「猛禽(の撮影)ですか?」と聞かれることがあります。大概は返事として「ええ、まあ」とか少々お茶を濁す場合が多いです。はっきりと断言できない気の弱さか、撮影に関しての自信の無さか、それはよく分かりません。まあ、猛禽狙いの達人みたいな人もいますから、そんな人達と同程度の鳥力を持っていると誤解されるのを恐れているのからかもしれません。
そんな自信不足ではありますが、朝早くにと言うよりは深夜に起きて、今日はどうだろうか、見れるだろうか、撮れるだろうかと、猛禽を探しに出かけるのです。まあ、好きと言えばこれが好きなんでしょうね(笑
前置きが長くなりましが、今日のターゲットは浮島湿原のチュウヒの塒立ち。そうです。塒入りがあるなら、塒立ちが当然あるはずです。夜明けと同時くらいに塒を立つチュウヒを見に行こうということになりました。
朝は3時45分起床。前日に準備をしていたので、4時少し過ぎに出立。途中少し買い物をしていつもの場所に到着したのが、6時少し前。夜明け前です。昨晩はすごい風だったのですが、風は収まっています。
前回の教訓から到着後すぐにカメラをセット。防寒対策を施して6時にはスタンバイ完了。朝はともかく迅速さが大事ですね。
そして6時10分頃、夜明け前の空にチュウヒが飛び出しました。白い尾羽が確認出来ます。ハイイロチュウヒのメスでしょうか。この明るさですから写真にはなりませんが、目でしっかりとみることが出来ます。
そして次々に飛び出します。シルエット写真ですが、朝焼けの色がなかなか美しいです。
かなり無理して明るさを補正しました。国内型、若鳥と言ったところでしょうか。
全般的に遠いですが、次々に飛び出していきます。その中で本当に本当の証拠写真ですが・・・
恐ろしく遠い上に、感度もかなり上げて且つ相当なトリミングをしていますが、ハイイロチュウヒのオスであることが確認出来ます。浮島湿原でとりあえず初めてとれたハイイロチュウヒは朝の塒立ちでした。実際何回か目撃してたのですが、カメラマン泣かせの典型みたいな猛禽ですね(苦笑
その後も何羽かチュウヒが飛び立ちました。正確ではないですが、ハイイロチュウヒのオスは二羽、それ以外は7羽から8羽。おそらくは10羽程度がこの湿原から塒立ちをしていったのではないでしょうか。一時は葦原の上が結構賑やかでした。いやぁ、早起きは三文の得と昔の人はいいましたが、いいものを見られた気がしました。
朝の塒立ちも三十分もすると落ち着いて葦原は静かに。その後はここを餌場にしていると思われる数個体が飛んでいるのをポツポツと確認出来ました。
そんな中餌をゲットしたミサゴが・・・成長のオスでしょうか。
7時を過ぎると本当に動きがなくなりましたが、そんな中、比較的近くを飛び回っている個体がいました。体下面は淡褐色で暗褐色の縦班、腰は白く、風切りの下面には明瞭な黒褐色の横班。虹彩は黄色ですからハイイロチュウヒのメスの成鳥でしょう。
後ろから見ると見事に腰が白いですね。
先週は渡良瀬遊水地で塒入りでしたが、今週は一転して浮島湿原で塒立ち。朝早かったり、夕方遅かったりと我ながらよくやるもんだと思います。実は渡良瀬遊水地も夜明け前の塒立ちを何度か観察しています。本当に日の出前の薄ら明かりの中を飛んでいくのです。ですから、写真にはなりませんし、何せ遊水地は広いので観察もとりとめがありません。その点、浮島湿原は比較的範囲が狭いので、ならばこちらはどうだろうと言うことで、今朝出張ってみたのです。
いやぁ、こりゃ、来週もだなぁと連れ合いと意見が一致。ただし、今朝は日が昇ってきたら風が強くなり観察や撮影にはかなり支障をきたす状態になってきました。まあ、来週の出張りは天候次第ということで、撤収と相成りました。