浮島湿原で一番長い日・・・Part1

朝3時40分起床。4時出発。春が近づくにつれ日の出が早くなります。そうすると出立の時間も少しづつ早くなる。今年の冬は猛禽を探しに出張ることが多いのですが、出張りの時間が早くなるにつれ、それは春に近づいているのだという実感・・・があまり沸かない朝でした。結構寒い。でも、先週は雪が降ったくらいですからそれよりはいくらかまし。しかも風も無い模様。今日はいいところを飛んでくれるかチュウヒ達よ、なんて思いながら浮島湿原に到着したのは5時42分。

調べてみたら日の出は6時15分位。日の出前に塒立ちをするとすればあまり余裕はありません。朝のセットは迅速に。そしてスタンバイ完了は5時45分。そして一番立ちは5時51分。滑り込みセーフ。間に合いはしましたが、やはりと言いましょうか、写真としては非常に厳しいモノになります。

RAWで撮って補正してもまあ無駄でしょう。一応はRAWで撮ってますが。ただ、先週もそうでしたが、この朝の塒立ちはそれはそれでいいものです。本日は管理人達だけだったので、独占貸し切り状態でした。まあ、人それぞれですから強くはお勧めは出来ませんが、朝のこの湿原の風景は早起きして見る価値があると思います。

未明の湿原の上を、茜に染まった空をバックに十羽くらいのチュウヒ達が次々と塒立ちをしていきます。次から次へと言った様子で、越冬中、天候がよほど悪くなければ毎朝繰り返される光景なんでしょう。そしてこの中に少なくてもハイイロチュウヒのオスを二羽程確認出来るでしょう。

朝は証拠写真程度が管理人の限界でしょう。でも、この光景を残したいので次回は動画を撮ってみようかと考えています。

さて、5時51分に始まった塒立ちは日の出の時刻には殆ど終わってしまいました。せいぜい二十分程度の朝の光景ですが、これが終わると一段落。軽く食事でもとなります。その後はポツリポツリと思い出したようにチュウヒが飛んでいきます。まあ、このあたりに屯している組なんでしょうか。

太陽の向きからして逆光になりがちですが、それでも朝日の中を飛んでいくチュウヒはなかなか綺麗です。写真でそれを伝えられない腕の未熟さは残念ですが、まあそんな時は無理に写真に撮らず、目に焼き付けることにしています。

一段落ついて周りを見渡すと、他の冬鳥たちも来ています。まずは冬鳥の定番のモズ。

こちらも定番のツグミ。

葦原ではおなじみ。オオジュリン。

さて、朝の塒立ちの後はまったりしていてもつまらないので、餌場でも探しに行こうと言うことになりました。このあたりは、田んぼや蓮田があり餌場として恵まれているからチュウヒ達も越冬しに来ているのでしょう。ただし、これがなかなか会えない。特にハイイロチュウヒは日中はまず見ることがないですね。

・・・続く

朝が勝負???・・・浮島湿原 チュウヒ達の塒立ち

「猛禽(の撮影)ですか?」と聞かれることがあります。大概は返事として「ええ、まあ」とか少々お茶を濁す場合が多いです。はっきりと断言できない気の弱さか、撮影に関しての自信の無さか、それはよく分かりません。まあ、猛禽狙いの達人みたいな人もいますから、そんな人達と同程度の鳥力を持っていると誤解されるのを恐れているのからかもしれません。

そんな自信不足ではありますが、朝早くにと言うよりは深夜に起きて、今日はどうだろうか、見れるだろうか、撮れるだろうかと、猛禽を探しに出かけるのです。まあ、好きと言えばこれが好きなんでしょうね(笑

前置きが長くなりましが、今日のターゲットは浮島湿原のチュウヒの塒立ち。そうです。塒入りがあるなら、塒立ちが当然あるはずです。夜明けと同時くらいに塒を立つチュウヒを見に行こうということになりました。

朝は3時45分起床。前日に準備をしていたので、4時少し過ぎに出立。途中少し買い物をしていつもの場所に到着したのが、6時少し前。夜明け前です。昨晩はすごい風だったのですが、風は収まっています。

前回の教訓から到着後すぐにカメラをセット。防寒対策を施して6時にはスタンバイ完了。朝はともかく迅速さが大事ですね。

そして6時10分頃、夜明け前の空にチュウヒが飛び出しました。白い尾羽が確認出来ます。ハイイロチュウヒのメスでしょうか。この明るさですから写真にはなりませんが、目でしっかりとみることが出来ます。

