タカの渡り 2018 Part11&Part12&Part13・・・ 伊良湖岬

自然相手のタカの渡りの観察ですから、良い時もあればそうで無い時もあります。多分にそうで無い時の方が多いですが(苦笑

今年はブログに上げるのが遅くなっているので後からの紀行文みたいな感じになっています。

そうするとPart11からPart13までの伊良湖岬は実はあまり書きたくない・・・なぁんて少しばかり思ってしまうのです。

ただ、管理人にすればワタリの基本を思い出させてくれた苦い紀行になったという実感があります。

前書きはこの位で話を始めると・・・

9月27日(木)4時頃出立。天候が芳しくないのでやや遅めです。

神島に渡ってみようと考えて岬に行かずフェリーターミナルに到着したのが9時過ぎ。

フェリーは10時発があるので十分間に合います。

それでターミナルに行って乗船券を求めたのですが・・・

受付では暫く待ってくれとのこと。

あれれ???なんて思ってロビーで待っていたら、フェリーの船長さんらしき人が現れて、要するにありま条件が良くないので渡航は見送った方がいいですよみたいな話。

天候の問題なのかその他の問題なのかその時はよく分からなかったのですが、無理に出かける程でもないので予定はキャンセルしました。

追伸:
あくまでも管理人個人の見解ですが、その時の乗客は管理人と連れ合いの二人だけ。この便に乗せて行くと予定通り全ての往復ダイヤを運行しないといけなくなるのでしょう。たった二人の乗客のために無駄な燃料代は使いたくなかったのかなと思います。あちらも商売ですから、まあ、気持ちは分かります。

ただ、今回の管理人達と似たような状況の場合、正直よく分からない理由で渡航をやんわりとしない方がいいですよみたいな場合もあるかもしれませんので、神島にワタリの観察にでも渡航しようかと思った場合、その辺りを含んでおいた方がいいかもしれません。

まあ、天気も良くてお客さんもそこそこいればそんなことはないのだと思いますが。

伊良湖岬の恋路ヶ浜の駐車場に回ります。

ご覧のとおりの曇天模様。風自体はそれほど悪くないと思いますが、どうにも飛ぶ感じがしない空です。それでも去年はこんな天候で結構なタカ柱が上がったのですが。

それでワタリの速報によれば27日は天候不順のため観察は中止でした。

管理達はそれでも観察していたのですが・・・やはり飛びません。遠くにハチクマが1羽くらい飛んだのですが、まあ、0と言ってもいいのかもしれません。

続いて2日目は、期待したとおりの晴天。

さあ、今日は飛ぶぞと意気込んだのですが・・・

かなり渋い出です。まとまって飛ぶことはありません。単発的かせいぜい2羽くらいでのワタリです。これが前触れかと期待もしたのですが、あとがまるで続きません。

ようするに移動している集団が近くには居ないということなんでしょう。

9月28日目 タカの渡り速報 伊良湖岬より)

