里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part14

翌日は雨も上がって結構早くに観察に出かけました。メスの親が餌取りをしているところに遭遇。昨日は子供の姿が見えなくなったところで管理人達も撤収したのでその後が気がかりです。

とりあえず巣をのぞいてみると・・・

最初は一羽しか見えませんでしたがしばらくすると・・・

両方お腹が縦縞で虹彩も黒いですから子供達ですね。昨日は見えなかった二番子も餌を貰いに戻って来たのでしょうか。

どうもタイミングが悪いみたいで親が戻ってくるといない・・・みたいな感じですね。自力では餌は捕れなくてもかなり大きいですから動き回ることは動き回るようです。まあ、これは致し方のないことなんでしょう。

それでもなんやかんや観察していると最大で4羽が飛んでいるのを確認出来ました。まあ、遠くて写真にはなりませんでしたが。どうやら一番子以外はまだこのあたりにウロウロしていたということなんでしょう。

羽がかなりボロボロです。これから換羽するのでしょう。最後はメスの親と三番子が上昇気流に乗ってどこかに飛んで行きました。それっきり巣の回りに気配がなくなりました。その時は動画を撮っていたので写真は撮れませんでしたが、ほんの僅かですが二羽で巣を飛んで行く姿を動画に収めることは出来ました。これが見納めだろうなという思いがしました。

里山に通うこと幾十度。Partも14まで来ました。今週末は田舎に帰るので途中に寄ってみるつもりですが、おそらくはこの場所にはいないと思います。ですが、一番子以外は無事な姿を確認出来ましたからそれで十分と言えば十分です。おそらく一番子もどこかで元気に飛び回っていると思います。

整理すると、一番子とオスの親が最初に次の餌場に移動し、二番子が次に移動、そして最後は三番子がメスの親と一緒に移動、そんな感じだと思います。サシバは夏には森の中に移動し、餌もカエル類からセミなどに変わり、養生しながら換羽して秋のワタリに備える・・・こんな段取りのようです。

このあたりのサシバはワタリの時期がいくらか早く、八月の半ばくらいから始まるのではないかと思っています。足環をつけて確認するわけにもいきませんから何とも言えませんが、比較的近い場所のワタリの実績をみるとそんな気がします。

サシバに限らずタカのワタリについては不明な点が多く、解明されていないことが沢山あるようです。管理人達が少しばかり観察をしたからと言って不明な点が分かるはずもありませんが、それでも営巣を断続的ですが観察していると色々なことに気づきます。特に営巣に好適な場所はいくつかの(古)巣を比べるとなんとなく見えてきます。

不用意に近づきすぎて観察圧力を強くかけ続けると営巣の放棄という最悪の事態を招きかねませんから、そのあたりは注意が必要です。それでも雛が孵ってからは放棄するようなことはなさそうです。

気のせいかもしれませんが、通い続けていたらサシバの方の警戒心が薄らいだのか、結構近くを平気で飛んで行くこともありました。これが仇になって望遠レンズでは撮りはぐれることしばしばでしたが(苦笑

さて、名残惜しいのは山々ですが、これで観察も一段落です。まあ、無事な巣立ちを確認できたのは本当に良かったと思います。ですがサシバにしてみればこれで終わりではありません。ワタリを無事にこなし来年は子供達が成長して、ここに親鳥として戻ってきて欲しいのです。おそらくは同じ場所に巣は作らないらしいですから、来年も営巣場所がみつかるかは分かりませんが、元気な姿を見ることができるように祈りながら撤収と相成りました。

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part13

今回でPart13となりました。ほぼ毎週通いました。およそ2ヶ月半でしょうか。おそらく営巣の観察としては今回が最後になると予感してサシバの里に到着しました。あいにくの雨模様です。

ぱっと見、何もいません。ああ、これは巣立ってしまったのかなと思いきや・・・空の巣の左側の外にいます。枝渡りなんでしょうか。

巣立ちとはいったん巣から外にでて飛んで巣以外の場所に降り立ったら巣立ちだそうです。ですから、巣に戻ってきてしまったら巣立ちとは認められないとか。まあ、これは人間が勝手に決めたことですから、サシバにしてみればどうでもいいことだとは思いますが。

これが巣立った後に戻ってきたのかそうでないのかは分かりませんが、一羽ですが巣にいることはいました。おそらくこれは三番子なんでしょうね。そして親は巣の近くにいます。

雨の中でも餌取りは休まないようですね。おそらくは子供達は自ら餌取りは未だ出来ないと思われます。親の仕事はまだまだ終わらないようです。

どうやら巣立った後は森の中に暮らしの場所を移すようです。餌のこともありますし、羽を休めて養生して秋のワタリに備えるということになるようです。餌は森の中のセミ類が主になるようです。稲穂がのびた田んぼではカエルの捕獲は非常に難しくなるのでしょう。

巣にいた三番子が枝渡りを始めました。おぼつかない足取りですが羽をばたつかせて移動していきます。

巣のある木のかなり上の方まで移動しました。そしてここから飛び出しました。どうやら巣立ちは終わっていてまた戻ってきたような感じです。そして子供がいなくなった巣に親が餌を持ってきました。

