伊良湖岬と伊良湖ビューホテル・・・渡りの最終章 Part1

 どうでもいいことなんですが、伊良湖岬は「いらごみさき」と読み、伊良湖ビューホテルは「いらこびゅーほてる」と読むようです。地名としては「いらこ」ですから、岬になると何故か「いらご」になるようですが、渡るタカにしてみればそれこそどうでもいいことかもしれません。(笑

 さて、どうも管理人達が伊良湖岬に行くときは天気が悪いというジンクスが定着してしまったようです。

 伊良湖岬は今年で3年連続の遠征になるのですが、3回とも出立時は悪天候です。台風の時期ですから確率的にはやむ得ないところもあるでしょうが、日頃の行いの所為かもしれない・・・なんてことは全く思いません。要するにこんな天候が常につきまとう時期に渡りがあると言うことなんですね。考えてみればこんなリスクの高い時期に渡るというのは一体どういうことなんだと疑問が又沸いてきます。

 それでも浜松SAに着く頃は雨は上がりました。前々日、前日の予想では昼頃まで天気は回復しないようでしたが、回復は予報より少し早くなりそうな気配です。

 滝沢展望台のある風車ではありませんが、第2東名の浜松SAから見える景色です。風の通り道故に、このような構造物が作られたとして、それが原因で渡りのルートがねじ曲がったとすれば、渡りるタカにしてみれば迷惑な話です。この場所を回避するために無駄なエネルギーを使わざる得ないことになり、消耗が少しでも増えることは渡りのリスクを高めることになるような気がします。

 越冬地はここからまだ遙か先、海を渡って行くわけですから、なるべく地続きの場所は無駄な体力を使わず温存したいところでしょう。

 さて伊良湖岬の恋路ヶ浜に到着したのは8時45分頃でした。自宅を出たのが4時ですから、4時間45分の行程でした。天候も悪かったし道々休みながらだとこんなもんでしょうか。恋路ヶ浜の駐車場は満車にはほど遠い状態でした。天候の悪さが影響したのでしょう。天気は回復していました。

 本日はホテルではなくこちらで観察するつもりです。今日はホテルも見えますし視界は良好ですが、ホテルは明日からということにしました。

 さて、到着してから昼の間まではあまり飛びませんでした。雨が上がった直後ですから待機している個体も出てこないようです。なんとか写真に収めることが出来たのは13時過ぎになりました。

 ハチクマの若、オスでしょうか。こちらをのぞき込んでいます。

 もう少し飛びましたが写真的にはこんなもんでした。カウントはサシバ19、ハチクマ9とのことですからまあこんなもんでしょう。

 天気予報からすれば今日は1日駄目だと思っていたのですから、少しでも見られただけでもラッキーだと思います。そして当然、明日明後日を期待して16時頃ホテルに入りました。

 ホテルに入ると中々よさげな場所に停めることが出来ました。だったらここで2日間粘ろうかということになり、場所取りを忘れずにチェックインです。この辺りの事情はこちらをどうぞ。

・・・続く

機動観察こと始め・・・滝沢展望台 Part2

今回の投稿はネタ的には色々ありますが写真的には?です。

タカの渡りの時期ですが色々あるということで・・・

朝方観察の準備をして軽い朝食を済ませると、観察用のスコープを持ったウォッチャーが現れました。ここでは仮にAさんとさせてもらいますが、このAさん偶然にも前日の杉尾山展望台の観察に参加されていたとか。お話を伺うと、「そりゃ中々出来ない体験」であると思いました。

7000を超えるサシバの渡りですから、ただ事ではなかったのです。

カウントされていた方が腱鞘炎にでもなるんじゃないかと思うくらい、一日中カウントを続けられたとか。まあ、人間の観察とサシバの群れですから多少の誤差はあったにしても、大変な作業であったことは間違いないようです。