サシバ  91
ハチクマ 12

正直言って伊良湖岬の晴天としてはかなり物足りない感じでした。

そして3日目も初日と同じように悪天候で定点観察は中止です。

朝方少し粘ってみましたが飛ばないし雨は降るしで早々の撤収となりました。

帰りにはホテルで宿泊のお土産にメロン狩りが出来たのでそれによって早々の帰宅と相成りました。

さて、ここからが実は本題です。

管理人達が伊良湖岬で悪天候に泣かされていた頃、関東ではサシバの大きな移動がありました。関東付近の定点観測の速報値はピークを思わせる高い数字を記録したのです。

9月28日 サシバ (タカの渡り速報より)
武山    296
権現山   403
明星山  1716
平林林道 1145

参考までに・・・

伊良湖岬
10月2日  895
10月3日 2641

伊良湖岬に今年早めに行ったのは去年のことが頭を過ぎったからです。9月の最後にピークが来たのでと少々焦った感がありました。

そして今年は最も基本的なことを忘れていたのです。

それは

「関東エリアのピークのあとに伊良湖にピークが来る」

東海道ルートのメインストリームは伊良湖岬です。ここに東海道ルートのサシバ達が集まる傾向があります。

当たり前ですが、集団は突然には現れません。必ず予兆があるはずなのです。

去年も伊良湖のピークの前には関東・静岡あたりで大きな動きがありました。

天候によって移動の時間は変わりますが、この順番は狂うことは無いはずです。

それにしても下手を打った感じが今でも拭えません。こんな基本的なことを忘れてわざわざ横浜から伊良湖岬まで出張ってしまうなんて。

伊良湖岬が地元なら定点観察で分かるのですが、はるばる遠方から労力をかけて行くことはなく、関東の地元でじっくりと動きをみるのが常套であったと思います。

白樺ルートも浅川大池の事例もありました。それでも白樺峠は予兆の情報が入りづらいところもあります。

しかし伊良湖岬はまず管理人達の住んでいる関東エリアから流れて行くわけですから十分に情報が入るはずですね。

まあ、この辺のことをよく踏まえて来期からは機動観察のスケジュールを組まないと無駄な労力を払い、肝心なところに居ないみたないことに又なってしまいます。

集団は突然現れない、必ず予兆がある。

こんな基本的なことを思い知らされた今回の伊良湖岬行きでした。

伊良湖岬と伊良湖ビューホテル・・・渡りの最終章 Part2

ホテルの部屋から夜明け前に撮った伊良湖岬と月です。見てのとおり天気は良いようです。ならばここの名物は月よりも日の出です。昨年は天候が悪くて見そびれましたが・・・

なかなかの風景でした。これで後はタカが渡れば言うこと無しなんですが・・・

飛びません。まあ、飛びません。どうなっているんでしょうか。風向きはイマイチかもしれませんが、ここまで飛ばないとは。何度か書きましたが、ここは出足の早いところです。これだけ出足が悪いと今日一日駄目じゃないかと思ってしまいます。

ようやく昼近くになって・・・

ノスリです。私たちは「のりちゃん」と呼んでいます。これは若なんでしょうか。色合いが白いしこちらを興味深げにのぞき込んでいる様は若のような気がします。

やっとサシバが来ました。若のメスのようですが、みんなとはぐれて乗り遅れた感じがします(笑い

よくよく見るとオオタカの若でした。

しかし、まあ、まとまって飛ぶときは一日に1000羽を軽く超えることもあれば、こんな日もあり、読めないタカです。連れ合いはサシバのことを付和雷同をもじって付和ライチョウと呼んでいます。

それでもこの日の猛禽としては貴重な存在となりました。ちなみに、オオタカは留鳥ですね。

ハチクマの若、メスでしょうか。これもサシバに続いて来ました。ピークを過ぎた時期は行遅れた若が飛んで来るのでしょうか。移動の中心はかなり西になっているようで、宮崎県の金御岳の数字がかなり上がっています。

ようやくタカ柱があがりました。全部の種類はわかりませんが、結構ノスリが混じっていそうです。昨日からの居残り組がようやく飛び出した、そんな感じなんでしょうか。

天気は良いです。そして暑いくらいです。人も機材も日除けがいります。

オオタカや(チゴ)ハヤブサも飛びましたが、写真にはなりませんでした。飛び数としては期待ほどではありませんでしたが、ピークを過ぎていることを考えれば致し方ないところか。

カウントはサシバ118、ハチクマ18とのこと。まあ、そんなもんでしょうか。

天気は抜群によく、数は少ないですが青空をバックに渡っていく姿を見ることは出来ました。撤収後はすぐにホテルでビュースパに入浴です。これがここの一番のメリットですか。

ビュースパから伊良湖岬が見えます。そして夕方にはこんな感じでタカ柱も・・・

まあ、これはトビですけどね(笑

でも、まれに他のタカが渡っていくところも(露天風呂から)見られることもあるかもしれません。手足を伸ばしてゆっくり風呂にはいって、明日はどうなるでしょうか。

伊良湖岬と伊良湖ビューホテル・・・渡りの最終章 Part1

 どうでもいいことなんですが、伊良湖岬は「いらごみさき」と読み、伊良湖ビューホテルは「いらこびゅーほてる」と読むようです。地名としては「いらこ」ですから、岬になると何故か「いらご」になるようですが、渡るタカにしてみればそれこそどうでもいいことかもしれません。(笑

 さて、どうも管理人達が伊良湖岬に行くときは天気が悪いというジンクスが定着してしまったようです。

 伊良湖岬は今年で3年連続の遠征になるのですが、3回とも出立時は悪天候です。台風の時期ですから確率的にはやむ得ないところもあるでしょうが、日頃の行いの所為かもしれない・・・なんてことは全く思いません。要するにこんな天候が常につきまとう時期に渡りがあると言うことなんですね。考えてみればこんなリスクの高い時期に渡るというのは一体どういうことなんだと疑問が又沸いてきます。