口におそらくカエルだと思いますが、餌を咥えていました。撮影した時にはカエルは見えなかったのですが、せっかく餌を持ってきたのに巣はもぬけのから。その後カエルがどうなったかは定かでありません。

その後、親(メス)が三番子がいた近くで高止まり。餌ではなく、近くに子供がいないか探している風情です。

さらに場所を変えて上を向いて子供を探している様子です。餌なら下を向いて探します。いままでこのような動作はあまりみられませんでした。

そしていきなり啼きながら飛び出しました。ワタリではまずみることはないですが、口をあけて啼きながら飛んでいました。

どうやら子供達に聞こえるように飛んでいるように見えます。かなりこの近辺を啼きながら周回していました。どこからか子供達が現れるのではないかと期待したのですが・・・

何かを探して飛んでいるような表情にみえます。そして先ほどの木に再び高止まりします。

そしてここでも啼きつづけます。しかし別の個体が寄ってくることはありません。この後啼きながらどこかに飛んでいってしまいました。

・・・続く

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part12

そろそろ巣立ちも近くなって来ました。かなり大きくなっているので外敵にやられるリスクは低くなっていると思いますが、それでも巣立ち前ですから油断は出来ません。さて、今週は・・・

うーん、三羽ともかなり色づいています。先週はまだ頭の白い個体もいたのですが・・・

と思ってよく見たら、頭にまだ白さが結構残っている個体もあるようです。ですが、一週間でやはり随分と大人びてきたように感じます。

お腹の縦縞模様がかなりはっきりしてきました。巣を大分狭く感じているのでしょう。いきなり巣から飛び立たないで枝渡りみたいなことから始めるようです。

成鳥(のオス)と比べると差はありますが、無事な成長を観察していると、三羽が来年又戻ってきてくれるかなと・・・最近はそんなことを思います。

あくまでも管理人の感触ですが今年は繁殖しているサシバがちょっと少ないように感じます。古巣の近くに新しい巣が見つからなかったケースもいくつかありますし、現認する機会が少なくなっているような感じです。昨年の秋の気象具合でワタリのルートが変わったところもあるので、その影響もあるのかなと思いますが、ちょっと気かがりですね。

さて、巣立ちは近いです。今週は出来れば泊まりで出張りたいところですが、天候も気になります。なにせ梅雨ですからね。でも子供達は元気に育ってくれているのでそれが何よりでした。

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part11

 ハヤブサの時も書きましたし、里山で見ていても思うのですが、餌を獲るということは我々が考えている以上に難しいことではないかと最近特に思っています。サシバの狩りをするところを何回かみてますが、成功率かなり低いように思います。相手も生き延びようと必死ですから当たり前のことなんでしょうが。

 自然とは緩い場所ではなく厳然とした場所なんだと言うことにつきるのでしょう。

 どれくらい餌が獲れなければ餓死してしまうのか分かりませんが、まともに成長するためには大変な労力を費やして餌を捕獲する必要があるということです。

 生まれたての時は餌をちぎって与えていたので餌やりは時間がかかっていましたが、今はあっという間です。餌を殆ど一のみしているようです。すると親は休む間もなく次の餌取りに飛び立ちます。

 こうしたサシバの動きを観察していると秋のワタリの時の感慨も一入になるような気がします。

 余談で且つ食事時なら憚られる話ですが、雛たちは巣を汚さないために糞を外に向けてします。巣の回りは糞の跡が結構ついています。実は結構これ大事なことですよね。

 誰に教わる訳でもなくこれが本能というヤツなんでしょう。生きて行くための知恵があらかじめインプットされている訳ですね。

 さてサシバの子供達の生育状況は順調といえるようなので安心しました。回りを見渡すと稲の成長も順調のようです。そろそろ巣立ちも近いのかと思いつつ撤収と相成りました。

追記:

あと番外編としてですがアマサギがいました。

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part10

長野のハヤブサもそうですが、里山のサシバの成長も早いですね。ここのところ一週間おきに観察していますが、一週間経つとまるで別の個体のように見えます。さて今週の成長具合は・・・

びっくりですね。先週は殆ど白かった個体が随分と色づいてきました。よく大人になると色気づくと言いますが、文字通り見た目が色気づいてきています。すでに雛とは言えないのかもしれません。

ただ、成長具合はバラツキがあるようで白い個体の雛も見えます。

生まれた日は違ってもせいぜい二三日だと思うのですが、随分と見た目は違うものです。餌の摂取具合の差によるところが大きいのでしょうか。親はせっせと餌を運んできますが絶対量は不足しているのかもしれません。

一説によると親子で繁殖期にカエルは千匹くらいは摂取するとの話を聞いたことがあります。千匹くらいの換算量なのか文字通り千匹なのかは分かりませんが、相当な量であることは間違い無いようです。ですから観察していても親が巣に殆どいない状態になっています。これだけ雛も大きくなると外敵にやられるリスクは減るからかもしれませんが、それ以上に餌が必要なんだと思います。

続く・・・