それで、本日は滝沢展望台に移動しての観察とのこと。このあたりは、普通ならそう誰でも思うところです。管理人達もそうですから。

ただ、この巨大な風力発電機。

これが出来る前は、本当にここは良い場所だったとか。以後、渡りのタカ達は寄りつかなくなり慣れれば戻ってくるのではと期待したようですが、あまり芳しくないようです。

居着きのトンビなどは風車のまわりを飛び回っていますが、年に2回くらいしか訪れない渡りのタカにとっては不気味な存在のようです。

なぜ、Part1で裏話をしたかといいますと、この風車の引いた写真をこの日は撮っていなかったのです。それで後日撮影したのがこれ。新東名浜松SAからです。

これ実は伊良湖岬に行く途中10月7日に撮ったものです。

ご覧のとおり稜線に並んだ風車の列。これをサシバ達の目線から見たらどんな風に写るのかなと想像すると、近寄りたいモノではないと感じます。遠くから分かりづらいですが、羽の突端が光っているらしいのです。

それで早い話がこの日渡ったサシバはゼロでした。アサギマダラは渡って行きましたけど。

しかし、が、しかし、ここでめげてはいけません。管理人のポリシーとして可能な限り翌日も同じ所に出張るというのがあります。要するに1日だけではその場所のあれやこれやが分からないからです。

そして土曜日は昼には撤収しましたが、日曜日再び4時に起きて滝沢展望台を目指すことになります。

2日間の走行距離約1000キロ。

千羽の鷹ならぬ、タカを観察するために千キロ走る・・・みたいなかんじですね(苦笑

さて、翌日は迷うことなく7時頃到着。

しばらくするとレンズを担いだご夫婦が。

なんでも昨日は二三月峠にいたようで、約1000羽くらいは渡って行ったとか。そしてタカ柱がこの滝沢展望台のあたりによく上がっていたので今日はこちらに来とたか。

正直に「実はここは昨日一羽も渡りませんでした。」とお伝えしたところ、驚いたご様子。

それならば「もう少し西に移動します」とすぐに撤収。

管理人もいささか心が動きました。二三月峠は大体場所も調べてあったし、逡巡しました。

が、ここは初志貫徹。

結果はどうなるか分かりませんが、管理人としては土地勘の無い場所でやたら動き回るのは危険であるし、観察の連続性も大事だと思いとどまりました。

結果は・・・

3回ほどタカ柱が出来ました。5羽、7羽、20羽と楽に数えられる程度ですが。しかも遠くかったです。遠かったですが、流れるルートみたいなものはなんとなく分かったような気がします。

しいて言えば、20羽のタカ柱は遠かったですが、正面に上がりました。証拠の証拠程度ですが・・・

いままでは定点観察している定番と言われる場所でしか観察したことが無かったのですが、初めて自分でルートファインディングをして観察したタカ柱です。これはこれで数はともかく満足感があります。

今回感じたのは言われてはいますが、タカの渡りのルートは固定的ではなくある程度は変化するということでした。

まず杉尾山を通過した個体の半分くらいが伊良湖を通過したようです。杉尾山展望台の1日の通過数は記録的でしたが、同じような数は伊良湖では通過していません。これは別のルートがあると言うことになるでしょう。また、杉尾山展望台から浜名湖あたりまではかなり山並みが深く、山ひとすじ違えばサシバの姿を見ることは中々難しいということです。先ほどのAさんも「肉眼で1キロ、双眼鏡で2キロ、スコープで3キロ」などと言ってましたが、概ねそんなもんだと思います。まあ、肉眼でも双眼鏡やスコープでも、個別の能力差がありますから人により、機材によるところもありますが、要するに観察距離の限界はあるということです。

展望台は土曜日(30日)の風向きは北西から西そして西南西、日曜日は北東から東、そして東南東でした。日曜日あたりサシバの動きとしては一端西に流れたものが、左カーブして展望台の前方の方を通過するパターンが3回ほどありました。土曜日の風向きが北東でルートが日曜日と同じなら土曜日の景色は違っていたのかもしれません。ちなみに29日は土曜日と同じような風向きだったようです。このあたりは場数をもっと踏んでみないと分からないところだと思います。

色々な要素が入り交じってルートは決まっていくのでしょうから、観察の限界距離の中で渡って行くタカ達と遭遇出来るのは運のいいことなんだと思います。それ故に日本全国で名の知れたタカの渡りの観察できる場所は限定されているのだなと思いますし、それも絶対ではないと言うことなんだと思います。

タカの渡りを追いかけるのは正に「機動観察」になります。管理人達は茨城の水戸から始まって、新潟の山本展望台、長野の白樺峠、、神奈川の武山と菜の花台、静岡の浜松と移動してきました。

