サシバがやってきた・・・里山の春 Part1

例年より少し早いですが桜が満開です。本格的な春の訪れ。

冬の猛禽達はすでに北へ帰っていることでしょう。そして入れ替わるように日本で繁殖する猛禽達が渡って来ます。その中で管理人達が特に気に掛けているのがサシバ達です。

いつもの里山に無事に辿り着いただろうか・・・それを確認したいと思う3月最後の日。心待ちした季節がやって来ました。

この日は思いの外冷えました。それでも冬の猛禽詣に比べれば楽勝な陽気です。すこしゆっくり目の出立でしたがいつもの里山には8時45分頃到着。上々の天気です。

朝方は空気がひんやりしていますし少し風もありますがサシバ日よりではないでしょうか(笑

とは言いながらこの時期ですとどれくらい渡って来ているか不明です。以前も3月中に訪れたときはまるで不発でした。大概は4月中旬を過ぎたくらいから通うのですが、桜の開花が早かったのにつられて例年より早めの出張りとなりました。

と、不安もありながら到着すると即、電柱サシバを確認。写真は撮りませんでしたが去年の営巣地の近くで第1号を発見出来たのは幸先の良いスタートとなりました。

それから写真にはならずとも別個体を2羽ほど確認。今日は期待出来そうな予感がしてきました。

そして写真第1号。これはオスのようです。

後ろ姿ですが、電柱の先の更にその先の鉄柱に止まっていました。後ろから静かに寄ってシャッターを切ります。

そして更に別場所で別個体。メスです。

続いても別場所の別個体。これもかなり遠いですがメスです。

巡りがいいといいましょうか、回るところ回るところに別個体がいる感じです。かなり渡って来ている感触です。

これはオスでしょうか。これも別場所です。

このサシバは飛び出しが撮れました。このような飛翔シーンは秋のワタリの時には中々撮れませんね。

別場所の電柱サシバならず電線サシバ。これはメスでしょう。

この個体が森の中に飛んで行ったのですが・・・

2個体いるのが分かるでしょうか。おそらくはオスがいて交尾のような動きをしていました。恋は成就したかは定かではありませんが、1羽がすぐこの木から離れて行きました。

巣を作るまでは至っていませんが、繁殖の準備は少しずつかもしれませんが進んでいるようです。

比較的午前中は動きがあったのですがこれ以降まったり時間になったのでしょうか、姿を見せなくなりました。

一回りして午後の時間を潰しているとようやく電柱サシバを発見。これもいままで見てきたものとは別個体だと思われます。

が、後ろからそーっと寄ったのですが気配を感じられてしまったのか後ろ姿しか撮れません。

車で近づいても逃げることはないのですが、ドアを開けて人が降りていくとサシバによってはすーっと逃げていきます。まあ、電柱に止まっているサシバですからそれほど警戒心の塊と言うほどではないようですが。

先ほど後ろ姿のサシバですが近くの電線に止まりました。

回りをキョロキョロしていたのですが、レンズを構えている管理人達を発見したからでしょうか・・・

怖い眼で睨まれてしまいました。そしてそのご直ぐに飛び立ちました。

春のワタリですから成鳥しかいないのですが、その中でも比較的若い個体のような気もします。昨年ここで孵った雛が帰ってきたとしたら嬉しい話です。

どこかに行ったと思いきや、少しばかり離れた木の上で佇みだしました。

そしてこの個体が佇んでいる間、この上空を3羽ほど飛んで行きました。

かなり高いところを飛んでいます。飛んでいると言うより滑翔に近い感じがします。ことによるとここに留まるのでなくワタリの途中の個体かもしれません。

その後少し離れたところで2羽の個体がディスプレイフライトをしていました。

巣作りも近いでしょう。もう少しすれば巣材を咥えて飛んでいるサシバが見られるようになるでしょう。そうなれば本格な繁殖の始まりですね。

さて、本日だけで20回近くは出現の機会がありました。出現がダブった個体も少しはあるのですが、おそらくは12~15位の個体を確認出来たのではないかと思います。案外今日渡って来たと言う個体が多かったかもしれませんし、ワタリの途中の個体も混じっているかもしれません。

