の影が近づいてくるではありませんか。

こりゃ大変だとばかりにすぐにレンズを向けました・・・

「あれれ???」

一瞬頭の上をクマタカがかすめたかと思ったのですが・・・

クマはクマでもハチクマでした。いやぁ、ハチクマが出てほんの僅かですが残念に思ったなんてここでしかない話ですね(笑

管理人の当て推量、「この辺りはサシバ、クマタカ、(ハチクマも含めて実はトビも)の縄張りがバッティングしているのではないか」と言うのもあながち的外れでないようにも思います。

白樺峠でワタリを観察している訳ではないのです。松之山はサシバ、ハチクマは明らかに繁殖の為にいる訳で、もしそれらの繁殖の影響でクマタカなどの動きも刺激されているとしたらこれはこれで見逃せない状況だと思います。

すこし間が空いてうつらうつらしているとサシバの声が聞こえてきました。そして目を向けると・・・

クマタカのお出ましです。実は朝もサシバは啼いていたのですが、まさにこの時はサシバの声に起こされたと言う感じでした。

・・・続く

管理人越後路を行く・・・松之山 Part 3

今週も遠征先は松之山。先週の余韻もさめやらぬ金曜日。平日に休みを取って今回は2泊の行程で出張ることにしました。

出立はいつもより少し早めの3時20分頃。これは少し訳ありで平日だと高速の割引が深夜割引しかないのでとりあえず東名横浜インターに4時前に乗り込みたいからです。

結構この差額大きいんですよね(苦笑

ちなみにドラプラで横浜町田~塩沢石打の料金を調べてみました。

ETC無 ETC有 備考
平日 6,740 6,300
土日祝 6,740 5,340 普通車、軽自動車等(二輪車)限定 地方部30%
深夜 6,740 4,450 0時~4時 全車全路線対象 30%

深夜の割引が1番大きいですよね。もしETCが無くて平日だと最大2,290円の差となります。距離が伸びればもっとその差は開きます。それとお金の問題もありますが、やはり朝一の方が活性の高い野鳥も多いので時間を有効に使いたいというのもかなり大きな理由です。この時期ですから日の出も早いしちょっと早めに出ると財布にも優しいし野鳥にもより多く出会えるかもしれない・・・そんな感じでしょうか。

寄居PAに到着したのは5時頃です。すでに夜は明けています。長野に行く場合は藤岡から上信越に分岐しますが新潟ですと関越をひた走ることになります。そうそう関越トンネルを抜けるんです。昔は猿ヶ京から三国峠を越えたのですが隔世の感がありますね。

そんな話はさておき、松之山に到着してまずは一回り。

気温が低い所為かどうも活性も低いようです。今朝はアカショウビンの声などは全く聞こえません。ちなみに当日の十日町の最低気温が10.3度となっていましたから松之山での体感はもっとそれより低かったように思います。

午前中は松之山の付近を諦めて大厳寺高原(だいごんじこうげん)にも行ってみました。

状況は似たり寄ったりでこちらも静かなものです。そして更に寒いですね。これには参りました。松之山よりこちらの方が標高は高いようでその分当然気温も低くなるのでしょう。まあ、高原と名が付くのですから当たり前と言えば当たり前ですね(苦笑

話はそれますが松之山にしろ大厳寺高原にしろこの辺りの棚田はいずれも手入れがされていてサシバの里のように耕作放棄された田畝はみかけることがありません。まあサシバの里の方の近辺は大きな工場があったりするのでそちらに人が流れやすいという状況もあるので一概に比較は出来ませんが、新潟は米所と言われる所以をこの綺麗に手入れされた棚田に見るような気がします。

それだけ自然の懐が深く生態系がしっかりしているから多くの野鳥の生息に繋がっている・・・のでしょうね。

さて、昼は松之山に戻って来ました。実は先週見ることが出来たブッポウソウなのですが・・・あまり芳しい状況ではないようです。どうも営巣を放棄した気配が濃厚です。近くを通るたび営巣付近の状況を観察していると、付近に車を停める人、巣箱の下に三脚を立てる人などが散見されました。さらに保護だと言ってかなりブッポウソウに対して営巣の確認などでストレスのかかる状況もあったようです。いずれにしても人の影響によるものと考えてしうまうのは管理人だけではないように思います。

残念な話もありますが、少しいい話もあります。

松之山を色々巡っていたら偶然に撮れたものです。歩いて場所をサーチしていたのでミラーレス一眼しか持っていなかったのですが、なんとクマタカとサシバのツーショットです。

最初サシバすぐに分かったのですが、クマタカの方はどうせトビだろうとタカを括っていたのですが・・・

まごうこと無くクマタカでした。こんなところでと言ったら失礼ですがいくら松之山でもクマタカまであっさり見られるとは思っていませんでした。管理人達にとってはアカショウビンよりも実は嬉しい話です。

紛らわしいのですがトビも飛んでいます。

宿に車を置いて先ほどの場所に機材を担ぎ込みました。誰も居ません。静かなものです。でもクマタカが遠いけど飛んでいます。

・・・続く