そして来週は愛知県の伊良湖です。この時期にこれだけ大量に飛んでしまうとピークは過ぎてしまった感はありますが。

さて、ひしひしとタカの渡りの難しさと面白さをかみしめながら、道路が混む前と本日は11時にて撤収と相成りました。

飛ぶぜ2000羽・・・白樺峠 2017 Part4

Part3の写真を整理する前にとりあえずビデオを作ってしまいました。

春からサシバを見ていた管理人達としては秋に彼らを見送る心境を聞かれれば

「来年また帰って来いよ」

としか言いようがありません。厳しい自然界の現実は彼らに過酷なことを要求しますが、それを承知してもそう思わざる得ません。

その思いが少しでも伝わればと・・・拙い編集をしてみました。

飛ぶぜ2000羽・・・白樺峠 2017 Part2

今日は日曜日。天気も昨日よりかなり良いようです。ならば早起きして(年のせいか勝手に目が覚めるのですが)出立の準備です。

朝ご飯は宿にお願いしておにぎりを作り置きしてもらいました。それを軽く食して5時ちょい過ぎには乗鞍の宿を出ます。

到着は5時30頃。枠の最後が空いていしまた。滑り込みセーフ。明らかに昨日より車の集積が早いです。しかし到着したばかりでこれから機材の準備をする人達がかなり見受けられます。

こちらは昨日の準備があるので到着後即機材を持って出立。6時少し前には峠に到着。人の集積は昨日の7時半頃よりは空いています。

天候は昨日より少しましですが靄がかなりかかっています。

実はこの時すでにハチクマが飛んでいたそうです。出足は早い。

そして8時前には遠いですがサシバが上がり出しました。

オスの成鳥が元気よく飛んでいます。

ついでと言っては何ですがツバメも飛んでいきます。

そしてハチクマ登場。比較的近かったです。若でしょうか。

まあまあの背うちのハチクマ。ここではあまり撮れない構図ですね。

下から撮るとこんな感じです。

ハチクマは相変わらずコンスタントに飛んで呉れます。サシバの出がイマイチな感じです。

そしてハチクマは若が多いです。

さて、こう言ってはなんですが、ワタリのハイライトはタカ柱です。これほどワタリを象徴するのもは他には無いと思うのですが、なかなか遭遇しません。タカ柱に限ればここでは主役はサシバ。
サシバの動きがイマイチですが、ようやく若が渡って来ました。

つづいて成鳥のメス。

その合間に何故か空を見上げるホシガラス。頭の上をワタリのタカが行き来していて気になるのでしょうか。

そして昼過ぎくらいから13時半くらいにかけて間断なくサシバのワタリが始まりました。

こうなると何をどう撮って良いのか分かりません。動きは動画に収めましたのでそちらで公開しますが、撮影すると言うよりは、それを眺めているだけで幸せといった少々大げさですが至高の時間となりました。

とはいいながら、ちゃっかり・・・

背うちを撮ったりもしています。数が出ますから近くに寄ってくる個体も出てくるから可能になるのです。

つられてかどうかは分かりませんがハチクマも近くに寄って来るケースが増えてきました。

サシバのタカ柱は遠いけど動画、ハチクマは近くに寄ってくるから写真・・・眺めているだけのつもりがいつの間にか、結構忙しくなりました。

サシバのタカ柱のピークは昼で、その後は15時台にもう一山ありました。

そんな中サシバのメス成鳥。

かなり近くに寄ってきたハチクマのメス、成鳥。

サシバの接近戦の写真が少ないのが残念なところもありますが、見事な流れるようなタカ柱と近くによってくるハチクマのオンパレード・・・まあ、贅沢を言ったらキリがありません。