そして次々に飛び出します。シルエット写真ですが、朝焼けの色がなかなか美しいです。

かなり無理して明るさを補正しました。国内型、若鳥と言ったところでしょうか。

全般的に遠いですが、次々に飛び出していきます。その中で本当に本当の証拠写真ですが・・・

恐ろしく遠い上に、感度もかなり上げて且つ相当なトリミングをしていますが、ハイイロチュウヒのオスであることが確認出来ます。浮島湿原でとりあえず初めてとれたハイイロチュウヒは朝の塒立ちでした。実際何回か目撃してたのですが、カメラマン泣かせの典型みたいな猛禽ですね(苦笑

その後も何羽かチュウヒが飛び立ちました。正確ではないですが、ハイイロチュウヒのオスは二羽、それ以外は7羽から8羽。おそらくは10羽程度がこの湿原から塒立ちをしていったのではないでしょうか。一時は葦原の上が結構賑やかでした。いやぁ、早起きは三文の得と昔の人はいいましたが、いいものを見られた気がしました。

朝の塒立ちも三十分もすると落ち着いて葦原は静かに。その後はここを餌場にしていると思われる数個体が飛んでいるのをポツポツと確認出来ました。

そんな中餌をゲットしたミサゴが・・・成長のオスでしょうか。

7時を過ぎると本当に動きがなくなりましたが、そんな中、比較的近くを飛び回っている個体がいました。体下面は淡褐色で暗褐色の縦班、腰は白く、風切りの下面には明瞭な黒褐色の横班。虹彩は黄色ですからハイイロチュウヒのメスの成鳥でしょう。

後ろから見ると見事に腰が白いですね。

先週は渡良瀬遊水地で塒入りでしたが、今週は一転して浮島湿原で塒立ち。朝早かったり、夕方遅かったりと我ながらよくやるもんだと思います。実は渡良瀬遊水地も夜明け前の塒立ちを何度か観察しています。本当に日の出前の薄ら明かりの中を飛んでいくのです。ですから、写真にはなりませんし、何せ遊水地は広いので観察もとりとめがありません。その点、浮島湿原は比較的範囲が狭いので、ならばこちらはどうだろうと言うことで、今朝出張ってみたのです。

いやぁ、こりゃ、来週もだなぁと連れ合いと意見が一致。ただし、今朝は日が昇ってきたら風が強くなり観察や撮影にはかなり支障をきたす状態になってきました。まあ、来週の出張りは天候次第ということで、撤収と相成りました。

コミミズクは何処へ行った・・・渡良瀬遊水地 Part3

午後の三時過ぎにハイイロチュウヒの塒入りの場所に到着。相変わらず風が強いです。確か昨年末も同じようなコンディションでしたね。これなら先週泊まって塒入りを見れば良かったかなと思いましたが、まあ、仕方ない。防寒対策をかなり強力に施して待つことにしました。

前回は、三時前に帰ってきたオスがいたのですが、今回はどうでしょうか。前回と同じなら一羽は帰ってきているのですが、葦原の背の高いところに陣取っている常連さんの動きをみると未だ来ていないのではないかと楽観的推測。

約一時間後の四時頃、ようやく姿をみせたハイイロチュウヒ。しかしメスでした。この「しかし」というのは、対象のハイイロチュウヒには失礼ではありますが、やはり灰色の貴公子と呼ばれるオスの姿を見たいというのはウォッチャーに共通しているようです。まあ、メスよりオスというのはこれに限りませんが。

日が段々落ちてきます。冬至の頃よりは大分日が延びていますが、風の強さも相まって日差しは弱く感じます。そしてようやく四時四十分頃、お目当てのオスが帰ってきました。まだ結構日が高いのでこれはと期待したのですが、ともかくこれも遠い。前回よりいくらかましと言った程度で、大差はありません。

夕日に映えるかと思いましたが、案外そんなことはないようですね。日差しが真横からということになり色があまり綺麗に出ないですね。向きによっては顔にすこし陰が出たりもします。撮影としてはやはり厳しいことに変わりはないようです。

そんなこんなしているうちに、さらに4時57分頃、二羽のハイイロチュウヒが現れました。番かどうかはわかりませんが、オスメスで葦原の上をしばらく戯れるかのように飛んでいました。

