タカの渡り・・・伊良湖岬 2016 Part2

翌日2日は天気予報では晴れ間がでるはずでした。しかし・・・

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群れていてもこの有様。距離はとんでもなく遠い訳ではないのですが、どうにもなりません。かなりの湿気模様でこの後殆ど晴れることはありませんでした。

そんな中サシバのメスの幼鳥がかなり近くまで来ました。

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少し距離が離れると霞んでしまいます。

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少し時間が経って別個体だと思いますが、やはり幼鳥が近くまで来たのですが、この時間になるともうどうにもならないと言った感じでした。

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これくらいの距離ならもう少しキリッと写るはずなんですが、ご覧の通りの有様。そしてこんな天気でも渡って行くのかと言う感じなんですが、どうもこの付近だけかなり靄がかかっているようなんですね。山なら陽が上がって気温が上がれば靄は大概晴れますが、どうもここは海が直近にありますので、それが靄の供給源となっていつまで経っても晴れない、そんな感じがしました。そして南西の暖かい風がその供給の役割をしているのかなとも思いました。

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何せ、ホテルの端の方が霞んでい見える始末です。太陽が照っているのが分かると思いますが、殆ど遮光してしまっています。

少しましな時間帯もあるにはありましたが、三日間殆どこんな状態でした。そんな中この悪天を物ともせず、凄い勢いで飛んで行くチゴハヤブサが少しサービスをしてくれました。

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この頃になると少し気がついたことがありました。この時点では確認出来なかったのですが、去年との風向きの違いを知る手がかりがあることをです。伊良湖ビューホテルに行って撮影をした方はご存じだと思いますが、風力発電の発電機が見えます。その羽の方向をみれば風向きが分かります。

今回の遠征では向かって右側に羽が向いていました。そしてこれは去年撮ったものですが、向かって左を向いています。

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地図でみれば分かりますが、右向けば南西、左向けば北東くらいの風の向きのようです。つまり右を向いていれば暖かい南風がたっぷりと湿気を含んで吹いてくる、こんな構図になるわけです。そうすると、どちらかと言えば恋路ヶ浜の方に飛んで行くような感じになるのでしょうか。ですから、恋路ヶ浜で観測して920も飛んでいるのにホテルの崖側からはその十分の一も見えなかったのかもしれません。いや、飛んではいても靄に邪魔され見えなかった個体も沢山あったのかもしれません。どうもこのような天候の時は浜側から観察した方が良いような気がしました。

もっともこのような天候で観察が主体なら数が出れば救いがあるかもしれませんが、撮影はどちらで撮っても厳しかったでしょう。自然相手のことですから、思い通りにならないのは慣れていますが、それでもここまで来て三日間この天候だったのは辛かったですね(苦笑

まあ、救いの一つだったのは、エゾビタキが撮れたことでしょうか。

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伊良湖岬のような地理的な条件はワタリにとって都合の良い部分も多々あると思いますが、海が近いが故の厳しいコンディションもあるのかと思いました。いずれにしてもワタリは山を越え海を渡るものです。人間の都合よりも渡って行く鳥たちの方が自然に対して厳しい対応を迫られているはずです。このような視界の悪いときでも渡っていく個体も多々あると言うことは、かなり切羽詰まった状態であるようにも思います。

そういえば、ワタリではまず聞くことの無かったサシバの鳴き声を二度ほど聞きました。当然視界の悪い状態の中です。集団性の強いと思われるサシバはこのような時に鳴き声を頼りに飛んで行くのでしょうか。勿論、理由は管理人には分かりませんが、妙に切なく聞こえました。

そして天候が今年のように不順だど、ワタリはかなり厳しいものになるとは思いますが、ともかく無事に渡ってくれることを願います。

タカの渡り・・・伊良湖岬 2016 Part1

正直、伊良湖岬編はあまり書きたくなかったです。それくらい苦戦しました。観察にしても撮影にしてもですが、昨年と比べると雲泥の差でした。

と、言い訳を先にしときまして、白樺峠から帰ったのが9月27日の火曜日。そして水、木、金と仕事をして土曜日に伊良湖岬に向かいました。9月25日からの白樺峠行きは当初は予定していませんでしたから、中々のワタリ三昧になってしまいました。伊良湖岬の予定を少し変更したり、休みを取り直したりしてかなりバタバタしましたが、行くなら、「今でしょ」みたいなノリになりました。

そうして苦労の末行った伊良湖岬ですが・・・雨の東名高速を西へ進みますが、ともかく凄い大雨。昨年も台風に遭いましたが、むしろ台風一過のおかげでかなり堪能出来たのですが、今回の天候不順はそんな甘くはありません。