本日のカウントはサシバが1697、ハチクマは226、その他合わせて2033羽のワタリとなりました。白樺峠では今期三番目の数です。

去年もピークの時にいましたが、数では少ないですが、距離のいくらか近いタカ柱が多かったように思います。

いずれにしても堪能しました。まあ、爆発の規模から言えばそれほど大きくないのかもしれませんが、秋のワタリを満喫出来たことに変わりはありません。

思えば、今日は日曜日なので混雑するから昼に帰った人達もいました。そうです、管理人も明日を休みにしなかったら・・・午後のワタリには遭遇しなかったことになります。

運がいいとき、悪いとき、色々あります。ああ、でも今日は良かったなと思いつつ、本日は撤収と相成りました。

飛ぶぜ2000羽・・・白樺峠 2017 Part1

タイトルからしてかなりテンションが高くなっていますが、今回の白樺峠は毎年のことといいながら、やはり一筋縄ではいきませんでした。

遡ること数ヶ月前。休日前の宿は早めに予約をとる必要があります。今年のカレンダーをにらむと9月16日から18日にかけてが狙い目になります。

白樺峠の前半のピークもこのあたりにくる傾向が過去のデータをみれば分かりますから当然そうなりました。宿には直接電話で予約をいれ、とりあえず秋を待つことになったのでしたが・・・

そうです。台風が来ました。それも大型の。それで3日ほど前にやむなく予定を23日と30日に分けて変更しました。土曜日の晩だけでも宿泊の予約を押さえておけばなんとかなると踏んだのです。

15日に最初のピークが来ました。渡り数はトータル2234羽です。次のピークは台風の去った後の19日。ここは2248羽。忸怩たるものがありましたが、どうにもなりません。今年はいろいろあって休みがとれずカレンダー通りにしか動けなかったからです。

しかしこの時点である決断をしました。それは25日を休んで23日~25日で連泊することに変更しました。かなり無理して休みを取ることになりましたが、これが明暗を分けることになったのです。

さて、23日の未明にかけて関東ではかなりの雨が降りました。天気予報では長野辺りもあるていど影響がでるようでしたが、日中に引きずることはない模様でした。

現地に7時半頃到着してみると雨が降った後が残っていました。シーズン真っ盛りの土曜日の朝の割には車が少ない気がします。天候のせいでしょう。車もいつもの枠の中に停めることが出来ました。

靄も立ちこめています。しかしこの後は天気が回復するとのことですから、期待して登り始めます。

峠の上も濃い靄に包まれています。天気は回復するようですが暫く待ちです。

待つこと3時間。ようやく最初の飛翔が・・・

サシバの成鳥です。単独で飛んできたようです。雲があるせいか比較的低いところを飛んできたようです。なんとか峠の上でワタリを見ることができてほっと一息です。

その後ですが、飛びはあまりよくありません。その後30分位してようやくハチクマの登場です。成鳥のオスでしょうか。

昼頃になってもまだ靄が立ちこめています。数は少ないですがそんな中でもハチクマがポツリポツリと飛んで行きます。若のようです。

それでもようやく晴れ間が見えるようになりました。「そのう」を膨らませた成鳥のメスです。白色型ですね。

ハチクマはサシバに比べると頑丈に見えます。天候が少し悪かろうがもろともせずに飛んで行く、そんな感じがします。オスの成鳥。頭が灰色ですね。

これは若のようです。下に目線を呉れています。下にいる観察者などの群れが珍しいのでしょう。

サシバのような大集団でのワタリはないですが、ハチクマは個体の違いがあるので数は少なくても見ていて飽きません。

あ、遠くにまたハチクマだと油断していたら・・・

かろうじてシャッターを切った・・・そんな感じです。たまに出ることはでますが、ここでクマタカとは中々粋な天の配剤ですね。このクマタカは雲の中に紛れてしまい、それっきり見えなくなってしまいました。こちらに寄ってくれれば大きなお土産になっのですが。

クマタカが出た後本日唯一と行っていい、タカ柱が遠くに上がりました。

大きなクマタカも飛びますが、ツミも飛びます。今年は成鳥のツミのワタリが多いとか。

遠くて動きが速いので写真には向きのタカではありませんが、元気に飛んで行きました。

そして珍しいと言えばこれも珍しいのですが、ミサゴが飛んできました。

16時近くなってきてそろそろ終わりかな思ったとき、単独でサシバが元気よく渡って行きました。

これはいい予兆かなと思いつつ、初日が終わりました。ワタリの速報によるとこの日は、サシバが85、ハチクマが70、そしてツミが44だそうです。ハチクマはまあまあ飛んでくれたかなといった感じです。

明日は日曜日。天気も良いようです。おそらく朝早くから観察者や撮影者が集まるでしょう。そして・・・「飛んでくれるよぁ」の期待を抱きつつ本日の撤収と相成りました。