正確なことは分かりませんが多かれ少なかれこの里山に繁殖の季節が到来したことは間違いないようです。

本日は泊まりで明日も観察をもう少し続けたいと思い、宿へと撤収と相成りました。

伊良湖岬と伊良湖ビューホテル・・・渡りの最終章 Part2

ホテルの部屋から夜明け前に撮った伊良湖岬と月です。見てのとおり天気は良いようです。ならばここの名物は月よりも日の出です。昨年は天候が悪くて見そびれましたが・・・

なかなかの風景でした。これで後はタカが渡れば言うこと無しなんですが・・・

飛びません。まあ、飛びません。どうなっているんでしょうか。風向きはイマイチかもしれませんが、ここまで飛ばないとは。何度か書きましたが、ここは出足の早いところです。これだけ出足が悪いと今日一日駄目じゃないかと思ってしまいます。

ようやく昼近くになって・・・

ノスリです。私たちは「のりちゃん」と呼んでいます。これは若なんでしょうか。色合いが白いしこちらを興味深げにのぞき込んでいる様は若のような気がします。

やっとサシバが来ました。若のメスのようですが、みんなとはぐれて乗り遅れた感じがします(笑い

よくよく見るとオオタカの若でした。

しかし、まあ、まとまって飛ぶときは一日に1000羽を軽く超えることもあれば、こんな日もあり、読めないタカです。連れ合いはサシバのことを付和雷同をもじって付和ライチョウと呼んでいます。

それでもこの日の猛禽としては貴重な存在となりました。ちなみに、オオタカは留鳥ですね。

ハチクマの若、メスでしょうか。これもサシバに続いて来ました。ピークを過ぎた時期は行遅れた若が飛んで来るのでしょうか。移動の中心はかなり西になっているようで、宮崎県の金御岳の数字がかなり上がっています。

ようやくタカ柱があがりました。全部の種類はわかりませんが、結構ノスリが混じっていそうです。昨日からの居残り組がようやく飛び出した、そんな感じなんでしょうか。

天気は良いです。そして暑いくらいです。人も機材も日除けがいります。

オオタカや(チゴ)ハヤブサも飛びましたが、写真にはなりませんでした。飛び数としては期待ほどではありませんでしたが、ピークを過ぎていることを考えれば致し方ないところか。

カウントはサシバ118、ハチクマ18とのこと。まあ、そんなもんでしょうか。

天気は抜群によく、数は少ないですが青空をバックに渡っていく姿を見ることは出来ました。撤収後はすぐにホテルでビュースパに入浴です。これがここの一番のメリットですか。

ビュースパから伊良湖岬が見えます。そして夕方にはこんな感じでタカ柱も・・・

まあ、これはトビですけどね(笑

でも、まれに他のタカが渡っていくところも(露天風呂から)見られることもあるかもしれません。手足を伸ばしてゆっくり風呂にはいって、明日はどうなるでしょうか。

里山の夏・・・サシバの親子達のその後 Part15 & Part16

今週末は田舎に帰るのでその行きと帰りに里山に寄ったのでナンバリングはPart15、Part16となりました。そしてさすがに「里山の春」とは言いがたい季節になり、雛も巣立ったので「里山の夏」としました。どうでもいいことですが、ケジメといいましょうか、区切りですね。

さて稲穂の伸び具合はかなりのもので梅雨明けはしていませんが、夏真っ盛りと言った陽気になってきました。

そんな中、巣立ちを果たしたサシバ親子達のその後が気になり、短い時間ではありますが、両日に渡って訪れることになりました。土曜日の朝、到着後すぐに目に付いたのは・・・

逆光で距離もありますが、黒い虹彩、お腹の縦縞模様などから幼鳥であるのが一目で分かります。身構えもだんだんタカらしくたように感じます。身も詰まってきたのでしょう。しかし、暫く観察していても自ら餌を獲る素振りはありません。

