月にチュウヒ 渡良瀬遊水地 Part2 & Part3

「花鳥風月」と言う言葉があります。意味を知らない人はググればすぐ分かります。簡単に言えば「美しい自然の風物」ですね。

これって写真を撮るときも意識するのではないでしょうか。野鳥の写真をメインで撮っているカメラマンも鳥以外の風物に眼が向くときもあるでしょう。そんな時、自然とシャッターを切っている・・・なんてこともあるかもしれません。

それと管理人が意識するのは、「花鳥風月」の順番が写真を撮るときの難易度の順番のような気もするのです。少なくても花と鳥なら文句なく花の方が撮りやすいと思います。どう美しく表現するかと言う点においては、いずれも甲乙を付けるのが難しいと思いますが、入り口のハードルの低さでみればということですね。

その次の風ですが、風そのものを撮ることは不可能です。風を表現する何かを撮ると言うことになると、対象物が飛躍的に増えてこれはこれで的が絞りづらく、よりセンスが問われる気がします。そして月ですが、月は宙を表象するものと捉えての話ですが、天体写真は技術的にハードルが高くなります。風とか宙の写真はいずれにしても初心者にはとっつきにくいと思います。管理人も鳥を撮る前は花の写真がメインでした。

まあ、「花鳥風月」をどう表現するかが写真の醍醐味でもあり、難しいところだと思います。

そこで渡良瀬遊水地です。今回は泊まりで項番がPart2 & Part3となりますが、夜明けの観察を2回出来ました。

この夜明けの雰囲気というのを伝えようとするとこれはこれで難しい。管理人の腕などではとうていどうにもなるものではないと感じます。鳥ならまぐれ当たりもありますが、風景写真もまぐれあたりが無い訳ではないでしょうが、その確率は非常に低いような気がします。

まあ、腕もあるし機材の善し悪しもあるので管理人などは思いっきり妥協していますが、それでも自分達が経験したことを残そうと思うとやはり風景写真は必須ですね。

さて、チュウヒですが、前回来たときは3羽程度しか塒立ちを確認出来ませんでしたが、今回は10羽を超える個体の塒立ちを確認出来ました。観察場所が限定されるので遊水地全体でどれくらいの塒立ちがあるかは把握できませんが、だいたい越冬する個体は揃ったのかなという感じもします。

ただ、当たり前ですが、この時間帯だと写真は無理ですね。管理人は三脚を出すのを諦めています。

さて、日中ですが、あまり遊水地では狩りをする姿を見ません。それで今度は塒入りを待つことになるのですが・・・

これはもあまり今回は調子よくは無かったですね。

ハイイロチュウヒのメスですが、これはよく飛んでくれました。ただし、オスはここでは見当たりません。

そして暮れなずむ夕暮れ時。

月に向かってチュウヒが塒に入ります。

いやぁ、これは惜しいことをしました。もっとここは狙っても良かったかもしれません。こんな感じになってしまったのです。

管理人はシャッター半押しのオートフォーカスはキャンセルして親指AFを常用しています。ですから、やろうと思えばチュウヒにマニュアルでピントを合わせて月を背景にできたはずなのです。でも、やはり腕と経験が足りないのか、咄嗟にそこまでは処理できませんでした。それでもなんとかチュウヒと月を絡めようと努力をしたのですが・・・

これ位が限界でした。むーんと唸ってしまいました。(笑 

今度はもっとうまく撮りたい、そんな思いが残りました。が、それはそれでいいことだと思いました。次はよりよい絵を撮りたい、そんな欲求があればまだまだ写真を趣味として続けていける気がしたからです。

さて、さて、相変わらずチュウヒの撮影は条件の厳しいことが多くて大変ですが、だからこそ面白いのかもしれません。

ISO1600、シャッター速度、1/125。機材との兼ね合いですが、夕方の暗がりの撮影はこんな状況が結構あります。自己満足の証拠写真ですが、これはこれで管理人達の経験の一つとなります。こんなことをちょっとづつ繰り返していけば、チリも積もれば山は無理でも丘くらいにはなるのではないかと思っています。