それからすぐ四時五十九分頃、最後の塒入りと思われる個体が飛んできました。これで打ち止めで帰れると思いつつ、カメラで追っかけているといつもより左よりからこちらに段々と近づいてくる感じです。日はまだ少し残っています。おそらくこれが限界付近で最後のチャンスだと感じました。

いままでのハイイロチュウヒに比べたら少しだけ近いとこで頭の上を飛んでくれましたので、空バックで撮ることができました。しかもこのハイイロチュウヒ、塒に入らず通り過ぎていってしまったのです。葦原の常連さんはまだスタンバイしているので戻ってくるかもしれないと思いましたが、管理人も連れ合いも寒さの限界であり、日もかなり落ちているので戻ってきてもシルエットの量産にしかならないと思い、撤収することにしました。その撤収の最中に戻ってきましたが、まあ、仕方ないですね。

この時も案外近くを通りましたから、うまくいけばそこそこの写真になったかもしれません。先に撮ったモノよりは状況は厳しくなっているのでなんとも言えませんが、まあ、寒さにはかないませんでした(苦笑

ですが、葦原の常連さんが撤収するまでは様子見をしていた方が無難だとは思います。ただし、写真になるかどうかはわかりませんが。

さて、本日は古河に宿を取ってあるので明日も朝はコミミズクを狙ってみたいと思い撤収と相成りました。


追記:2017.02.13 11.11
翌朝(02.12)も晴れ渡り、さらに風が強くなってしまいました。北エントランスから朝のチュウヒの塒立ちを見てから、宿に帰り朝食を取り、コミミズクの出ている築堤に出張ってみましたが・・・状況は相変わらずでした。昨日より風が強く、昨日いくから飛んでいた猛禽も今日は本当にその気配が感じられませんでした。こりゃ寒くてかなわないと言うことで、車から一時間ほど観察していましたが、全く感なし。観察や撮影に来ている人も少ないです。やはり風が強い日は飛ばないのかと思い、そうそうに撤収となりました。

コミミズクは何処へ行った・・・渡良瀬遊水地 Part2

先週は渡良瀬遊水地へ出向いてコミミズクを観察・撮影が出来ました。それも朝一に到着してほとんど苦労もなく、飛翔、撮影とスムーズに流れていきました。おまけと言ってはなんですが、サンカノゴイも撮れましたし、一度味を占めた管理人と連れ合いは、懲りもせず今週も渡良瀬遊水地に出張ることにしました。しかも今週は宿までとって用意万端、いくら遅くなっても大丈夫といった体制で臨みました。

朝も早くからと、自宅を4時40分頃出立。渡良瀬遊水地には7時前の到着の予定です。これは先週に味をしめ、朝の飛翔をもう一度拝みましょうとの思惑からなんですが・・・

到着後あたりを見回しても飛んでいる気配がありません。だいたい、人が少ない。先週飛び回っていたあたりに人がいません。やや不安な気持ちで先週と同じ場所で脚を出して待機。試し撮りのファーストショットが7時20分。

キジバトのようなヒヨドリのような。はるか遠くに見える試し撮りですが、その他の鳥の気配が少ないです。

ようやくお目見えした猛禽はノスリ。

それにしても他の猛禽の影が全く見えません。先週のコミミズクのパフォーマンスは一体なんだったのか。そう言えば気になったのが、先週あった止まり木が無くなっていたこと。二本あったのですが、どうも誰かが撤去したのでしょうか。それとも風で倒れたのか。そうなんです、今朝は風もつよくてかなり寒い。そうそう、コミミズクの餌取りは耳も使うとか。このように風が吹きまくると音が聞きづらくなって飛ばないのかなと勝手に想像しましたが、どうにも飛びません。

一旦あきらめて殆ど何も撮らずに撤収。そして、再度昼から場所を少し変えて待機しました。その頃には観察者や撮影者もちらほらと出始めました。そして、昼一に飛んだのが・・・

一瞬ハヤブサかと思いましたが、チョウゲンボウです。風の強い中ホバリングを巧みに行い、餌を取りを何回か試みましたが、どうも不調のようでした。

そのあと暫くすると違った個体が現れました。こちらは幼鳥のような感じです。

さらにこれはチュウヒの大陸型か(ハイイロ)チュウヒのメスなのか・・・なんとかく大陸型のようにも思えますがどうでしょうか。

うーん、それにしてもコミミズクは飛ばない。何処に行ったのやら。なんでも今シーズンは4羽入っているそうですから、ちょっとくらい姿を見せてくれてもよさそうなのにと少し恨み節。先週あんなにサービスしてくれたのに、今週は今日の風のように冷たいなとさらに怨み節。