親の方は管理人達には目もくれず飛んで行きます。しかし幼鳥はそのようなことはありません。中々幼鳥の飛翔シーンは撮れないですね。

換羽前なんでしょうか。かなり羽がスカスカです。

それでもたまにおぼつかない足取り(羽取り?)で幼鳥が姿を見せます。電線に載ろうとしてコケそうになります。

羽をひろげたところを見ると羽の痛み具合が親に比べて殆どありません。これから換羽するような感じではないですね。幼鳥の方が渡る時期は早いと言われていますが、親鳥の換羽の時期と関係があるのでしょうか。

この両日はよくオスを見かけました。メスもいるにはいましたがあまり飛びません。

暑いせいか口をあけて飛んでいます。南洋系のタカとは言えこの暑さはやはり堪えるのでしょうか(笑

先ほどの幼鳥と比べると羽が随分と痛んでいるように見えます。痛んでいると言うよりは換羽の途中といった方がいいのかもしれませんが、やはりワタリの時期がずれるのはこの羽の所為のような気がします。

すでに巣立ちをしていますから巣は空っぽです。ですが巣の近くで親子達は暮らしているようです。気がついたのが遅くて写真には撮れませんでしたが、土曜日は朝方上昇気流にのって滑翔の練習を親と一緒にやっているかのようでした。

日曜日、子供達の啼く声はよく聞こえたのですが、飛び立つことはありませんでした。時間が少し遅かったかもしれません。いずれにしても親は子供達を誘導するかのように時折飛び回ります。親が餌を咥えて飛んでいるとこを見ませんので餌自体は森の中で捕獲しているのかもしれません。

別場所で観察していたら四羽から五羽のタカ柱を見ることも何度かありました。この時期はミニタカ柱が立つことがしばしばあるようです。まさに秋の予行演習ですね。

さて、そうなると一旦は区切りをつけたつもりのサシバの観察ですが、「里山の夏」バージョンも考える、つまりワタリ時期の確認です。

ただ暑さが・・・まあ、田園を吹き抜ける風は都会と違って心地よいですが大概は日除けもない場所での観察ですからね。逡巡してしまいますが、このまま秋のワタリまで見届けてやりたいと言う気持ちは日に日に強くなって来ました。

さて、さてどうしたものかと思案しながらの撤収と相成りました。

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part14

翌日は雨も上がって結構早くに観察に出かけました。メスの親が餌取りをしているところに遭遇。昨日は子供の姿が見えなくなったところで管理人達も撤収したのでその後が気がかりです。

とりあえず巣をのぞいてみると・・・

最初は一羽しか見えませんでしたがしばらくすると・・・

両方お腹が縦縞で虹彩も黒いですから子供達ですね。昨日は見えなかった二番子も餌を貰いに戻って来たのでしょうか。

どうもタイミングが悪いみたいで親が戻ってくるといない・・・みたいな感じですね。自力では餌は捕れなくてもかなり大きいですから動き回ることは動き回るようです。まあ、これは致し方のないことなんでしょう。

それでもなんやかんや観察していると最大で4羽が飛んでいるのを確認出来ました。まあ、遠くて写真にはなりませんでしたが。どうやら一番子以外はまだこのあたりにウロウロしていたということなんでしょう。

羽がかなりボロボロです。これから換羽するのでしょう。最後はメスの親と三番子が上昇気流に乗ってどこかに飛んで行きました。それっきり巣の回りに気配がなくなりました。その時は動画を撮っていたので写真は撮れませんでしたが、ほんの僅かですが二羽で巣を飛んで行く姿を動画に収めることは出来ました。これが見納めだろうなという思いがしました。

里山に通うこと幾十度。Partも14まで来ました。今週末は田舎に帰るので途中に寄ってみるつもりですが、おそらくはこの場所にはいないと思います。ですが、一番子以外は無事な姿を確認出来ましたからそれで十分と言えば十分です。おそらく一番子もどこかで元気に飛び回っていると思います。

整理すると、一番子とオスの親が最初に次の餌場に移動し、二番子が次に移動、そして最後は三番子がメスの親と一緒に移動、そんな感じだと思います。サシバは夏には森の中に移動し、餌もカエル類からセミなどに変わり、養生しながら換羽して秋のワタリに備える・・・こんな段取りのようです。