今回はハイイロチュウヒのオスを見ることは出来ませんでした。ただし場所違いで確認されたという話は聞きましたので次回はそちらに回ってみたいと思います。

日曜日は午前中には帰宅していろいろと用事を済ませなければなりません。そんなわけで朝の観察を終えたら撤収と相成りました。

ハイイロチュウヒが・・・浮島湿原 Part4

ハイイロチュウヒが餌取りを始めてかなり時間が経ちました。

遠いことは遠いですが、時折接近してくる。この繰り返しが続きました。

管理人に所謂「ガン(眼)」を飛ばしている状態です。餌を探すなら下を向くはずですから。

飛んでいる時、写真を撮っている時は気がつきませんでした。こんな怖い顔して睨んでいたんですね。管理人はハイイロチュウヒのオスが大好きなのに向こうはこちらのことを嫌っているみたいに感じます(苦笑

でも餌取りに熱心なのか、管理人の前を何事もなく通り過ぎることもしばしば。これはこれで全く「眼中にない」状態です。最近では「ガン無視」と言うらしいですが。

今改めて撮影情報をみると、ISOは800、シャッタースピードは、1/500。レンズは撮像素子のサイズがAPSCですから、換算960ミリ。外した写真も結構ありますが、管理人としてはよく健闘した方です。

ハイイロチュウヒは普通のチュウヒより葦原を飛ぶときは低いと言われています。確かにその通りで、いつぞや渡良瀬遊水地の時は背の高い葦原とハイイロチュウヒの低空飛行で撃沈状態だったことが記憶によみがります。

バックショットもこれはこれで貴重でしょう。

後ろ姿を撮った写真は図鑑などではお目に掛かることはありません。しかし観察などで後ろ姿しか見えない場合もあります。そんな時の参考になるなと思いました。

さらに餌を発見してひねりながら急降下するシーン。

いままで撮れなかったシーンに随分遭遇しました。そしてひとしきり餌取りが終わり、いずこともなく塒に入ったようです。

そして翌日の朝、元気よく塒立ちして餌取りに飛び出したおそらく同じ個体のハイイロチュウヒ。

この葦原には二羽のハイイロチュウヒのオスがいるのを管理人は確認しています。もう一つの個体はここを塒にはしているようですが狩り場は違うところのようで、この個体より早々に飛び出して行きました。

もう一羽は遠くにいかずこのあたりを活動範囲にしているようです。これがハイイロチュウヒのオスが大好きなカメラマンのアイドルになっているようです(笑

ちなみにアイドルの後ろ姿。

朝、塒から飛び立つなり道路を飛び越え向かいの田んぼに餌取りに飛んで行ったのです。まさに目の前での話です。たまたま管理人達の近くで動きがあったのですが、この個体は随分と(カメラマンにとって)サービス精神が旺盛だなと感じる次第です。人間にも色々な性格の人がいるようにハイイロチュウヒも人間ほどではないかもしれませんが、行動パターンに個体差があるのでしょう。生き物ですから金太郎飴みたいに皆同じと言うことはないでしょうね。

チョウゲンボウもいいですね。ここは。

(管理人は)猛禽ではないので分からないですが、この葦原は餌取りに適しているのかもしれません。ただし、もし餌が獲りやすいなら餌となる対象物が早々に枯渇するでしょう。そうなると次の行動はどうなるか、それを考えなければいけないような気もします。餌取りが楽なのはいいのですが、いつまでそんな状態が続く訳はありません。ただし、これはあくまでも管理人の想像です。

さて、さて、来週は渡良瀬遊水地にやはり泊まりで出張ります。今週は結構いい思いをしたのでその付けが怖いですが、いろいろと野暮用もあるので朝の観察が終了したので撤収と相成りました。

今年の冬は・・・浮島湿原 Part3

今週は泊まりで出張りました。

塒入りくらいまで粘り翌日塒立ちからとなると移動の負担が大きくなります。旅好きの同年代の夫婦からみればこの程度の泊まりはかわいいものだと思います。

さて、この辺りの日の出の時刻はさらに遅くなり6時24分、日の入りは早くなり16時26分です。塒立ちは6時過ぎくらいになるので、出立は先週と同じ4時で十分間に合うところです。