 それでも浜松SAに着く頃は雨は上がりました。前々日、前日の予想では昼頃まで天気は回復しないようでしたが、回復は予報より少し早くなりそうな気配です。

 滝沢展望台のある風車ではありませんが、第2東名の浜松SAから見える景色です。風の通り道故に、このような構造物が作られたとして、それが原因で渡りのルートがねじ曲がったとすれば、渡りるタカにしてみれば迷惑な話です。この場所を回避するために無駄なエネルギーを使わざる得ないことになり、消耗が少しでも増えることは渡りのリスクを高めることになるような気がします。

 越冬地はここからまだ遙か先、海を渡って行くわけですから、なるべく地続きの場所は無駄な体力を使わず温存したいところでしょう。

 さて伊良湖岬の恋路ヶ浜に到着したのは8時45分頃でした。自宅を出たのが4時ですから、4時間45分の行程でした。天候も悪かったし道々休みながらだとこんなもんでしょうか。恋路ヶ浜の駐車場は満車にはほど遠い状態でした。天候の悪さが影響したのでしょう。天気は回復していました。

 本日はホテルではなくこちらで観察するつもりです。今日はホテルも見えますし視界は良好ですが、ホテルは明日からということにしました。

 さて、到着してから昼の間まではあまり飛びませんでした。雨が上がった直後ですから待機している個体も出てこないようです。なんとか写真に収めることが出来たのは13時過ぎになりました。

 ハチクマの若、オスでしょうか。こちらをのぞき込んでいます。

 もう少し飛びましたが写真的にはこんなもんでした。カウントはサシバ19、ハチクマ9とのことですからまあこんなもんでしょう。

 天気予報からすれば今日は1日駄目だと思っていたのですから、少しでも見られただけでもラッキーだと思います。そして当然、明日明後日を期待して16時頃ホテルに入りました。

 ホテルに入ると中々よさげな場所に停めることが出来ました。だったらここで2日間粘ろうかということになり、場所取りを忘れずにチェックインです。この辺りの事情はこちらをどうぞ。

・・・続く

タカの渡り・・・伊良湖岬 2016 Part2

翌日2日は天気予報では晴れ間がでるはずでした。しかし・・・

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群れていてもこの有様。距離はとんでもなく遠い訳ではないのですが、どうにもなりません。かなりの湿気模様でこの後殆ど晴れることはありませんでした。

そんな中サシバのメスの幼鳥がかなり近くまで来ました。

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少し距離が離れると霞んでしまいます。

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少し時間が経って別個体だと思いますが、やはり幼鳥が近くまで来たのですが、この時間になるともうどうにもならないと言った感じでした。

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これくらいの距離ならもう少しキリッと写るはずなんですが、ご覧の通りの有様。そしてこんな天気でも渡って行くのかと言う感じなんですが、どうもこの付近だけかなり靄がかかっているようなんですね。山なら陽が上がって気温が上がれば靄は大概晴れますが、どうもここは海が直近にありますので、それが靄の供給源となっていつまで経っても晴れない、そんな感じがしました。そして南西の暖かい風がその供給の役割をしているのかなとも思いました。

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何せ、ホテルの端の方が霞んでい見える始末です。太陽が照っているのが分かると思いますが、殆ど遮光してしまっています。

少しましな時間帯もあるにはありましたが、三日間殆どこんな状態でした。そんな中この悪天を物ともせず、凄い勢いで飛んで行くチゴハヤブサが少しサービスをしてくれました。

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この頃になると少し気がついたことがありました。この時点では確認出来なかったのですが、去年との風向きの違いを知る手がかりがあることをです。伊良湖ビューホテルに行って撮影をした方はご存じだと思いますが、風力発電の発電機が見えます。その羽の方向をみれば風向きが分かります。

今回の遠征では向かって右側に羽が向いていました。そしてこれは去年撮ったものですが、向かって左を向いています。

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地図でみれば分かりますが、右向けば南西、左向けば北東くらいの風の向きのようです。つまり右を向いていれば暖かい南風がたっぷりと湿気を含んで吹いてくる、こんな構図になるわけです。そうすると、どちらかと言えば恋路ヶ浜の方に飛んで行くような感じになるのでしょうか。ですから、恋路ヶ浜で観測して920も飛んでいるのにホテルの崖側からはその十分の一も見えなかったのかもしれません。いや、飛んではいても靄に邪魔され見えなかった個体も沢山あったのかもしれません。どうもこのような天候の時は浜側から観察した方が良いような気がしました。

もっともこのような天候で観察が主体なら数が出れば救いがあるかもしれませんが、撮影はどちらで撮っても厳しかったでしょう。自然相手のことですから、思い通りにならないのは慣れていますが、それでもここまで来て三日間この天候だったのは辛かったですね(苦笑