このあたりのサシバはワタリの時期がいくらか早く、八月の半ばくらいから始まるのではないかと思っています。足環をつけて確認するわけにもいきませんから何とも言えませんが、比較的近い場所のワタリの実績をみるとそんな気がします。

サシバに限らずタカのワタリについては不明な点が多く、解明されていないことが沢山あるようです。管理人達が少しばかり観察をしたからと言って不明な点が分かるはずもありませんが、それでも営巣を断続的ですが観察していると色々なことに気づきます。特に営巣に好適な場所はいくつかの(古)巣を比べるとなんとなく見えてきます。

不用意に近づきすぎて観察圧力を強くかけ続けると営巣の放棄という最悪の事態を招きかねませんから、そのあたりは注意が必要です。それでも雛が孵ってからは放棄するようなことはなさそうです。

気のせいかもしれませんが、通い続けていたらサシバの方の警戒心が薄らいだのか、結構近くを平気で飛んで行くこともありました。これが仇になって望遠レンズでは撮りはぐれることしばしばでしたが(苦笑

さて、名残惜しいのは山々ですが、これで観察も一段落です。まあ、無事な巣立ちを確認できたのは本当に良かったと思います。ですがサシバにしてみればこれで終わりではありません。ワタリを無事にこなし来年は子供達が成長して、ここに親鳥として戻ってきて欲しいのです。おそらくは同じ場所に巣は作らないらしいですから、来年も営巣場所がみつかるかは分かりませんが、元気な姿を見ることができるように祈りながら撤収と相成りました。

里山の春・・・雛が孵ったサシバの里 Part13

今回でPart13となりました。ほぼ毎週通いました。およそ2ヶ月半でしょうか。おそらく営巣の観察としては今回が最後になると予感してサシバの里に到着しました。あいにくの雨模様です。

ぱっと見、何もいません。ああ、これは巣立ってしまったのかなと思いきや・・・空の巣の左側の外にいます。枝渡りなんでしょうか。

巣立ちとはいったん巣から外にでて飛んで巣以外の場所に降り立ったら巣立ちだそうです。ですから、巣に戻ってきてしまったら巣立ちとは認められないとか。まあ、これは人間が勝手に決めたことですから、サシバにしてみればどうでもいいことだとは思いますが。

これが巣立った後に戻ってきたのかそうでないのかは分かりませんが、一羽ですが巣にいることはいました。おそらくこれは三番子なんでしょうね。そして親は巣の近くにいます。

雨の中でも餌取りは休まないようですね。おそらくは子供達は自ら餌取りは未だ出来ないと思われます。親の仕事はまだまだ終わらないようです。

どうやら巣立った後は森の中に暮らしの場所を移すようです。餌のこともありますし、羽を休めて養生して秋のワタリに備えるということになるようです。餌は森の中のセミ類が主になるようです。稲穂がのびた田んぼではカエルの捕獲は非常に難しくなるのでしょう。

巣にいた三番子が枝渡りを始めました。おぼつかない足取りですが羽をばたつかせて移動していきます。

巣のある木のかなり上の方まで移動しました。そしてここから飛び出しました。どうやら巣立ちは終わっていてまた戻ってきたような感じです。そして子供がいなくなった巣に親が餌を持ってきました。

口におそらくカエルだと思いますが、餌を咥えていました。撮影した時にはカエルは見えなかったのですが、せっかく餌を持ってきたのに巣はもぬけのから。その後カエルがどうなったかは定かでありません。

その後、親(メス)が三番子がいた近くで高止まり。餌ではなく、近くに子供がいないか探している風情です。

さらに場所を変えて上を向いて子供を探している様子です。餌なら下を向いて探します。いままでこのような動作はあまりみられませんでした。

そしていきなり啼きながら飛び出しました。ワタリではまずみることはないですが、口をあけて啼きながら飛んでいました。

どうやら子供達に聞こえるように飛んでいるように見えます。かなりこの近辺を啼きながら周回していました。どこからか子供達が現れるのではないかと期待したのですが・・・

何かを探して飛んでいるような表情にみえます。そして先ほどの木に再び高止まりします。

そしてここでも啼きつづけます。しかし別の個体が寄ってくることはありません。この後啼きながらどこかに飛んでいってしまいました。

・・・続く