少し早く着きましたが、やはり塒立ちは先週より気持ち遅めです。約10~11羽程度の個体が確認出来ましたが、相変わらずハイイロチュウヒのオスは確認未了と言った感じになりました。

浮島湿原のまわりには、広い葦原がいくつかあります。どの葦原も何かいそうな感じがするのですが、とりあえず良く行く先週とは違う葦原へ移動。

行ってみると結構な人だかり。先々週あたりからポツリポツリと人が増えてきたようですが、今朝は随分と多いなと感じました。

そう言えば先週は日帰りの午前中のみだったのでこちらには回りませんでした。うーん、どうも人の動きを見ているとこちらが本命か。

観察を始めるとチュウヒが餌取りをはじめました。まだ光量が足りないので写真はあまりピリッとしませんが・・・

しばらくするとタゲリが飛んできました。

次はオオハクチョウ。

茨城県には何カ所かオオハクチョウが越冬する場所があります。

ポツリポツリといろいろなものが飛ぶのですが、肝心のハイイロチュウヒのオスは見当たらない。いいかげんダレてきた昼過ぎ頃、「飛んでるぞ」みたいな声がしました。

ああ、いました。ようやくご対面です。しかしとんでもなく遠いです。

距離がありすぎるので空気の靄もかなりなものですが、それでもハイイロチュウヒのオスと確認は出来ました。いろいろな情報が交錯していましたが、現状はこちらの葦原で越冬しているようです。先週の金曜日あたりまでは浮島湿原での塒入りが確認されていたのですが。

ひとしきり回ったら姿が見えなくなりました。

その合間にチョウゲンボウのホバリング。

チョウゲンボウというのは器用な猛禽ですね。カワセミみたいに上手にホバリングするのですが、垂直離着陸するハリアーみたいな猛禽です。

さて、気になるのはちょっと姿をみせたハイイロチュウヒのオス。

いることは分かりました。ここで越冬しているのかどうか分かりませんが、目の前の葦原に潜んでいることは間違いありません。ここは待つしかありません。写真がどうのこうのより、観察です。動きが分からなければ次の行動はとれません。

待つことしばし。

ようやく現れました。しかも遠い。なんでと思うほど遠い。

しかし待てば海路の日和あり。段々と近づいてきます。

いままで経験のないことです。ハイイロチュウヒのオスの餌取りです。時刻からすると塒入り前の餌取りなんでしょう。これが結構延々と飛ぶのです。遠くても獲物を追っかけていれば、いくらレンズを構えていても寄ってくる可能性が高くなるようです。

うーん、いい感じになってきた。いつ頃この地に来たかは分かりませんが、ワタリ直後では無いはずですから、この程度の餌取りは日常茶飯事ということになるのかもしれません。

・・・続く

朝の観察はここから・・・浮島湿原 Part2

日の出の時刻は今の時期は少しずつ遅くなっていきます。先週よりは10分程度遅くなるので今週の出立は4時頃でした。

最近は塒立ちの時は写真は諦めて観察に徹しています。録音用のビデオを回しながら観察の模様を実況録音します。

編集して公開するような内容ではないですが、これが後で聞いてみると面白い。まあ、手前味噌なところもありますから、なんですが、これが最近の管理人の定番観察スタイルになっています。

ちなみに、最近はお安い機材ですが、ワイヤレスで音を飛ばして録音しています。マイクとかの性能も絡みますが、ホワイトノイズが結構ありますが、まあ、そこそこ使える感じです。

さて、朝の浮島湿原はいつものとおり日の出の10分くらい前から塒立ちが始まりました。カウントしていると10羽程度が確認出来ました。

お目当てのハイイロチュウヒのオスは本日も確認出来ません。逆光でシルエットになっているので色合いでは確認は難しいようです。それでも前シーズンはいくらか確認出来たのですが、今シーズンはここでの塒立ちでは未だ出来ていません。