それでも伊良湖岬の恋路ヶ浜に到着。地面は濡れていますが雨は辛うじて上がっていました。

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10月1日土曜日、8時45分。天気に恵まれれば、この時期、土曜日の朝でこれほど車が閑散としている訳がありません。それだけワタリウォッチャーも期待していない訳です。

が、しかし、世の中皮肉なもので、この日の伊良湖岬は曇天模様にも関わらず、944のワタリがあったのです。当然、今季最高です。ならば管理人達もさぞ堪能したと思われるでしょうが・・・

結構なタカ柱が浜ではあがりました。二回ほどですが、短い間にそれを見ることが出来ました。
まあ、これは動画で見てもらった方が感じが分かるでしょう。

ここまでは良かった。そうここまでは・・・

そしてこの浜の混み具合なら伊良湖ビューホテルの方も大して混んでいないだろうと思い、そちらに移動することになりました。この天候ならホテルの崖側の駐車場の方がいいだろうと判断したからです。勿論、今日明日は泊まる予定ですから当然そのように考えます。

ホテルに着くと崖側は一杯に車が駐まっていましが、通常の宿泊客と思われる車もあり適当なところに三脚を設置。程なくしてスペースが空いたので車を移動。場所の確保も比較的スムーズに行われ後は飛ぶのを待つだけみたいな体勢になりました。

ここで余談になりますが・・・

昨年、シーズンたけなわの時期に宿泊客以外の人達が大挙押し寄せ混乱を招きました。今年は随分と抑制が効いているなと思ったら、夜中はゲートを閉めているそうです。そして監視カメラがあり、どうしても夜中に入る車両はゲートにあるインターホンでフロントを呼び出してゲートを開けてもらうシステムになったそうです。毎日そうなのか、土日だけなのかは知りませんが、夜中に宿泊客以外で撮影目的で立ち入ることは出来なくなっているようです。

まあ、日中は普通に出入り出来ますから、その気になれば宿泊客以外でも入り込むことは出来るでしょうが、そのような人はあまり見当たりませんでした。そして、フロントで朝でもチェックインすれば駐車許可証みたいなものを出してくれます。それをフロントガラスのところに置きます。宿泊客でワタリ目当ての人全てが許可証のことまで知っているかと言えば、そうでないような気もしましたが、概ね、守られているようです。

閑話休題

ワタリの集団は少しはいたのですが・・・

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そして霞か靄か、その中を渡って行く個体もありました。

その中のサシバ。単独です。

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そしてハチクマ。これも単独です。

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ともかく視界が悪いですね。少し距離があるとどうにもなりません。

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ただ、驚いたことにこの日はサシバが920渡っているのです。視界が悪いのでホテル側からは見えないのもあったでしょうし、何よりも風向きが悪かったようです・・・続く。

タカの渡り・・・白樺峠 2016 Part9 ハリオアマツバメも渡った

最終日です。昨日は雨の乗鞍、畳平まで行って来ました。そして本日は管理人達が訪れたなかで一番良い天気に恵まれました。いやぁ、これで一昨日を超えることがあったら出来すぎだなんて思っていたのですが・・・

結論から先に書きますとサシバは169、ハチクマは64。出の渋さは先の15日からの遠征といい勝負と言った感じです。ですが、晴天に恵まれましたので、数少ないシャッターチャンスをモノにした方もいたと思います。管理人達は昼で撤収しましたが、その頃にはかなり近くを飛んで行くハチクマの個体もありましたので、写真的には良かった人もいるはずです。

管理人はと言うと・・・一昨日の余韻も昨日の乗鞍行きで少し薄れた感じですが、何処か気が抜けた感じです。まあ、疲れたと言った方が正解かもしれません(笑

そんな中、ちょっとしたお土産が撮れました。

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ハリオアマツバメです。今回の遠征で何回か集団で渡って行ったと思いますが、わっと来てわっと去って行く。そんな感じで中々シャッターを切る間を与えてくれませんでしたが、今回は単独ですが、なんとか撮ることが出来ました。

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中々目の入ったものが撮れませんが、辛うじて入った物がありました。

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本当に辛うじて入った程度ですが、管理人の腕からすればこれはこれで大健闘だと思います。天候も良く青空が背景になって陽が差してくれたのも幸いしたようです。管理人の腕ではこれ以上距離が近いと無理だと思いますが、懲りずに挑戦してみたいですね。

あとワタリの最中のエゾビタキにも逢いました。

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サシバやハチクマ写真はもういいかなと思いながら、近くに来るとシャッターを切ってしまいました。

