タカの渡りあれこれ 2018 総集編

白樺峠ではノスリやツミなどを中心に観察は続けていますが、メインストリームとしてのタカの渡りが終わりました。

先のブログでも書きましたが、この時期「ワタリロスト」とでも言う症状になるのですが、まあ、備忘録代わりに思いついたことを書いておこう思います。

タカの渡りと言うとサシバとハチクマがメインになりますが、管理人達は特にサシバに思い入れがあります。

それは春のワタリから繁殖の期間を観察して秋のワタリを迎えるからです。

大概は一番(ひとつがい)のサシバ達の繁殖をメインに観察が進みます。

観察の中心は雛が孵るか、そして巣立つかです。

サシバは場所によりますが、三月の終わりから四月にかけて渡って来ます。

それから求愛があったりして巣が出来るのは暫く経ってからです。

サシバの番が巣で屯って居ます。雛は未だ孵っていない状態です。

追伸:
もし巣をみつけてもその近くで三脚を構えたりして長時間待機したりすることはするべきではないと思います。理由は説明する必要もないと思いますが、野鳥は程度の差こそあれ観察圧力に弱いモノです。

執拗で近い距離の観察つまり人災によって巣を放棄すると言うことは間々あります。

そうなっては元も子もありません。

観察や撮影をするなら相当の距離を置いて、短時間で済ませる。そんな心がけが必要だと思います。

それにブログで何度か書いていますが、巣の近くで個体の写真は撮れるかもしれませんが、似たような絵になりがちです。

写真的には狩り場とかで撮れるモノが良いように思いますけど、まあ、これはこれで運に左右されるところもあります。

いずれにしても営巣放棄なんてことになっては困りますからその辺は心がけて欲しいところだと思います。

こんな姿をみつけたらラッキーです。おそらく飛んで行く先には巣がある確率が高くなるからです。

こんなして春に番で3羽ほどの雛が生まれるようです。管理人達が観察したのは全て3羽でした。

サシバが渡る理由の一つに挙げられる、雛が孵った後集中して餌を与えられる環境に移動するためと言うのがありますが、餌場の供給能力と雛の生育の成功率は比例すると思われます。

この里山は3羽程度が数と成功率のバランスが一番とれる数字なのかもしれません。

雛は白くてデカいヒヨコと言った感じです。

それが暫く経つと・・・

タカ(の雛)になります。この変化は人間では考えられませんね。

そこで気になるのは一番子から三番子までの成長の差。生まれた日付は殆ど変わりませんが明らかに見た目での差があります。

これは親が運んでくる餌を一番子がまず最初に摂るからでしょう。すると体格の差が少し出来ます。そうなると力関係から言って下に行くほどおこぼれが少なくなる訳です。まあ、当然と言えば当然のことかもしれません。

イヌワシは生後2週間ほどは後から生まれた雛を食らうみたいな話があります。ある生育期間を過ぎるとその習性は無くなるそうですが、自然界はかなり残酷な仕掛けを生き物の中に埋め込んでいる場合があります。

サシバはそこまでは残酷な仕掛けは埋め込まれて居ないようですが、それでも成長の差は歴然とします。

勿論親は均等に与えようとするのでしょうが、それは無理な話となるようです。

1羽顔が隠れていますが、ある時期にくれば3羽ともそれなりにタカらしくなります。そしてその成否は餌の供給具合にある訳です。

これで十分な餌がなければイヌワシのようなことが起こるかどうかは分かりませんが、かなり残酷な結果になると思います。

不必要な観察圧力によってサシバにストレスがかかり十分な補食を雛に与えられなくなる可能性もあるわけですから、繁殖期の観察は特に注意が必要でしょう。

そしてこの雛が巣立ち若になります。

これが6月の終わりから7月の初めくらいです。今年の観察対象は3羽とも巣立ちました。

中々3羽並んでいる写真撮れませんが一番子と二番子が並んでいます。こんな風景は繁殖地なら見ることが出来ますが、さすがに数十羽のサシバが並ぶ様は繁殖地でも見たことがありません。

ちなみにこんな接近戦はまず巣の近くで撮れません。巣は高い場所にあり近寄ろうにも実は無理な場合があります。高い場所にある故にそれなりの距離をとらないと仰角が適切になりません。

接近戦を望むなら狩り場でじっと静かに気配を殺して相手にストレスを与えずに待つのが吉となるようです。野鳥撮影の原則ですよね。

それで北関東あたりで生まれ育った雛が何の因果か最後に九州まで行って集まるようです。(北関東のサシバは白樺峠は行かないでしょう)

この個体はどこで生まれたかは分かりませんが、管理人達が観察した若も無事にここまでたどり着けたかどうかと思うと感慨も一入です。

この若の群れの中にいるのではないかななんて期待しますが、確かめる術はありません。

現実問題として北関東あたりではワタリの開始が早いようなのでとっくにここを通過してしまっている可能性が高いのですが、沢山の若の姿を見ることが出来れば確率的には若の生存率が高いと思えます。

この繁殖の時期のずれは地域差がありますが、稲作の時期と絡んでいるだろうと思いますが子細な調査をした訳では無いので当て推量です。

暇とお金があれば稲作の時期と移動の時期との関係性の調査をしてみたいと思いますが、1人2人で出来る話ではないですね。

ざっと簡単に春から秋にかけてのサシバの動きを見てみましたが、来年も同じように繁殖が滞りなく行われるか・・・それが管理人達のここ数年の大きな関心事の一つになっています。

ワタリのメカニズムとか色々解明されていないこともあるのでそれも興味深いですね。そしてそのうち宮古島や越冬地などにも行ってみたいとも思います。

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