先週は別場所でその姿をみることが出来ましたが今日はどうでしょうか。

塒立ち終了後すぐに別場所に移動しました。朝の餌取りを観察するためです。

普通のチュウヒが何羽か餌取りをしていました。かなり遠いので写真的には辛いですね。まあ、広い葦原ですから致し方ありません。チュウヒは観察圧力にあまり強くないと言われています。車からおりてデーンと三脚を構えているとまず近寄ってこない感じですね。車から降りずに車内から狙うといいと良く聞きますが、まあ、ここは杭打ちされた柵に囲まれていますのであまり代わり映えはしないかもしれません。

ハイイロチュウヒのメスがいました。

ついでと言ってはなんですが、突然遠くですが、チュウヒではない早い飛翔の個体を発見。とりあえずシャッターを切ってみたら・・・

ハヤブサの成鳥でした。ここら辺りでは案外珍しいかもしれません。チョウゲンボウなら結構いるのですが。

朝の餌取りが終わると静かになります。その後はポツリポツリと動きがありますが、その中にハイイロチュウヒのオスは見当たりませんでした。

この後動きがあるとすればそれは塒入り前の餌取り。いろいろと用事もあるのでそこまでは待っていられません。

来週は泊まりで塒入り前との餌取りと塒入りも出来れば観察したいと思います。次回こそはと願いつつ、本日は早々に午前中での撤収と相成りました。

夜明け前・・・浮島湿原 Part1

浮島湿原はすべて葦原の中である。

そして冬の猛禽観察は夜明け前から始まります。

冬の朝は寒いですが、夜明けの時刻は遅くなります。
それでも、本日は3時30分起床。3時50分の出立でした。

到着は5時40分。日の出の時刻は6時12分。
東の空は幾分茜の明るさを含んでいます。もうすぐ夜明けです。

気温は8度。

厳寒とは言いがたいですが、そこそこには寒いです。しかし風がないせいか堪えられないと言った感じではありません。

まず現場について驚いたのは・・・

観察小屋がきれいさっぱり無くなっていました。老朽化のせいかどうか分かりませんが、見通しは良くなっています。
しかしこれが本当にいいのか悪いのか、実際のところ疑問なところもあります。

現実には小屋の前にせせり出て三脚を置いて撮影する人が圧倒的に多かったので、小屋をなくして柵を設けた方が安全ではあると思います。
ことによると老朽化のせいではなくて、小屋の前から転げ落ちて怪我でもしたカメラマンが輩出したのが撤去の理由かもと案じましたが、まあ、栓の無いことです。

それで今回からは駐車場の方から観察するよりはこちらで観察することにしてみました。

だいたいの感じですと日の出の10分位前から塒立ちが始まるようでが、この日は気持ち早く始まった感じです。
葦原から次々と飛び立って行きます。もう塒立ちの写真は諦めて観察に徹することに決めました。とりあえずビデオは録音用に回しながらの観察です。

7、8羽飛びたったありでポツリ、ポツリと他のカメラマンが3人ほど来ました。皆さん早起きですね(笑
飛んで行くシルエットからチュウヒであることはなんとか確認出来ますが、色の識別などはかなり困難です。

それでも総計10羽程度の確認が出来たようです。前シーズンの実績から言ってこれだけいればハイイロチュウヒのオスも3羽くらいは混じっていると期待しても良さそうです。

写真はここでは撮りませんでしたが、明るくなってから場所を変えて三脚を出してみました。

少し遠かったですが今シーズン初のハイイロチュウヒのオスです。しかも青空バック。大概は光量の足りない時間帯で苦労しますが、たまにはこんなこともあります。だから、止められないんでしょうけど。

小さな体で弱々しい印象を持つハイイロチュウヒのオスですが、さすが猛禽。カラスにモビングをしかけられましたが・・・

それを威嚇して追い払い、逃げるカラスを追っかけて行きました。

ただし、残念なことにこのハイイロチュウヒこの後、とんでもなく高度を上げてまるで渡って行くが如く去って行きました。ことによるとここで越冬している個体ではなくまだワタリの途中だったのかもしれません。

その他普通のチュウヒも飛んでいました。

いろいろな野暮用もあるので本日は早めの上がりです。初のハイイロチュウヒのオスも拝めたことですから、気持ちよく撤収することが出来ました。