三時少し前。これでは埒が明かないと、今日はどうも運が無いなと不安な気持ち一杯で、ハイイロチュウヒの塒入りに移動しました。

・・・続く

コミミズクが飛んだ・・・渡良瀬遊水地 Part 1

昨日は節分、ならば今日は立春です。暦の上では春。でも、まだ寒い。先週はかなり外れた感じがあったので、そうだ、まだ渡良瀬遊水地でコミミズクを見ていない。と、そう思い、立春とは言え、寒い朝に渡良瀬遊水地に向けて出立しました。

だいたい当たりはつけていたのですが、遊水地は広いのですぐに分かるかどうか少し心配でした。野鳥観察マップによると9番の湿地再生試験池のあたりなんですが、鷹見台の方から行くと未舗装の砂利道を走って行かねばならず、車が大いに汚れます。少し迂回することになりますが県道50号の方から回った方が管理人的には良いかなと思います。

さて到着すると見慣れない鳥が水辺に佇んでいました。俄かには分かりませんでしたが、「サンカノゴイ」ですよと教えてくれる人がいたので、助かりました。言われてみればああそうかと合点がいきましたが、一見すると何だろうと管理人なぞは思いました。

イメージ的にはこんな感じで頭に入っている人が多いのではないでしょうか。

さて、築堤沿いの先に数人のカメラマンが待機していました。サンカノゴイのいるあたりから直線で一キロくらいあるでしょうか。とりあえずそこまで機材を担いで歩いて行きました。すれ違った人が「いますよ。しばらくは動かないかもしれないけど」と言って教えてくれました。

到着すると何処かに飛んで行ってしまった後の模様。連れ合いが、「さっきまでいたよ」と。まあ、周りをみればまだまだこれからだという感じのカメラマンが数人いましたので、ここで待つことに・・・

そして、数分もしないうちに・・・飛んできました。

物怖じしないと言いましょうか、大胆といいましょうか。ご覧のとおり、築堤の上を車が走っているのも、背後にカメラマンが撮影しているのも、全くの無視です。車に乗っている人も当然お目当てはこれだと思いますが、まさか目の前にいきなり飛んで来るとはビックリしたのではないでしょうか。管理人もビックリしました。

さて、その後餌を求めてか、数分のフライトを演じてくれました。おそらくは昼過ぎ(だいたい14時頃らしい)までは動きがないと言われてきましたので、思いがけぬ贈り物に周りのカメラマンも管理人を含めてかなり興奮したのではないでしょうか。

いいねぇ。自画自賛してしまいます。正面からの飛翔はピントが合いづらいのですが、枚数をこなせば一枚くらいなんとかなるものです。だいたい、飛んでくれても背景や個体の色の問題でオートフォーカスが中々合焦(あい)ません。が、下手な鉄砲なんとやらです。ともかく、シャッターを切りまくる。ここを先途とはまさにこのことだと実感します。

ほぼ真横をかなり近い距離で飛んでいきました。今度はそうするとファインダーインさせるのがやたら難しくなる。いつもは望遠が足りないお嘆きの貴兄に・・・みたいなはずなんですが、最短撮影距離を16メートルに設定しているのですが、ギリギリと言った感じです。でも、数撃てば管理人でもなんとかなる。ちなみにこれはノートリです。

そしてひとしきりフライトショーが終わってとまり木に停まると・・・

動きません。首をくるくると動かしはするのですが。そのうち、とまり木からも降りてしまうと・・・

さらに動きが少なくなりました。どうやらこれでまったりタイム突入のようです。他を回って三時間後くらいしてから来てみましたが、状況は変わらず。

飛翔待ちのカメラマンも大分増えてきたようで、本来はこんなパターンなのかもしれませんね。要するに朝飛んで撮れればラッキーということなんでしょう。

先週、朝一で大当たりもどきがきてそのあとスカだったことを考えれば、今週はラッキーということで、機嫌よく撤収と相成りました。


追記:2017.02.06
この個体だけでなくどうやらこれを含めてこのあたりに4羽のコミミズクが越冬しているようです。夕方に餌取りを始めるようですが、それを狙ってチュウヒなども来るとか、来ないとか。そういえば、この日の午前中は全くチュウヒを見ませんでした。コミミズクの餌取りを狙ってそれから塒入りなんて段取りになっているのかもしれませんね。

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