まあ、救いの一つだったのは、エゾビタキが撮れたことでしょうか。

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伊良湖岬のような地理的な条件はワタリにとって都合の良い部分も多々あると思いますが、海が近いが故の厳しいコンディションもあるのかと思いました。いずれにしてもワタリは山を越え海を渡るものです。人間の都合よりも渡って行く鳥たちの方が自然に対して厳しい対応を迫られているはずです。このような視界の悪いときでも渡っていく個体も多々あると言うことは、かなり切羽詰まった状態であるようにも思います。

そういえば、ワタリではまず聞くことの無かったサシバの鳴き声を二度ほど聞きました。当然視界の悪い状態の中です。集団性の強いと思われるサシバはこのような時に鳴き声を頼りに飛んで行くのでしょうか。勿論、理由は管理人には分かりませんが、妙に切なく聞こえました。

そして天候が今年のように不順だど、ワタリはかなり厳しいものになるとは思いますが、ともかく無事に渡ってくれることを願います。

タカの渡り・・・伊良湖岬 2016 Part1

正直、伊良湖岬編はあまり書きたくなかったです。それくらい苦戦しました。観察にしても撮影にしてもですが、昨年と比べると雲泥の差でした。

と、言い訳を先にしときまして、白樺峠から帰ったのが9月27日の火曜日。そして水、木、金と仕事をして土曜日に伊良湖岬に向かいました。9月25日からの白樺峠行きは当初は予定していませんでしたから、中々のワタリ三昧になってしまいました。伊良湖岬の予定を少し変更したり、休みを取り直したりしてかなりバタバタしましたが、行くなら、「今でしょ」みたいなノリになりました。

そうして苦労の末行った伊良湖岬ですが・・・雨の東名高速を西へ進みますが、ともかく凄い大雨。昨年も台風に遭いましたが、むしろ台風一過のおかげでかなり堪能出来たのですが、今回の天候不順はそんな甘くはありません。

それでも伊良湖岬の恋路ヶ浜に到着。地面は濡れていますが雨は辛うじて上がっていました。

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10月1日土曜日、8時45分。天気に恵まれれば、この時期、土曜日の朝でこれほど車が閑散としている訳がありません。それだけワタリウォッチャーも期待していない訳です。

が、しかし、世の中皮肉なもので、この日の伊良湖岬は曇天模様にも関わらず、944のワタリがあったのです。当然、今季最高です。ならば管理人達もさぞ堪能したと思われるでしょうが・・・

結構なタカ柱が浜ではあがりました。二回ほどですが、短い間にそれを見ることが出来ました。
まあ、これは動画で見てもらった方が感じが分かるでしょう。

ここまでは良かった。そうここまでは・・・

そしてこの浜の混み具合なら伊良湖ビューホテルの方も大して混んでいないだろうと思い、そちらに移動することになりました。この天候ならホテルの崖側の駐車場の方がいいだろうと判断したからです。勿論、今日明日は泊まる予定ですから当然そのように考えます。

ホテルに着くと崖側は一杯に車が駐まっていましが、通常の宿泊客と思われる車もあり適当なところに三脚を設置。程なくしてスペースが空いたので車を移動。場所の確保も比較的スムーズに行われ後は飛ぶのを待つだけみたいな体勢になりました。

ここで余談になりますが・・・

昨年、シーズンたけなわの時期に宿泊客以外の人達が大挙押し寄せ混乱を招きました。今年は随分と抑制が効いているなと思ったら、夜中はゲートを閉めているそうです。そして監視カメラがあり、どうしても夜中に入る車両はゲートにあるインターホンでフロントを呼び出してゲートを開けてもらうシステムになったそうです。毎日そうなのか、土日だけなのかは知りませんが、夜中に宿泊客以外で撮影目的で立ち入ることは出来なくなっているようです。

まあ、日中は普通に出入り出来ますから、その気になれば宿泊客以外でも入り込むことは出来るでしょうが、そのような人はあまり見当たりませんでした。そして、フロントで朝でもチェックインすれば駐車許可証みたいなものを出してくれます。それをフロントガラスのところに置きます。宿泊客でワタリ目当ての人全てが許可証のことまで知っているかと言えば、そうでないような気もしましたが、概ね、守られているようです。

閑話休題

ワタリの集団は少しはいたのですが・・・

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そして霞か靄か、その中を渡って行く個体もありました。

その中のサシバ。単独です。

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そしてハチクマ。これも単独です。

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ともかく視界が悪いですね。少し距離があるとどうにもなりません。

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ただ、驚いたことにこの日はサシバが920渡っているのです。視界が悪いのでホテル側からは見えないのもあったでしょうし、何よりも風向きが悪かったようです・・・続く。