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サシバの成鳥、メスですね。まあ、まあ、近いですか。それに青空バックで羽の色がそこそこ綺麗に出ているようです。

そしてツミも渡って行きます。成鳥のメスでしょうか。

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そして管理人達の白樺峠のタカのワタリはこれにしめてもらいましょう。ハチクマ、幼鳥、オスです。

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今回の白樺峠は合計で五泊七日の行程になりました。そのうち雨で二日はつぶれましたから、五回峠に登ったことになります。その五日間のワタリの合計はサシバが4492、ハチクマが1112となりました。勿論全てのタカと遭遇した訳ではなくおそらく三分の一程度しか見送ってないと思いますが、その中のどれほどのタカと来年遭遇できるかを楽しみにして白樺峠を後にしました。

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タカの渡り・・・白樺峠 2016 Part6

そろそろ昼時ですが、切れ目はあまりありません。この頃になるとどうやら皆さんあまり遠い個体は狙わなくなっているようです。飛ぶかどうか分からない朝方はかなり遠くてもシャッターを切っていた人達もかなり撮れてきているので証拠写真の必要がなくなっているからです。ゴミ箱行きの写真を増やしても後の手間が大変なのは皆さん承知しているのでしょう。

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正面から飛来するものも結構います。数が出ればこんな気まぐれを起こす個体もそれなりに増えてくるということでしょう。

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そして何より嬉しいのは本日は青空バックでありながらそこそこ近いところも飛んでくれることです。

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中にはこちらに興味を示して、のぞき込んで飛んで行く個体もあります。

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白樺峠のタカ見の広場に行かれた方はご存じでしょうが、土日祭日の好天ともなると三百人から五百人以上の人が集まります。中にはカラフルな装いの人もいるし、なにより大砲のようなレンズがずらっと並びます。眼下にこのような集団が大挙していたらタカがわざわざ寄ってくるとも思えます。むしろ避けるのではないでしょうか。

それでも風向きの所為やら、このような集団を気にしないか、それとも逆に興味を持つ個体がこのように数がでれば混じってくると言うことなのかもしれません。幼鳥など、特にハチクマなどは怖さを知らないか、好奇心が旺盛なのか比較的近寄ってくることがあるように思いますが、成鳥でもこんな時には結構いるもんですね。

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以上の連続4枚の写真を見ると、明らかにこちらに関心を寄せて視線をこちらに向けています。ほどなく興味のないものだと分かったのか顔の向きを戻して飛んで行ってしまいました。現場で写真を撮っているときはこのような動きはさすがに分かりませんが、後でよく見ると中々興味深いものです。これが写真の面白いところでもあるのでしょう。

タカの渡り・・・白樺峠 2016 Part5

古い話で恐縮ですが、坂上二郎さんが「飛びます、飛びます」と言うフレーズを使っていたことがありました。今日はそんな古い話を思い出しました。

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それにしても今年の天候には悩まされました。もっとも人間よりタカの方が悩んだかもしれません。今日は9月25日ですが、前日までの白樺峠のワタリの出現数は平均を大きく下回っています。未だ何処かに潜んでいるのか、それとも迂回したのか分かりませんが、今日はかなり飛ぶでしょうか数が回復するかどうか分かりません。

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ハチクマはそれなりに飛んでいますが、サシバが特に少ない。それがようやく今日飛び出したのですが、これが続くかどうか分かりませんね。

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ハチクマは見てて飽きませんが、どうしてあのようにバラエティに富んだ個体の違いになるのか。勿論遺伝的な問題なのでしょうが、そこらあたりを解明した学術書なんかあるのでしょうか。今度機会があったら調べてみたいですね。

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サシバの方は圧倒的に成鳥が多いような気がします。

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幼鳥の比率が多くなるとワタリも終盤だと聞いたことがありますが、まだその時期では無いのでしょうか。ハチクマは結構幼鳥を見ます。

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これまた、面白い模様のハチクマです。

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それにしてもこれは少し珍しい気がします。

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タカの撮影に夢中になっていましたが、ふと一息入れると目の前に・・・そうワタリと言えばこれも忘れてはいけませんね。

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白樺峠の標高は約1600メートル。アサギマダラはひらひらしながらここまで上がって来たんですね。後で知ったのですが、アサギマダラの羽にマーキングをして移動調査をしているらしいですね。賛否はあるようですが、管理人にはどちらがいいのかは判断が今のところは付きません。野鳥なども似たような問題(足輪)がありますが、一概に賛成・反対出来ないところがあります。